建設業の原価管理は超重要!メリットや適切な管理方法を解説!
資材の高騰や人手不足など、経営環境が厳しさを増す建設業界において、利益を確保するためにも原価管理は必要不可欠です。
しかし、建設業特有の複雑な計算方法や作業の多さなどから、原価管理に頭を悩ませている企業様も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、建設業における原価管理の重要性やメリットを踏まえたうえで、業務効率化に関するポイントを専門家目線で解説していきます。
原価管理で何から手を付ければ良いのか分からずお困りの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
下記の動画でも原価管理の基本が解説されているので、チェックがおすすめです!
建設業が原価管理をするべき理由とは?
建設業における総原価は、工事原価に販売費や一般管理費を加えたものを指しており、工事原価は材料費・労務費・外注費・経費の4つに分類されます。
総原価を正確に把握し分析すること、すなわち原価管理をすることは、利益を最大化し経営を安定させるために不可欠です。
すなわち、原価管理を通じて経営や施工管理の適正化が図られ、建設業の基幹業務において重要な役割を果たしていると言えます。
そして近年、建設業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、原価管理の徹底がますます重要になっています。
要点を3つに絞ってもう少し深堀りしていきましょう。
建設業自体の利益率が低いから
建設業は原則受注型のため、大量生産や効率化による成果が反映されにくく、他の業種と比較しても利益率が低いことが課題視されています。
受注を優先するあまり採算性の低い案件を抱え込むケースも多く、利益を確保するためには原価の正確な把握が必要です。
業界内での競争を生き残るためには、受注価格や効率面で同業他社との差別化を図っていくことが必要なのです。
ICTの導入やDX化によって改善の兆しは見えるものの、全体の利益率向上にはまだ課題が多いのが現状です。
少しでも自社の利益を上げられるような原価管理を、常に意識する必要があります。
建設資材が大きく高騰しているから
近年、世界的な物価高騰の影響を受け、建設資材の価格も大幅に上昇しています。
木材や鉄鋼、セメントなど、建設に必要な資材の多くが値上がりしており、建設コスト全体を押し上げています。
2021年頃から右肩上がりで価格が高騰しているのが下のグラフからも見て取れます。
世界情勢による一時的なものだとしても、一度高騰した価格が元に戻るのには時間がかかります。
昨今の厳しい情勢の中でも正確な原価管理を行い、資材価格の高騰による影響を最小限に抑えることが、企業の収益を守る上で不可欠なのです。
状況がどんどん厳しくなる中でも自社が生き残るためには、より正確な原価管理が必要になってくると言えるでしょう。
実際のところ、どの資材がどれくらい値上がりしているのか図解付きで解説している記事もありますので、併せてチェックしてみてください。
▶参考:建設資材の高騰はいつまで続く?原因は?対策を専門家が解説!
労務費なども高騰するから
昨今は国内全体で人手不足が深刻な問題となっていますが、建設業でも熟練工の高齢化や若年層の離職などにより労働力の確保が難しくなり、労務費の高騰を招いています。
また、2023年4月からは中小企業にも60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率50%の適用が義務化されることになりました。
この改正により、企業は残業削減および従業員への報酬アップを同時に求められることとなり、効率的な労働環境の整備が急務とされています。
単なるコスト削減だけでなく、労務災害の防止や企業の持続的な利益確保など、さまざまな要素を考慮しながらの原価管理が求められているのです。
労務費の具体的な計算方法については、下記の記事で解説しています。
▶参考:工事台帳の労務費の計算方法や適切な割合は?見落としがちな注意点も解説!
