施工管理業務を効率化する方法とは?メリットも併せて解説!
建設プロジェクトをスムーズに進行させるための要となる施工管理業務。
現場では手作業や紙ベースでのアナログな管理方法がまだ多く残っており、業務の滞りや残業時間の増大に悩んでいる企業様も多いのではないでしょうか。
特に、工事台帳の作成や原価管理・進捗確認・労務管理などはミスが生じやすい業務です。時間と手間がかかり、人的ミスが後々のトラブルを引き起こすことも少なくありません。
そこで本記事では、施工管理業務を効率化するための具体的な方法について徹底解説していきます。
- そもそもなぜ施工管理業務を効率化させるのか
- 効率化をするとどのようなメリットがあるのか
- 具体的に何をすれば良いのか
- デジタルツールに慣れていない現場はどうすればいいのか
など、いくつかのポイントに分けて解説していきますので、ぜひ自社の課題と照らし合わせながらご覧ください。
施工管理業務を効率化するべき理由とは?
そもそもなぜ施工管理業務を効率化すべきなのか、その理由をちゃんと説明できる人は意外とすくないのではないでしょうか。
単に「仕事が楽になるから」ということももちろんありますが、それだけではない構造的な理由があるのです。
効率化の方法を知る前に、まずは根本的な意義を知ることで効率化に取り組んでいきましょう。
ここでは、以下の4つのポイントに分けて解説していきます。
- 施工管理における業務負担の現状
- 人材不足と働き方改革の推進
- 品質向上と安全確保への意識の高まり
- 工期短縮とコスト削減の必要性
それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
施工管理における業務負担の現状
一言で施工管理と言っても、実際には工程管理・品質管理・安全管理・原価管理など、業務は多岐にわたります。
それぞれの業務が密接に関連しているため、膨大な量の書類作成やデータ管理に加えて、関係者との密な連携も求められているのが実情です。
扱う情報が多くなるほど業務が増え、現場担当者の方々は日々多忙を極めていることでしょう
特に、現場監督や施工管理技士は常に現場状況を把握し、迅速な判断と的確な指示を下さなければなりません。
その負担はきわめて大きく、仕事に対してプレッシャーを感じている人も少なくないはずです。
人材不足と働き方改革の推進
建設業界では長年人材不足が深刻化しており、特に若手技術者の減少が目立っています。
少子高齢化が加速する中でこの状況はさらに悪化する可能性が高く、現場の労働力確保は大きな課題となっているのです。
以下は日本建設業連合会が厚生労働省のデータをもとに作成した、建設業入職・離職者数の推移グラフです。
2016〜22年ごろにかけて、転職率と離職者数がどんどん増えていることが分かります。
また、働き方改革の推進により労働時間削減や休暇取得の促進など、労働環境の改善が求められています。
長時間労働や休日出勤が常態化していた建設業界では、働き方改革への対応が急務となっているのです。
品質向上と安全確保への意識の高まり
近年、すべての業種において品質や安全に対する意識が大きく高まっています。
もちろん建設業界も例外ではなく、不具合や事故が発生した場合、企業イメージの低下や法的責任を問われる可能性もあります。
近年ではSNSによって世間の声があっという間に広がるようになったため、会社のイメージや顧客満足度が経営を左右することも多くなっていますよね。
これに伴って、施工管理の現場でも今まで以上に厳格な品質管理と安全管理が求められるようになったのです。
現場担当者の負担は年々増加の一途をたどっています。
工期短縮とコスト削減の必要性
ここ数年で身の回りのあらゆる物価が上昇しているように、建設資材の価格も信じられないほどの勢いで高騰しています。
以下は弊社が建設物価調査界のデータをもとに作成した、東京の建設資材物価指数の推移グラフです。
2021年から、建設業界全体で物価指数が急上昇していることが分かります。
