建設業の人手不足について。原因や正しい対策方法を解説!
「とにかく人が足りない…」
建設業界で働く全員にとって共通のお悩み、人手不足。現場の負担が増えていたり、工期に間に合わないなんてこともありますよね。
高齢化や待遇面の問題など、さまざまな社会情勢が絡み合うことでこの状況は今後さらに悪化すると予想されています。
残業を規制するなどして、国も急いで労働環境の改善を進めていますが、成果が出るのはまだ先と見込まれています。
現場の負担を少しでも軽減するためには、現状への対応策を各企業でしっかりと考えていかなければなりません。
そこでこの記事では、建設業の人手不足の現状と課題を詳しく解説し、今すぐできる効果的な解決策を具体的に紹介します。
SNS活用やDXなど、最近よく聞く内容についても触れていきますので、人手不足に悩む建設会社の方々は必見です。
建設業が人手不足の理由とは?
ご存じの通り、日本の建設業界は今深刻な人手不足に悩まされています。
少子高齢化や労働環境問題、需要の拡大など、複数の要因が複雑に絡み合っているためです。
ここでは建設業の人手不足の主な原因を、3つの観点から解説します。
高齢化が進んでいるから
建設業界ではベテラン技術者の引退が相次ぎ、熟練した技術の継承が課題となっています。
「若手が育たない」という事態に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
以下は令和4年の「労働力調査」をもとに国土交通省で作成された、年齢階層別の建設技能者数を示すグラフです。
グラフを見ると、もうすぐ引退するであろう65歳以上の技能者が25.7%を占めており、逆に今後の現場を支えていかなければならない10~20代の技能者はわずか11.7%しかいません。
建設業の高齢化人手不足がいかに深刻な状況であるかがよく分かりますね。
さらに、日本全体での高齢化に伴って労働力人口の減少は避けられず、人手不足の一因となっているほか、労災のリスクを高める原因にもなりかねません。
給与水準が比較的低いから
建設業界は給与が安いというイメージが世間的に定着してしまっているのも、人手不足の一員です。
事実、給与水準は全産業(パート等除く)と比較して低い傾向があります。
特に平成24~30年ごろにかけては、建設業の賃金がいかに低いかがよく分かります。
若い世代は、より高収入で労働環境の良い業界に流れてしまうため、建設業界への就職意欲が低くなるのも無理はないでしょう。
ただし、働き方改革やリモートワークの拡大などによって、令和に入ってから少しずつ給与が上がっているのも事実です(グラフ参照)。
今後、若い世代にいかにアピールしていくのかがポイントと言えるでしょう。
建設業の需要が拡大しているから
近年、インフラ整備や再開発事業の増加などにより建設業界の需要は拡大しています。
しかし、労働力人口の減少と相まって、需要に見合うだけの供給ができない状況となっているのが現状です。
建設業界の人手不足は一つ課題をクリアすれば改善されるものではありません。解決のためには、現場に即した対応策が早急に必要となるでしょう。
国が行なっている建設業の人手不足対策とは?
ここまで見てきた通り、建設業の人手不足はもはや喫緊の課題です。
国もこの問題の深刻さは理解しているようで、数年前から本格的な対策に乗り出しています。
建設業界が今後どのように変わっていくべきなのか…それを知るためにも、まずは国の政策を基礎知識として知っておきましょう。
労働基準法の改正
建設業はこれまで何十年にもわたって、長時間労働や過酷な労働環境が問題視されてきました。
2019年4月には労働基準法改正により、労働時間の上限が厳しく規制されるようになりましたが、多くの企業が2020年4月から新ルールを適用する中、建設業界では他業種に比べて特例が認められています。
36協定の締結
36協定とは、労働基準法で定められた時間外労働の上限時間を超えて労働させる場合に、労働組合や労働者代表と協定を締結する制度です。
労働基準法では1日の労働時間を8時間・週40時間以内と定めていますが、36協定を結ぶことで月45時間・年間360時間を上限に時間外労働が認められます。
また、建設業においては災害復旧や復興事業に従事する場合、上限規制の特例が適用されます。
このように時間外労働をする際の制度をしっかりと設けることで、長時間労働を避けつつ、人手不足をカバーする方策が立てられました。
▶参考:建設業の働き方改革は無理って本当?実現のために最初にするべきことは〇〇
CCUS(建設キャリアアップシステム)の導入
建設キャリアアップシステム(CCUS)は、建設業従事者のスキルアップとキャリア形成を支援する制度です。
建設業の技能労働者の高齢化が進む中、若年層の育成と定着を図るために、国家資格制度との連携やスキルの可視化、キャリアパスの明確化などを推進しています。
このシステムを導入することで、事業者は現場入場の申請書類作成などの業務負担を軽減できます。
CCUSの活用は労働者一人ひとりのスキルアップだけでなく、建設業界全体のレベルアップにも繋がる重要な取り組みと言えるでしょう。
CCUSについてもう少し詳しく知りたいという方は、以下の動画もチェックしてみてください。
今後も建設業の人手不足はこれからも加速..。対策は必須!