建設業の原価管理はかなり大変
建設業の原価管理は、他の業種と比べても格段に複雑で、経理処理に慣れている担当者でも手間取ることは少なくありません。
以下、その理由を2点に絞って解説していきます。
手入力の作業が多いから
建設業の原価管理は、未だに手入力作業に頼っているケースが多いのが現状です。
工事ごとに発生する多様な費用項目(材料費、労務費、外注費、経費など)を、個別に集計・管理する必要があるため、膨大なデータを入力する必要があり時間と労力を要します。
また、現場から経理部門に送られる原価情報はフォーマットが統一されていないことが多く、会計システムに手作業で入力する必要もあります。
エクセルなどの表計算ソフトを用いるとしても、最終的な正確性や妥当性を担保するのは担当者になるので、正確な原価管理ができているとは言い切れません。
データの入力ミスや集計ミスが発生しやすく、膨大なデータを扱う際には不向きです。
これだけIT化・デジタル化が進んだ現代でも、まだ手入力による作業で時間を取られているのは大きな課題と言えるでしょう。
建設業特有の原価計算方法が多いから
建設業の原価計算は、他の業種と比べても非常に複雑です。
原価は一般的に「材料費」「労務費」「経費」の3要素で分類されますが、建設業ではこれに「外注費」が加わります。
さらに、建設業では以下のように「工事進行基準」という独特な収益計上方法が用いられていて、通常の会計とは異なる手順を踏む必要があります。
進行中の工事にかかった費用は「未成工事支出金」として資産計上し、完成時に「完成工事原価」へ振り替える必要があるため要注意です。
現場管理費として原価に含む費用と、営業部門の人件費など原価に含めない費用を正確に仕分けないと、コスト計算の精度が低下して経営判断を誤る原因にもなりかねません。
工事に関わる人数が増えたり、下請け業者とのやり取りが発生したりするほど、求められる専門性やスキルも多くなるのです。
建設業に特化したおすすめシステム
手書きの工事台帳やExcelでの原価管理には限界があり、人為的ミスや作業効率の悪さといった課題をクリアすることはできません。
そこでここからは、建設業に特化したさまざまなシステムの特徴と魅力をご紹介します。
導入前に無料トライアルやデモなどを活用して、実際にシステムを体験してみることもできますので、気になるサービスがあればぜひご参考ください。
工事台帳アシストAI
運営会社 | ネクスゲート株式会社 |
主な機能 | ・実績情報をAIが自動収集 ・現場ごとの書類仕分け&集計 ・データの分析&活用 ほか |
無料トライアル | 要問い合わせ |
料金プラン | 要問い合わせ |
公式サイト | https://nex-gate.jp/ |
「工事台帳アシストAI」は、弊社ネクスゲートが提供・開発しているクラウドシステムです。
AIを駆使して請求書や納品書のデータ入力を自動化し、手入力作業による業務時間を大幅に短縮することで、現場も経理部門もリアルタイムで正確な原価情報を共有できるようにサポートしています。
最新テクノロジーを活用して複雑な原価計算をシンプルにしながら、詳細なデータの蓄積と活用を実現。迷いのない経営戦略を立てるための理想的なツールとしてご活用いただけます。
原価管理のプロが開発を手がけているため、実際に工事台帳アシストAIを導入した企業様の中には、オペレーションの見直しができたというお声もいただいています。
データ管理をスムーズにすることで原価を「見える化」し、より良い経営戦略を立てるためのヒントとしてお役立てください。
資料請求はこちらからできます。
工事原価Pro
運営会社 | 株式会社 アイ・ジェイ・エス |
主な機能 | ・弥生会計と連携 ・受注から発注,支払管理,入金管理まで連動 ・作業日報機能 |
無料トライアル | 要問い合わせ |
料金プラン | 1ユーザー・年額171,600円(税込)~ |
公式サイト | https://ijs-kyoto.co.jp/koujigenkapro/ |
「工事原価Pro」は建設業や工事業に特化した原価管理ソフトで、複雑な工事原価の管理を効率的に行えるよう設計されています。
受注から発注、仕入れ、支払査定、支払通知、入金管理に至るまでの業務に段階的に対応しており、工事台帳や原価管理に必要な作業を自動で連携できます。
また、作業日報機能を搭載しているため、現場の進捗状況を簡単に把握することができて管理業務も一層スムーズになります。
建設原価ビルダー5
提供会社 | コベック株式会社 |
主な機能 | ・建設業務における原価管理を簡単にIT化 ・簡単なデータ入力だけで経営分析に役立つ資料を作成 |
無料トライアル | なし |
料金 | 本体価格120,000円(税抜) |
公式サイト | https://www.kobec.co.jp/kensetugenka/ |
「建設原価ビルダー5」は建設業専用に設計された工事台帳管理システムで、会計の専門知識がなくても直感的に操作でき、工事の進捗状況を正確に把握できるのが大きな特徴です。
データ入力の効率を高めることで、原価管理の精度を向上させ、無駄なコストを削減します。
経理担当者だけでなく、経営者や現場責任者にとっても便利な機能が種類豊富に搭載されているため、業務効率化に大きく貢献してくれるツールと言えるでしょう。
この3つのシステム以外にも、さまざまな原価管理システムがありますので、以下の記事もぜひチェックしてみてください。
▶参考:建設業向けの原価管理ソフト10選!自社に最適なシステムを選ぶポイントも解説!
