【深刻】建設業の若者離れが加速する今。企業側がするべき対策とは?
近年、深刻さを増す「建設業の若者離れ」。
建設業界の未来を担うはずの若者が現場から姿を消し、このままでは日本のインフラを支える人材が不足して業界全体が衰退してしまいます。
建設業に従事する方の中にも、「若手が入ってこない」「育成してもすぐに辞めてしまう」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、建設業における若者離れの現状を分析しながら、その背景にある要因や企業で今取り組むべき対策について詳しくご紹介します。
建設業の未来を明るいものにするために、今、私たちは何をすべきなのか一緒に考えていきましょう。
まずは、若者が建設業から離れてしまっている現状と原因について見ていきます。
建設業から若者は本当に離れている?実際のデータから分析
近年、建設業界では深刻な若者離れが問題となっています。
まずは建設業界全体の統計的なデータから見ていきましょう。
建設業従事者の推移
国土交通省の発表によると、建設業の労働者数は年々減少傾向にあり、特に「技能労働者」と「管理的職業、事務従事者」の減少が顕著です。
○建設業就業者:685万人(H9)⇒498万人(H22)⇒492万人(H28)
技術者:41万人(H9)⇒31万人(H22)⇒31万人(H28)
技能労働者:455万人(H9)⇒331万人(H22)⇒326万人(H28)
引用:国土交通省「建設業及び建設工事従事者の現状」
当然ながら、人が減ればその分今いる従業員への負担が大きくなります。
一人当たりの作業量が増え続けると、工期の遅れや労災へのリスクにもつながりかねません。
建設業界の人手不足は、もはや社会問題レベルに達していると言えるでしょう。
業界全体の人手不足の課題については、以下の記事で掘り下げています。
▶参考:建設業の人手不足について。原因や正しい対策方法を解説!
建設需要の高まり
人手不足が深刻化している一方で、日本の建設需要は依然として高い水準を維持しています。
少子高齢化に伴う社会インフラの老朽化、都市再開発、インバウンド需要の高まりなど、建設需要を押し上げる要因は数多く存在しているのです。
実際、国土交通省の発表によると、令和6年度の建設投資は73兆200億円となる見通しで、前年度比は2.7%増となっています。
傾向として、ここ5〜6年ほどで建設投資額は徐々に増加してきており、需要が高まってきていることが見て取れます。
担い手が不足している状況の中で、国内での需要に応えることが困難になってきているのが現状です。
若者の割合が低い
建設業界において一人あたりの負担がどんどん大きくなっているのに対し、若者の割合は非常に低くなっています。
以下は令和4年の「労働力調査」をもとに国土交通省で作成された、年齢階層別の建設技能者数を示すグラフです。
建設技能者のうち、30歳以下は全体のわずが10%ほどしかいません。対して、約25%を60歳以上が占めています。
この状況を見ると国内だけでなく、建設業界内でも少子高齢化が進んでいると言えるでしょう。
高齢者層にとって若手が少ないことは、どの業界においても同じ悩みですが、若手にとって魅力に欠ける環境になりつつあるのは間違いありません。
建設業の若者離れ(離職)が起きる理由は大きく3つ
若者が建設業に定着していない現状は、厚生労働省が発表しているデータにも現れています。
建設業は他の業種と比べても離職率が高く、新卒が入っても早々に業界を離れてしまうケースが多いことが明らかになっています。
以下は厚生労働省が公開している、建設業の労働者の入職率と離職率の推移を表したグラフです。
こちらを見ると、令和2、3年は離職率が入職率を上回っているのが分かります。
また令和2年からは入職率が上昇傾向にありますが、離職率も同様に上昇していることが分かります。
この状況を打破するためには、やはり新卒や第二新卒の若者世代をターゲットとして、着実に人材確保に取り組んでいくことが必要となるでしょう。
そこで本節では、若者が建設業界になかなか定着しない主な理由を3つ解説します。
1.そもそも建設業自体が不人気になっている
建設業には、長年続いてきた「3K(きつい、汚い、危険)」というネガティブなイメージが深く根付いています。
