前提

営業1名で改修工事とリース品を案内する東海地方の専門工事会社

東海地方にある従業員7名ほどの専門工事会社では、改修工事に加えて、現場で使用する機材やリース品も取り扱っています。自社の監督や作業員は少人数で、施工の一部は協力会社に依頼しています。

営業を担当しているのは、実質1名です。既存顧客への訪問、問い合わせ対応、工事の相談、リース品の案内まで一人で担っているため、扱える商品やサービスがあっても、すべてのお客様へ説明しに行くことはできません。

「人が足りていないので、お客さんにも回りきれていません。『詳しくはここを見てください』と言えるようにしたいんです」

そこで検討されていたのが、名刺や簡易資料にQRコードを載せ、Web上の商品情報へ誘導する方法でした。

営業人数が限られる会社では、Webサイトを会社案内として置くだけでなく、営業担当者の説明を補う場所として設計することが重要です。

課題

紙のカタログと個別送付では工事・商品・リース品の情報を届けきれない状況

紙のカタログには、手渡しできる分かりやすさがあります。一方で、訪問のたびに持参する必要があり、渡した後に保管されるとは限りません。

「紙のカタログを出しても見てもらえないし、捨てられてしまいますよね」

かといって、問い合わせのたびに商品資料やPDFを探してメールで送る方法も、営業1名の会社には負担がかかります。工事資料、機材資料、リース品一覧など、送る情報が多くなるほど対応に時間を取られます。

顧客側でも、以前受け取ったメールや添付ファイルを必要なときに探し出せるとは限りません。名刺交換から時間がたった後、「あの会社は何を扱っていたか」と思い出し、あらためて検索することもあります。

この状態で不足しているのは、単なるホームページやQRコードではありません。顧客が必要になった瞬間に、自分で目的の情報へたどり着ける導線です。

QRコード自体は、URLがあれば簡単に作れます。難しいのは、その先に何を置くかです。会社のトップページへ誘導するだけでは、顧客が商品を探し直さなければならず、営業負担の軽減にも問い合わせの後押しにもつながりにくくなります。

背景

顧客の知りたい順番と会社側の見せたい順番のずれ

商品情報を届けきれない背景には、営業人数の少なさだけでなく、情報の整理方法があります。

この会社には、改修工事とリースという複数の提供領域がありました。顧客から見れば、「工事を頼みたい」「この現場で使える機材を知りたい」「リースできる品目を確認したい」では、知りたい情報が異なります。

一方、会社案内型のホームページでは、沿革、事業内容、施工実績、連絡先という会社側の順番で情報が並びがちです。これでは、名刺のQRコードからアクセスした顧客が、必要な情報をすぐに見つけられません。

「名刺のQRコードからホームページに飛んで、うちの商品がすぐ分かるようにしたい」という希望を実現するには、顧客の用途から逆算する必要があります。

たとえば、入口は次のように分けられます。

  • 改修工事について相談したい
  • 取り扱っている商品や機材を確認したい
  • 工事に使えるリース品を探したい
  • 詳しい仕様書や資料を見たい
  • 対応できる工事か直接確認したい

「自社が何を売りたいか」だけでなく、「顧客がどのような用事で見るか」を起点に分けると、少ないページでも営業に使える構成になります。

また、紙のカタログをなくすことだけを目的にすると、Web上にPDFを大量に並べるだけになりかねません。それでは、顧客が必要な資料を探す負担は残ったままです。

紙一枚の簡易資料や名刺は、すべてを説明する媒体ではありません。顧客に会社を思い出してもらい、必要な情報へ戻ってきてもらう入口として使うほうが、営業1名の体制には合っています。

解決

QRコードの作成前に決めておきたい誘導先と営業の役割分担

最初に取り組みたいのは、ホームページ全体の作り直しではなく、営業でよく案内する情報の整理です。QRコードを先に作るのではなく、「誰に、何を見てもらい、次にどう動いてほしいか」を決めてから誘導先を作ります。

1.営業で繰り返し説明している内容を洗い出す

まず、日々の訪問や電話で何度も説明している内容を挙げます。今回のような会社であれば、改修工事の対応範囲、取り扱い商品、リース品の種類、相談できる現場条件などです。

整理するときは、次の3点を一組にします。

  • 誰から聞かれることが多いか
  • どのような場面で必要になるか
  • 口頭説明の後、どの資料を渡しているか

この中で、説明回数が多く、資料送付の手間も大きい情報からWebページに移します。すべての商品を一度に掲載しようとすると更新が止まりやすいため、営業負担を減らしやすい情報から着手するのが現実的です。

2.会社トップではなく用途別のページへ誘導する

QRコードの誘導先は、必ずしも会社トップである必要はありません。工事の案内用、商品情報用、リース品用など、相手に応じて分ける方法があります。

たとえば、名刺には全体を確認できる案内ページへのQRコードを載せます。商品を紹介する一枚資料には、その商品群を直接確認できるQRコードを載せます。

用途別ページには、少なくとも次の情報が必要です。

  • どのような工事・商品・リース品なのか
  • どのような現場や状況で使えるのか
  • 対応できる範囲
  • 詳細資料やPDFへのリンク
  • 相談時に伝えてほしい情報
  • 電話やフォームなどの問い合わせ方法