ここまで建設業の人手不足の現状、課題、そして国による対策を見てきました。
国も必至に対策に動いているところですが、残念ながら、人手不足は今後も悪化するだろうというのが世間の予測です。
人手不足が続くと建設現場の負担が増加するだけでなく、工期遅れが生じたり、若手の教育にリソースを割けず現場全体の技術が低下したりして、自社全体の評価を下げる原因にもなりかねません。
単なる「人材確保」ではなく、「働き方改革」を含めた抜本的な取り組みが必要になっているのです。
つまり、今人手不足をそれほど深刻に感じていない企業様でも、今のうちから採用に力を入れていかなければなりません。
ただ若い人材を採用すれば良いということではなく、建設業の仕事に意欲があり、技術をしっかりと身につけられる人員を確保することが大切です。
2024年現在でも、既にさまざまな企業が自社なりの働き方改革を行っています。ぜひ事例として参考にしてください。
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人手不足の建設会社がするべき対策
①適切な採用戦略を設計する
建設業界の人手不足を解消するには、まず魅力的な採用戦略を設計することが不可欠です。
労働条件を見直していくのはもちろん、以下のように従来は取り組んでこなかった新たなアプローチを取り入れることで、若手の人材を獲得していきましょう。
具体例として、今回は「SNSを活用した採用」と「外国人労働者の採用」の2つをご紹介します。
SNSを活用した採用
近年は就活サイトや求人サイトだけでなく、SNSから企業情報を収集する若者が増えています。
「肉体労働で若手がいない」という建設業界のイメージ刷新にも繋がるため、企業の魅力や働きやすさを積極的に発信していきましょう。
具体的にはInstagramやX、YouTube、Tik Tokなど、画像だけでなく動画も投稿できるSNSサイトがおすすめです。
たとえば以下のように、Tik Tokで現場の職人さんの声やアットホームな雰囲気を紹介しているアカウントもあります。
Tik Tokは10~20代のユーザーが特に多いSNSなので、自社へのエントリーを検討してもらえるきっかけになりますよね。
社員インタビューなどを掲載して、建設業界に対するネガティブなイメージを払拭することも有効です。
外国人労働者の採用
深刻化する人手不足を解消する一つの手段として、外国人労働者の受け入れが挙げられます。
近年ではコンビニやスーパーで外国人の店員さんを見かける機会が増えていますが、建設業でも雇用が進んでいる実情があります。
政府も以下のように外国人労働者の受け入れ拡大を進めており、建設業界においても積極的に活用していくことが重要です。
- 特定技能制度(建設分野)の拡大
- 外国人建設就労者受入事業(建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置)
- 技能実習制度(建設分野)の拡大
- 技能実習生に関する失踪防止対策
ただし、外国人労働者の採用にあたっては、言語や文化の違いを理解して円滑なコミュニケーションを図るための体制を整える必要があります。
多言語対応の求人広告や日本語教育、異文化理解研修の実施なども有効です。
国土交通省のHPでは、建設産業における外国人労働者の雇用に関しての情報がまとめられています。これを機にしっかりチェックしておきましょう。
②DXで働きやすい環境を整える
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、建設業界における人手不足対策に有効な手段として近年注目度が高まっています。
デジタル技術を積極的に活用し、業務効率化や生産性向上を実現することで、労働環境の改善につなげています。
ざっとリストアップするだけでも以下のように、DX化の方法はさまざまあります。
- 現場のデジタル化
工事台帳の電子化、工程管理システムの導入、現場作業員のスマートフォン活用など - BIM/CIMの導入
設計図面を3次元モデルで管理することで、設計変更の発生抑制、工程管理の可視化、コスト管理の精度向上などを実現 - IoT技術の活用
センサーやカメラなどのIoTデバイスを活用することで現場の状況をリアルタイムで把握し、データに基づいた効率的な作業計画や安全管理を実現 - AI技術の活用
画像認識技術、自然言語処理技術などを活用して作業員の安全確保、危険予知、作業進捗の管理などを支援 - クラウドサービスの導入
場所を選ばずにアクセスできるようになり、情報共有やデータ管理を効率的に行うことが可能 - ロボット技術の活用
建設作業を自動化し、労働力不足の解消や安全性の向上、作業効率の向上などを実現 - VR/AR技術の活用
建設現場のシミュレーション、安全教育、品質管理などを支援
中でも、「現場のデジタル化」や「AI技術の活用」は現場の省人化に繋がりやすく、人手不足を解消する方法として非常に有効です。
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③適切な工期を設定して現場に無理をさせない
人手不足が続くと、現場にいる作業員に過剰な労働時間や長時間労働を強いることになってしまい、離職の原因にもなりかねません。
これ以上人手不足を悪化させないためにも、適切な工期を設定し、現場に無理をさせないことが重要です。
労働時間を管理するシステムを導入したり、請求業務等の事務仕事をAIに任せたりして、従業員が時間に余裕を持って働ける環境を作りましょう。
▶参考:建設業の働き方改革は無理って本当?実現のために最初にするべきことは〇〇
まとめ:建設業の人手不足は今後も加速する!早めの対策を推奨。
本記事では、建設業を取り巻く深刻な人手不足の現状と、建設業で講じていくべき具体的な解決策について解説しました。
高齢化社会の進展、若年層の建設業離れ、建設需要の増加など、複雑な要因が絡み合うことで建設業の人手不足は今後ますます加速していくでしょう。
この状況を打破するためには、単なる労働力確保だけでなく、働き方改革や生産性向上のための抜本的な対策が不可欠です。
弊社ネクスゲートでは、建設DXを積極的に推進している企業として、さまざまな業務効率化をご提案しています。
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