厳しい労働環境や長時間労働、体力を求められる作業が多いといった印象が強く、これがSNSや口コミを通じて広まり、若者の間で敬遠される傾向を生んでいるのです。
ワーク・ライフ・バランスを重視する令和の若者にとって、建設業は選択肢から外れてしまうことが少なくありません。
結果として、建設業は若者が選びたくなる職業として認識されにくい状況に陥っていると言えるでしょう。
2.将来性の低さから未来がないと思われている
建設業は雇用の不安定さが懸念されている業界でもあります。
特に中小企業では、非正規雇用が多く、将来的なキャリアパスが見えにくいというのも課題の一つです。
安定した生活やキャリア形成を望む若者にとって、魅力的な選択肢とはなりにくいのかもしれません。
ちなみに国税庁が発表している「令和4年分民間給与実態統計調査結果について」の業種別平均給与では、建設業の平均給与は約529万円というデータが出ています。
全体平均の457万円よりも高い金額ではありますが、それでも求められるスキルや体力に見合った額ではないと感じている人が多いようです。
キャリア形成が難しく、専門スキルを身につける必要があり、給与が格別高い訳ではない…
となると、オフィスワークやサービス業などの堅実に稼げる業種に若者が集中するのも無理はありません。
3.古い社風や勤務体系がマイナスイメージになっている
建設業界には古くからの慣習や社風が残っている企業も多く、それが若者にとって働きにくい環境となっているケースがあります。
長時間労働が当たり前、有給休暇が取得しにくい、女性社員が少ないなど、現代の働き方とマッチしない職場もあるのが実情です。
また、建設業界では現場仕事がメインになるため、テレワークやデジタルツールの導入が進んでいない企業も少なくありません。
生まれたときからネットが身近にあった世代、いわゆるZ世代からすれば、IT技術の導入が遅れている現場を非効率に感じて近寄りがたくなってしまいます。
働き方改革の必要性を感じている方は、できるところから少しずつ始めていきましょう。
▶参考:建設業の働き方改革は無理って本当?実現のために最初にするべきことは〇〇
建設業の若者離れが加速する今。企業側がするべき3つの対策
建設業界における深刻な人材不足、特に若者離れは業界全体の存続に関わる重大な問題です。
魅力的な職場環境の構築なくしては、優秀な若手人材の確保・定着は期待できません。
そこで、企業側が取り組むべき3つの対策をご提案します。
DXツールなどを活用した働きやすい職場作り
先ほども解説したように、建設業は古くからのアナログな作業方法に依存している部分が多く、長時間労働や過酷な労働環境が課題となっています。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年平均確報」によると、建設業の月間労働時間は163.5時間です。
調査対象となった産業全体平均136.1時間と比べると、30時間も多くなってしまっています。
さらに、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されることになりました。
規則違反で罰則を科されないためにも、労働時間を減らして働きやすい環境を作る対策が求められているのです。
そこで必要なのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)ツールの導入です。
建設業界におけるDX化は、国土交通省が既に「DXに向けた取組」を推し進めているように、国内全体で取り組むべき課題とされています。
DXツールの活用例 | 効果 |
---|---|
BIM(Building Information Modeling) ソフトウェア | 設計・施工の効率化、ミス削減、工程管理の容易化による残業削減 |
ドローンによる測量 | 測量時間の短縮、危険作業の軽減 |
ICT施工機器 | 作業の省力化、精度向上、安全性向上 |
クラウド型業務システム | 情報共有の円滑化、ペーパーレス化による事務作業の軽減 |
これらのツールを導入することによって、業務負担の軽減、労働時間短縮につなげていくことが重要です。
より働きやすい環境を構築することで、若者の定着率向上を図ることができます。
▶参考:【2024年最新】建設業に特化したおすすめDXアプリを紹介!無料のツールもあり!