これを受けて建設プロジェクトでは、限られた予算と期間の中で品質の高い建物を完成させることが今まで以上に求められています。
ここが施工管理の効率化が滞っている最大の原因とも言えるでしょう。
施工管理業務を効率化するメリット
次に、施工管理業務の効率化をすることでどのような効果が生まれるのか、それによって現場の方々にどのようなメリットがもたらされるのか見ていきましょう。
- 業務が減り残業時間が短くなる
- 職場環境の改善で求職者が増える
- 場所を選ばず働けるようになる
それぞれ具体的に説明していきます。
業務が減り残業時間が短くなる
効率化が進めば業務にかかる時間を短縮でき、残業時間を減らせるようになります。
そして残業時間が減り、会社が社員に支払う人件費を削減できるようになれば、余った費用を福利厚生や会社の設備の導入などに充てられるようになるのです。
残業が減ることで従業員のモチベーション低下も阻止でき、転職率・離職率の低減も期待できるようになります。
「業務効率化」と聞くと大変そうなイメージがありますが、職場環境を改善することで社員にとっても会社にとってもメリットになるのです。
職場環境の改善で求職者が増える
世間からのイメージとして、建設業界は体力仕事で忙しいという印象が強く、自ら率先してやりたいと考える人は少ないのが現状です。
しかし、今よりも働きやすい職場になれば状況は変わります。
施工管理業務を効率化することで、建設業全体の問題である若手の人材不足を解消できるかもしれません。
すぐに成果が出るとは限りませんが、業務時間・残業時間の短縮を図ることで徐々に求職者に情報が伝わり、志願者が増える可能性は十分にあります。
場所を選ばず働けるようになる
施工管理業務を効率化し、IoT化が進めば、現場に直接出向かずとも場所を選ばすに働けるというメリットがあります。
現状の紙ベース・対面ベースの施工管理業務の場合、工事現場の状況を直接確認しながら管理しなければならないことがほとんどでしょう。
現場終了後にわざわざ事務所に戻って事務業務をし、残業時間が増えることも問題視されていました。
しかし、書類作成や工程管理などの作業をオンラインで実施できるようになれば、現場監督をしている間にその場で業務を進められます。
場合によっては自宅でのリモートワークも実現するかもしれません。
自社内での働き方の幅を広げるためにも、施工管理業務の効率化は取り組むに値する課題と言えるでしょう。
施工管理業務を効率化する方法とは?
ここまで解説してきたポイントを踏まえて、施工管理業務を効率化するためには具体的にどんなことをすればいいのかという点を解説していきます。
建設現場では、進捗管理やコスト管理、現場間のコミュニケーションなど、多岐にわたる業務が求められますが、それらを効率化するための手法はさまざまです。
今回は特に取り組みやすいもの、代表的なものを5つピックアップしてご紹介します。
DX化の内容 | おすすめ度 |
---|---|
専用のソフトやアプリを導入す | ★★★★★ |
ドローンを活用する | ★★ |
タブレット端末を活用する | ★★★★ |
AIロボットを活用する | ★★★★ |
建設業界のDXを支援する 企業にサポートしてもらう | ★★★★★ |
これから施工管理業務の効率化を図ろうと考えている方や、どこから手をつけるべきか迷っている方はぜひご覧ください。
専用のソフトやアプリを導入する★★★★★
施工管理業務を効率化する上で、最初に検討していただきたい方法が専用のソフトやアプリの導入です。
たとえば、クラウド型の施工管理アプリを利用すれば現場担当者リアルタイムで情報を共有でき、報告書の作成や資料の管理を簡素化できます。
また、工事台帳や請求書などのドキュメントも自動で生成されるため、人的ミスの削減や業務のスピードアップ、そして作業効率の大幅アップに繋がるのです。
施工管理を含めたおすすめの工事台帳ソフトについては、以下の記事で徹底的に比較・解説しています。少しでもご興味があればぜひご覧ください。
▶参考:【最新ツールあり】おすすめ工事台帳ソフト10選!自社に合ったサービスが見つかる!