商品名や型式だけでは、顧客が自分の現場に合うか判断できません。仕様の掲載に加えて、「どのような現場で使えるか」を短く示すことが、問い合わせにつながるページの要点です。

3.問い合わせまでの動きを短くする

商品ページを見た後に、会社トップへ戻って電話番号を探さなければならない構成では、営業導線として使いにくくなります。

各ページの下部には、「この現場で使えるか確認したい」「工事とリースをまとめて相談したい」といった顧客の用件に合わせて、連絡方法を置きます。問い合わせ時に現場の場所、希望時期、必要な機材など、確認したい項目を示しておけば、その後の聞き取りも進めやすくなります。

ここで大切なのは、Web上だけで受注を完結させようとしないことです。建設工事や現場向けリースでは、施工条件や使用環境を確認しなければ回答できないことがあります。

Webページの役割は、判断に必要な基本情報を先に伝え、具体的な相談に進みやすくすることです。

4.名刺と一枚資料の役割を分ける

名刺には、会社が扱う工事・商品・リース品を一覧できる案内ページへのQRコードが向いています。後から名刺を見返した顧客が、「何を頼める会社だったか」を確認できるためです。

一枚資料は、商品群や用途ごとに内容を絞ります。紙面には特徴を簡潔に載せ、詳細な仕様や関連資料はQRコードの先で確認できるようにします。

この分け方なら、紙の資料を厚くしなくても情報量を確保できます。内容が変わったときも、Webページを更新すれば、配布済みの名刺や資料から新しい情報を見てもらえます。

名刺は会社を思い出してもらう入口、一枚資料は特定の商品へ導く入口、Webページは詳細説明と問い合わせを受ける場所として役割を分けます。

5.更新する人と更新の判断基準を決める

営業用のページは、一度作って終わりではありません。新しいリース品が加わった、取り扱いを終了した、資料の仕様が変わったといったときに、誰が直すのかを決めておく必要があります。

少人数の会社では、更新作業を複数人で持つよりも、情報を集める人と実際に更新する人を決めるほうが運用しやすくなります。

少なくとも、次のタイミングを更新対象にします。

  • 新しい商品やリース品を扱い始めたとき
  • 対応できる工事範囲が変わったとき
  • 仕様書やPDFが新しくなったとき
  • 顧客から同じ質問を繰り返し受けたとき

同じ質問が続く場合は、その説明がページにないか、見つけにくい可能性があります。営業担当者が受けた質問をためておき、ページの見出しや説明に反映すると、現場で使える情報へ近づいていきます。

6.対面営業でしかできないことを残す

デジタル化の目的は、営業担当者を不要にすることではありません。説明を繰り返す時間を減らし、現場条件の確認や提案など、人が対応すべき仕事へ時間を使えるようにすることです。

役割は、次のように分けられます。

  • 基本的な商品情報や仕様の確認:Webページ
  • 詳細資料の閲覧:Webページ上のPDF
  • 顧客に思い出してもらう入口:名刺や一枚資料のQRコード
  • 現場条件の確認や組み合わせの提案:営業担当者
  • 最終的な見積もりや施工判断:個別対応

Webに任せるのは定型的な説明までとし、現場ごとの判断と提案は営業が担う。この線引きが、少人数でも顧客対応の質を落とさない進め方です。

まとめ

営業担当者が少なく顧客を回りきれない会社では、訪問回数だけを増やそうとしても限界があります。名刺や一枚資料のQRコードを使い、顧客が必要なときに商品情報へ戻れるようにすると、対面営業を補うことができます。

ただし、QRコードを会社トップへつなぐだけでは十分ではありません。工事、商品、リース品などを顧客の用途別に整理し、詳細情報から問い合わせまで迷わず進める構成が必要です。

進める順番は、次のように整理できます。

  1. 営業が繰り返し説明している内容を洗い出す
  2. 顧客の用途ごとに誘導先を分ける
  3. 商品情報と利用場面を掲載する
  4. 問い合わせまでの動線を短くする
  5. 名刺と一枚資料に適したQRコードを載せる
  6. 更新担当者と対面営業の役割を決める

QRコードは営業施策の入口にすぎません。成果を左右するのは、その先に顧客が知りたい情報を用意し、営業担当者へ自然につなげる設計です。

自社の商品情報と営業導線を一度整理してみたい方へ

「うちの場合は工事とリース品をどう分けて見せればよいか」「ホームページを作り直す前に、何を整理すべきか分からない」という段階でも構いません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、販路拡大、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のようなテーマでは、顧客が知りたい情報の整理、用途別ページの構成、名刺や資料からの誘導、社内の更新体制まで、自社に合った進め方を一緒に検討できます。

ものづくりに集中できる建設業界へ向けた、次の整理先としてご活用ください。無理に取り組みを勧めることはありませんので、まだ方針が固まっていない段階でも気軽にお声がけいただけます。

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