少量でも長尺材を運ぶためにトラックが必要な建材配送
建材配送の「小口」は、小さな箱ではなく、少量の長尺材を指すことがあります。 重量だけを見て車両を小さくできないところに、配送を組む難しさがあります。
内装向けの金属製下地材などを扱う、ある建材会社でも、この点が悩みになっていました。営業所の倉庫から協力運送会社のトラックで現場へ届けるほか、工事店や職人が引き取りに来る形で対応しています。
扱う建材は、数量も重量も荷姿もさまざまです。パレットに載っていないものもあります。中心となるのは長さ3メートル前後の部材ですが、さらに長いものも扱います。
担当者は、こう話していました。
「普通の宅配便で運べるものは、それで送れます。困るのは、少量なのに長いものなんです」
大型現場へまとまった量を届ける配送とは別に、中小規模の現場への少量配送も日常的にあります。共同配送を考える出発点は、この「少量なのに一台必要になる荷物」です。
朝一番の納品が重なり、少量の荷物にも追加車両が必要になる構造
配送コストが膨らむのは、荷物が少ないからだけではなく、同じ時間帯に必要な車両が重なるためです。
この会社では、十数キログラムほどの建材でも、朝一番の納品を求められることがあります。一方で、別の現場からも同じ時間帯に、車両いっぱいの納品依頼が入ります。
先に受けた依頼を優先しつつ、後から来た依頼もできるだけ断らない。その結果、通常の配送体制で収まらない分を、スポットの車両手配で補っていました。
「この量のために、トラックを一台用立てるのか、というときの負担が大きいんです」
ただし、空いている荷台に載せれば解決するわけではありません。配送先が違い、両方とも朝一番の納品が必須なら、一台で順番に回ることは難しくなります。
共同配送で見極めたいのは、単なる荷台の空きではありません。荷物を一緒に積めて、なおかつ現場が必要とする時間に届けられる組み合わせがあるかどうかです。
長尺材の積み合わせ条件と、現場ごとの細かな納品要望
共同配送が進みにくい背景には、荷物の扱い方と納品条件が、配送ごとに異なる事情があります。
担当者からは、「パレットで積めるか」「上に別の荷物を載せてよいか」といった確認事項が挙がりました。同じ建材でも、積み重ねられるものと、そうでないものがあります。長尺材と段ボール箱の荷物を一緒に運ぶ案もありましたが、実際に成立するかは荷物同士の相性次第です。
納品先の条件も一様ではありません。大型現場には厳格な搬入調整があり、小規模な店舗工事などでも作業時間が限られます。資材が想定した時間に届かなければ、職人の作業が止まることもあります。
一方で、一定の納入リードタイムを前提に、長尺建材を積み合わせて運ぶ既存の配送方法もあるとのことでした。つまり、共同配送そのものが難しいのではなく、時間や荷物の条件が合う範囲を見つける必要があります。
さらに、近い荷姿を扱う相手は競合会社でもあります。
「近いものを扱う会社同士のほうが始めやすい。ただ、情報管理があるので、直接は進めにくいところもあります」
積み合わせの条件調整と、競合間で情報を広げすぎない仕組みの両方が必要です。 配送先と車両をネット上で結び付けるだけでは、この調整は残ります。
同じ地域の近い荷姿から、納品条件と情報の扱いをそろえる小さな検証
最初からすべての少量配送をまとめず、同じ地域で、荷姿と納品条件が近い荷物に対象を絞る進め方が現実的です。 この会社でも、特定エリアでのテストや、近い長尺建材を扱う会社との連携が検討されていました。幅広い荷物を結び付ける仕組みは構想段階であり、建材配送での効果が確認されたわけではありません。
まずは「一緒に運べる条件」を確認する
共同配送の候補は、次の条件をそろえて判断します。
- 荷姿:長さ、数量、重量、パレットの有無がどうなっているか
- 積み重ねの可否:上に別の荷物を載せられるか
- 荷物同士の相性:同じ荷台で扱って問題がないか
- 配送先:同じ地域や同じ現場など、まとめて運べる行き先か
- 時間指定:必須の時刻なのか、調整できる余地があるのか
- 納入リードタイム:積み合わせに必要な日数を確保できるか
ここで大切なのは、希望と必須条件を分けることです。時間指定を緩められない配送と、一定のリードタイムを取れる配送を同じ枠で考えると、組み合わせは見つけにくくなります。
納品時刻を守る必要がある荷物まで、無理に共同配送へ寄せる必要はありません。 まずは条件が合う荷物を対象にし、専用便が必要な配送とは分けて考えます。
調整役を置き、競合間の情報共有を必要な範囲に絞る
候補となる相手は、同じ地域で近い長尺材を扱う会社です。荷物の扱いが近ければ、積み合わせ条件を確認しやすくなります。
ただし、競合会社同士で配送情報を全面的に共有する形では、進めにくい面があります。第三者が間に入り、各社から条件を確認し、共同配送に必要な情報だけを扱う形が検討の前提になります。
誰が調整し、誰にどこまで情報を見せるかを、荷物の組み合わせと一緒に決めることが重要です。 運送会社も交え、積めるかどうかだけでなく、納品先の条件まで確認します。
一つの地域で、追加手配を減らせるか確かめる
検証では、少量配送のすべてを切り替えるのではなく、条件の合う組み合わせに限定します。確認するのは、一台にまとまったかだけではありません。必要な納品時間を守れたか、スポット手配を減らせたか、調整を含めて費用を抑えられたかまで見ます。
この会社では、別の配送方法を試そうとしても、依頼が従来の窓口へ先に集まり、利用が広がらなかった経験もありました。小さく試す際も、対象の荷物を誰が選び、どこへ依頼するかを関係者でそろえておく必要があります。
共同配送を増やすことではなく、現場への納品を守りながら、余分な一台を減らせるかを検証する取り組みです。
まとめ
少量の長尺建材で配送負担が大きくなるのは、長さや積み合わせの制約に、同じ時間帯への納品集中が重なるためです。 重量や荷台の空きだけでは、共同配送の可否は決まりません。
荷姿、積み重ね、荷物同士の相性、配送先、時間指定、許容できる納入リードタイム。この条件を整理し、同じ地域の近い荷物から組み合わせを探します。
競合会社との連携では、第三者による調整と情報の秘匿も欠かせません。まずは条件の合う範囲で試し、納品を守ったうえで追加車両と費用を減らせるかを確かめることが、次の一歩になります。
少量の長尺材を共同配送できる範囲の整理
「うちの配送なら、どの荷物から検討できるか」という段階から整理できます。 少量でも一台必要になっている配送や、時間指定が重なって追加手配になっている配送を分けるだけでも、検討の対象が見えてきます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建材配送の見直しでも、現場の納品条件と費用の両面から、何を確認するか、誰と調整するかを一緒に考えます。
共同配送ありきではなく、今の配送をどう整理すべきか、というご相談でも構いません。無理な営業はいたしませんので、自社で検討する際の整理先としてご活用ください。