ドローンを活用する ★★☆☆☆
土木・交通・農業など、さまざまな業界において注目を集めているドローンもまた、施工管理業務を効率化させてくれる手段の一つです。
また、作業員が立ち入るのは危険な箇所やアクセスが難しいエリアでも、ドローンなら安全に作業を進められます。
ただし、ドローンの導入には莫大なコストがかかるうえに、操作をするためには専門的な資格が必要になります。
運用にあたっては法的な制約も考慮する必要があるため、活用の場面が限られてしまうことも多いでしょう。
現時点では、施工管理全体の効率化には限定的な効果しか得られない可能性があります。高額な資金が必要な点も踏まえると、他の課題と比べて優先度は低めです。
ちなみに、株式会社Script Bridgeのようにドローンスクールを運営している建設会社もあります。
本格的に導入するのであれば、まずはドローンの操縦方法を学ぶところから始めましょう。
タブレット端末を活用する★★★★☆
スマホより画面が大きく、PCよりも持ち運びやすいタブレットは、図面や資料をデジタルデータで確認できるため現場での作業効率が格段に向上します。
図面の変更や進捗状況をリアルタイムで共有することもできるので、ペーパーレス化と情報共有の強化を同時に叶えられる便利アイテムです。
また、DataLabs株式会社が提供しているクラウドシステム「Modely」では、iPad一台で現場の状況を点群データ化できるという機能も実装されています。
データや帳票を発注者とオンライン上で共有して、検収手続きまで完了できるため施工管理がスムーズに進むことでしょう。
タブレットは本体価格も比較的安価なので、費用を用意せずともすぐに導入できます。施工管理業務を効率化したい方が最初に取り組む課題としてもおすすめです。
AIロボットを活用する★★★★☆
AIロボットとは、施工現場での定型作業やパトロール、データの収集・分析を自動化してくれるデバイスやツールのことです。
たとえば、進捗状況のモニタリングや資材の在庫管理など、従来人が手動で行っていた業務を代行してくれます。
導入には初期費用とメンテナンス費用がかかりますが、その分コスト削減や収益アップなどのリターンが見込めるでしょう。
たとえば建ロボテック株式会社では、省人化をテーマに国内外の建設業向けロボットを提供しており、自社にあったロボットを派遣してくれる「建設DX支援サービス」も行っています。
AIロボットの技術は日々進化しているため、今後施工管理においても活用範囲がさらに広がることが期待できるでしょう。
建設業界のDXを支援する企業にサポートしてもらう★★★★★
デジタルツールに弱い、経営陣が効率化に前向きではないとお困りの場合は、建設業界に精通している企業にサポートを依頼するというのも一つの手段です。
建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援している企業なら、現状の施工管理にどのような課題があるのか、そのためにどのような対策が必要なのかをしっかりと洗い出してくれます。
さらに、現場の課題やニーズに合わせたコンサルティングを提供してくれることもあります。
DX化が進んでいない、もしくはDX自体何なのかよく分かっていないという方は、専門家に頼ってみましょう。
建設業における効率化の取り組みに強い企業については、以下の記事で詳しくご紹介しています。頼れる相談先をお探しの方はぜひご覧ください。
▶【2024年更新】建設業界のDXを支援する企業一覧!どの会社に相談するのが最適?
施工管理の効率化に迷ったら、経営に近い「原価管理」から進めるのがおすすめ!