建設業の原価管理に関するよくある質問
最後に、建設業の原価管理において事前に知っておきたい情報をQ&Aにまとめました。
気になる疑問がある方はぜひご覧ください。
Q.建設業の原価管理はエクセルで可能ですか?
小規模な工事やシンプルな管理体制であれば、エクセルでも原価管理をすることは可能です。
しかし、本来は原価管理をするためのソフトではないので、複数の工事を管理することになったり、複雑な計算が必要になったりすると限界が出てきます。
よっぽどの事情が無い限りは、先ほどご紹介したような原価管理専用のシステムを導入するのが得策です。
Q.無料で利用できる原価管理システムはありますか?
ごく限定的な機能だけが搭載されている原価管理システムなら、完全無料で利用できるものもあります。
- 多機能工事台帳CDGWin(フリー版)…工事台帳ソフトのサンプル・テンプレートを無料で利用できる
- トラスト工事台帳…見積作成や数量計算表などのExcelテンプレートを無料ダウンロード可能
- KANNA(無料トライアル)…無料で使える施工管理アプリ
ただし、いずれも本格的な建設業向け原価管理システムとは言い切れず、専門知識がないと操作できなかったり、大規模な工事には対応できなかったりするのが現状です。
無料で使えるシステムには必ず理由があります。複数のサービスから比較検討して、自社の体制に合ったものを選びましょう。
▶参考:工事台帳の無料ソフトをお探しの方へ!フリーソフトは推奨しません。
Q.建設業の原価管理について学べる本はありますか?
建設業の原価管理や利益最大化をテーマに取り扱っている書籍は多数出版されています。
書店やオンライン書店で「建設業 原価管理」などのキーワードで検索すると、入門書から専門書まで幅広くピッとしますので、ご自身のスキルや知識レベルに合った書籍を選びましょう。
無理に専門書を読むのではなく、「これなら読める」と直感で思ったものを手に取るのがポイントです。
以下に、通販サイトで高レビューだった書籍をご紹介します。
Q.建設業で原価管理をしないデメリットはありますか?
結論から言うと、デメリットしかありません。
建設業で原価管理を適切に行わないと、簡単に挙げるだけでも以下のようなトラブルが生じる原因になります。
原価管理をしないデメリット | 詳細 |
---|---|
利益の減少・赤字発生 | 正確な原価把握ができないため、適切な価格設定ができず赤字に陥る |
経営判断の誤り | データに基づいた経営判断ができないため、事業計画の失敗や投資判断の失敗につながる |
競争力低下 | コスト削減や効率化ができないため競争力を失い、市場から淘汰される |
税務上の問題 | 税務申告に誤りが生じ、税務調査で指摘を受ける可能性があります。 |
資金繰り悪化 | 原価超過による資金不足や資金繰り計画の失敗につながる可能性 |
特に税務調査に引っかかると、最悪の場合業務停止を食らう可能性もあるので十分に注意しましょう。
まとめ:建設業の原価管理はかなり複雑!専用サービスの活用がおすすめ!
以上、本記事では建設業における原価管理の重要性、そして難点を乗り越えるためのポイントについて解説しました。
建設業は利益率が低く、資材や労務費の高騰も相まって、正確な原価管理が経営を左右する重要な要素であることがお分かりいただけたかと思います。
効率的な原価管理を実現し、経営の安定化を図るためには、建設業に特化した専門システムの導入が不可欠と言えるでしょう。
本記事でご紹介したようなお悩みを抱えている方は、建設業向けの工事台帳ソフト「工事台帳アシストAI」をぜひご検討ください。
複雑な原価計算を自動化することで、作業効率アップや人為的ミスによる損失の削減に貢献いたします。
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導入前と比較すると、工事台帳の作成業務を約80%も削減可能です。
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