また、何からDXをすべきか迷っている場合は、経営に直結する原価管理から見直していきましょう。
データの入力・管理を一気に効率化できる「工事台帳ソフト」の導入もおすすめです。
▶参考:【最新ツールあり】おすすめ工事台帳ソフト10選!自社に合ったサービスが見つかる!小規模でも◎
キャリアアップ支援の充実
若いうちからキャリア形成を考えたり、将来のことを考えて投資をしたりと、近年の若者世代は今まで以上に人生設計を入念にしている傾向があります。
その点、建設業においてはキャリアアップの機会が少ないというイメージを払拭するためにも、積極的にキャリアパスを示す必要があります。
たとえば以下のように、業界内で活躍するための資格取得やスキルアップを支援する制度を設けるだけでも、若者の印象はかなり変わります。
キャリアアップ支援の具体例 | 効果 |
---|---|
資格取得支援制度 | 建設機械施工管理技士、電気工事施工管理技士など、キャリアアップに有利な資格の受検を補助 |
研修制度の充実 | 後進の育成、専門知識・スキルの向上 |
メンター制度 | 先輩社員からの指導・育成、相談窓口の提供 |
キャリアカウンセリング | 個々のキャリアプラン作成支援、目標設定のサポート |
明確なキャリアパスと成長機会を企業側から用意することで、若者のモチベーションを高め、長期的に働き続けてもらえる環境づくりを進められるでしょう。
SNSやWantedlyを活用した適切な採用
就活サイトから情報を集めて会社説明会に参加する従来の方法よりも、今はネットやSNSを積極的に活用して企業の情報収集を行っている若者が増えています。
YouTubeやTik Tokなどの動画コンテンツで、現場の実際の雰囲気を紹介している企業もたくさんあります。
また近年では、Wantedlyなどの採用プラットフォームも充実し始めています。
自社の採用情報を発信するだけでなく、コンセプトや近況を発信することで企業の実態をより具体的に知ってもらえる便利なコンテンツです。
情報発信を通じて、ブラックな印象が先行しがちな建設業のイメージを払拭し、魅力的な職場であることを効果的にアピールしていきましょう。
建設業の人材不足は「ネクスゲート」にお任せください!
ここまで、建設業界における深刻な若者離れの背景と企業が取るべき対策について解説してきました。
しかし実際のところ、頭では分かっていても現状の課題解決になかなか踏み切れない企業様も多いのではないでしょうか。
「目の前の業務をこなすだけで精一杯」「採用活動に割けるほど人員が足りていない」など、現場によってさまざまな声があるはずです。
そこで弊社ネクスゲートでは、自社での改革に限界を感じている企業担当者様に向けて、若者の獲得を想定に入れたさまざまなご提案を行っています。
ネクスゲートによるご提案 | 具体的な内容 |
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クラウド型施工管理ツール 「工事台帳アシストAI」の導入支援 | AIを活用した効率的な施工管理システムを活用して煩雑な事務作業を自動化。 モノづくりに集中できる環境を作ります。 |
建設業界に特化したコンサルティング | 人材不足、DX推進、働き方改革など、建設業界特有の課題解決に向けた戦略策定と実行支援を行います。 |
AIを活用した課題解決支援 | 工程管理、コスト管理、安全管理など、人員不足による様々な課題に対して、AIを用いた解決策をご提案いたします。 |
建設業界ならではの課題をしっかりと分析し、各企業様の成長を支援するパートナーとして、さまざまな角度からご提案を行います。
DX化による生産性向上、魅力的な職場環境づくりを通じて、若手にとって魅力的な企業へと生まれ変わるためのお手伝いをいたします。
資料請求はこちらからできます。まずはお気軽にご相談ください!
まとめ:建設業の若者離れが加速する今。迅速な対策が必須!
本記事では、建設業における深刻な若者離れの実態とその背景にある要因、そして企業が取るべき対策を解説しました。
人手不足が深刻化する建設業界において、若者世代の流入促進は喫緊の課題です。現状維持では、将来的な業界の存続すら危ぶまれます。
まずはDXツールの導入や採用活動の見直しから始めて、若者世代の獲得に繋がる取り組みを広げていきましょう。
若者離れでお困りの建設企業様は、ぜひ一度ネクスゲートにご相談ください。 最適な人材確保のご支援をさせていただきます。
各企業様が抱える課題解決に向けたコンサルティングを行い、「工事台帳アシストAI」を使った業務フローをご提案いたしますので、デジタルツールに不慣れな方でも安心です。
少しでもDXにご興味をお持ちの方は、まずはこちらから資料請求をしてご検討ください。