施工管理の効率化に際してどこから手をつけるべきか迷うときは、経営に直結する「原価管理」から進めてみましょう。
工事ごとのコストを正確かつ手早く把握することで、工事全体の収支バランスを見える化でき、経営判断の材料にできます。
経営の根幹に関わるからこそ、効率化の恩恵を真っ先に享受できるのが原価管理なのです。
たとえば、工事台帳をデジタル化すればミスや入力漏れを防ぎつつ、迅速にコストデータを収集・分析できます。
結果として、無駄なコストの削減や資源の最適な配分が判り、全体の利益率向上にもつながるのです。
「工事台帳アシストAI」では、従来手動で行っていたAIで一元管理することによって、正確な原価管理をサポートしています。
これにより現場でのミスを防ぎ、より効率的なプロジェクト運営・施工管理を実現させ、会社全体の生産性の向上に貢献しています。
フォーマット異なる書類データの収集や、異なる現場での請求内容の入力ミスなど、施工管理に関わる課題をデジタル技術で解決していきます。
AIが99.9%の精度でデータを読み取り、自動的に仕訳処理まで行うため、原価管理においても安心して活用できる強力なツールです。
工事台帳アシストAIを導入したことで、作業時間が約80%短縮されたという調査データも出ています。
施工管理業務の見直しを検討されている方は、いち手段として「工事台帳アシストAI」の導入をご検討ください。
ネクスゲート株式会社による見積り相談や導入時のサポートもご利用いただけます。
施工管理業務の効率化に関するよくある質問
最後に、施工管理業務の効率化についてよくいただくご質問内容を紹介します。
Q.施工管理ソフトの導入費用はどのくらい?
施工管理ソフトの導入費用は、使用するソフトの種類や機能、ユーザー数によって大きく異なりますので一概には言えません。
クラウド型の場合は初期費用が比較的低く、月額利用料を支払う方式が一般的です。
一方でオンプレミス型の場合は、初期費用が高くなるぶん月額利用料はかかりません。
例えばクラウド型の場合は、インターネット回線やサーバー利用に際して費用が発生します。
またオンプレミス型の場合なら、サーバーの設置費用やメンテナンス費用などが必要です。
Q.BIM/CIM導入にはどのような準備が必要?
BIM/CIMを導入するにはいくつかの段階を踏む必要がありますが、最低でも以下の準備は必ず行うことになります。
- 体制構築:BIM/CIM担当者を配置したり、BIM/CIMに関する教育を実施したりする
- ソフト・ハードウェアの導入:BIM/CIMに対応したソフトやハードウェアを導入する
- データ作成:3Dモデルや関連情報を作成する
- 運用ルール策定:BIM/CIMの運用ルールを策定し、関係者間で共有する
特に4つ目の関係者間でのルール共有は必ず行いましょう。これを怠るとBIM/CIMを導入した瞬間に現場が混乱し、かえって業務の効率が悪くなります。
導入前に、入念に準備を進めておくことが重要です。
Q.効率化を進める上で、どのような点に注意すべき?
効率化を進める上で、特に注意すべきポイントは以下の通りです。
注意点 | 詳細 |
---|---|
現場の状況に合わせたツール選択 | ツールやテクニックをとりあえず導入すれば良いという訳ではありません。現場の状況・業務フロー・予算などに合わせて、最適な選択肢を採る必要があります。 |
関係者への周知と理解 | 混乱を招かないためにも、新しいツールやテクニックを導入すると各所へ事前に周知し、理解を得ておきましょう。 |
運用ルールの明確化 | ツールの運用ルールを明確化し、関係者全員がルールを守って作業を行う必要があります。 |
継続的かつ定期的な改善 | 効率化は一度導入すれば終わりではありません。継続的な改善を心がけ、効率化した業務フローを定着させることで初めて成果が生まれます。 |
注意するべき点が多く、長期的に運用していけるかどうか不安な方は、効率化を支援している企業に相談してみるのもおすすめです。
まとめ:施工管理のDXにお悩みの方は、ツールの導入から始めるのがおすすめ!
今回ご紹介したように、デジタルツールを導入したり、進捗管理を自動化したりすることで作業フローを見直し、施工管理全体を効率化させることができます。
ペーパーレス化やクラウドシステムの導入を進めることで、業務全体がスピードアップするだけでなく、働き方改革やリモートワークも実現できるかもしれません。
現場チーム全体のモチベーションを高めるためにも、まずは自社の課題に合った施工管理システムを導入するところから始めてみましょう。
弊社ネクスゲートでは、業務効率化に特化した「工事台帳アシストAI」の開発および導入企業様に合わせた支援を行っています。
工事台帳だけでなく、原価管理や勤怠管理、その他さまざまな事務手続きにかかる時間と手間を削減できます。
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