カメラ関連の入札情報を集めても、参加候補は数件にとどまる状況
入札情報を集められていることと、自社が参加できる案件を拾えていることは、分けて確認する必要があります。 防犯・監視カメラの設置や整備を手がける、ある専門工事会社でも、この違いが課題になっていました。
同社では、カメラ、防犯、監視、セキュリティ、ITVなどの関連キーワードで案件を探し、新着情報を日々スプレッドシートに整理していました。一覧には、案件資料のURL、候補として取り上げるかどうかのステータス、その判断理由が記載され、週に一度、新しい候補の報告を受ける運用です。
ところが、営業側が検討する候補として残っていたのは数件でした。一方、防犯カメラというキーワードで過去一年の終了案件まで広げて探すと、千件弱の情報が見つかっていました。
年間の検索結果を見れば案件は相応にあるように見えるのに、目の前の候補は少ない。この差が、検索条件と選別方法を確かめ直すきっかけになりました。
年間の検索件数と直近の参加候補の差が見えない状態
「案件が少ない」のか、「条件で絞った結果、少なくなっている」のかが見えないと、見直す場所を決められません。 キーワードの検索結果と、参加候補の件数だけを比べても、その間で何が起きているかはわからないためです。
同社の検索では、一般競争入札かどうか、全省庁統一資格に関係する案件かどうか、等級や業務内容が合うかどうかといった条件で、対象を絞っていました。オープンカウンターの案件や、自社が保有していない地域の参加資格を必要とする案件などもあり、関連語が含まれるだけでは参加候補になりません。
さらに、検索で拾った三十件ほどの案件のうち、二十件以上が対象外となっていた確認範囲もあり、その多くは案件概要の内容による除外でした。つまり、検索に引っかからないことだけでなく、検索後の「業務内容が合わない」という判定も、候補が少なくなる大きな要因になっていたのです。
ここで必要なのは、検索条件を一律に緩めることではありません。参加資格を満たさずに除外された案件と、業務内容の読み取りによって除外された案件では、再確認する意味が異なります。どの段階で、何を理由に減ったのかを分けて見ることが、改善の出発点です。
対象外の一覧と自社の施工経験を照合できていない状態
一次選別の判断理由は記録されていても、それが自社の対応範囲と合っているかを確かめるところまでは進んでいませんでした。 同社では経営者が多忙で、候補案件の内容を十分に確認できず、今後は営業担当者が確認を担う方向になっていました。
経営者からも、「本当はこれをやれるのではないか、と見ればいいんだよね」という趣旨の確認がありました。案件を集める仕組みはあるものの、集めた情報に自社の経験を重ねる作業が残っていたわけです。
対象外の判定にはAIも使われていました。ただし、AIを使っていることだけを理由に、判定が誤っているとは言えません。確認すべきなのは、案件概要から読み取った業務と、営業側が把握している実際の対応範囲との間に、ずれがあるかどうかです。
また、過去に自社が受注したカメラ設置案件を探す場面では、以前の案件名で直近の情報が見つからず、名称が変わっている可能性も話題になりました。募集時期についても、過去の掲載時期を確認しながら探し直しています。
候補の少なさには、資格などによる妥当な除外、業務内容の判定、募集時期や案件名の違いが混在していました。 これらをまとめて「検索の精度が悪い」「市場に案件がない」と捉えないことが大切です。
除外理由の確認と営業担当の再点検を検索条件に反映する進め方
まず既存の一覧を使って除外理由を分け、業務内容で対象外となった案件を営業担当が再点検するところから始めます。 新しく大量の情報を集める前に、すでに拾っている案件の中に見落としがないかを確かめる進め方です。
入札方式・参加資格・等級・業務内容を分けて確認する
候補が減る理由は、一つずつ確認できる状態にします。同社のようにステータスと判断理由が記録されていれば、その理由を次の観点で読み直せます。
- 入札方式によって、検索や選別の対象から外しているのか
- 必要な参加資格を保有していないため、参加できないのか
- 対象等級と自社の資格が合っていないのか
- 業務内容が自社の対応範囲外と判断されているのか
対話の中では、検索対象の等級にDが含まれているかという確認もありました。こうした条件は、設定したつもりで済ませず、実際の検索条件と照合しておくと整理が進みます。
ただし、検索に含める等級と、個別案件で自社が満たすべき参加要件は別の確認事項です。 検索範囲を広げて案件が表示されても、それだけで参加可能とは判断せず、公告や入札説明書、仕様書に戻って確かめます。
業務内容による対象外を営業担当が読み直す
再点検の中心は、案件概要を理由に除外された案件です。必要な資格を持っていない案件と違い、概要の読み取りと自社の実務経験を照らし合わせることで、判定が変わる余地があるためです。
同社で予定していたのも、営業担当者が対象外の案件を確認し、「この内容なら対応できる」というものがあれば、その結果を選別側に返す方法でした。既存の資料URLから内容を確認できるため、対象外という表示だけで判断を終えず、根拠となった資料まで戻れます。
このとき重要なのは、単にステータスを対象外から候補へ変えるだけで終わらせないことです。どの業務内容なら対応できるのかを判定理由に残し、次の一次選別に反映することが、同じ見落としを減らす改善になります。
AIを含む一次選別は、営業担当の判断を置き換えて完結させるのではなく、確認結果を受けて条件を調整していく使い方が適しています。反対に、資料を確認しても対応範囲外であれば、その除外理由を明確にしておけば十分です。対象外をすべて候補に戻す必要はありません。
過去案件は募集時期と案件名をそろえて比較する
年間の終了案件と直近の募集中案件は、同じ条件の件数ではありません。案件量を比べるときは、期間と募集状態、検索条件をそろえることが先です。 年間の件数を月平均に置き換えただけでは、いま候補が少ない理由までは判断できません。
過去に受注した案件は、検索方法を点検する手がかりになります。同社でも、過去の案件名や落札結果をたどり、募集されていた時期を確認していました。以前の名称で見つからない場合には、名称変更の可能性を残し、発注機関や所在地も手がかりに探す方向が示されていました。
過去と同じ名前で見つからないことを、そのまま「今年は案件がない」という判断につなげないことがポイントです。一方、過去に実績があるからといって、現在も同じ条件で参加できるとは限りません。過去案件は検索の手がかりに使い、参加可否は現在の資料で確認します。
ここまで確認して、資格や業務内容による除外が妥当で、該当時期の募集自体も少なければ、直近の候補が少ないことには理由があると整理できます。改善の目的は、数字を増やすことではなく、参加要件を満たす案件を取りこぼさないことです。
まとめ
自社向けの入札案件が少ないときは、検索件数を増やす前に、候補が減った段階と除外理由を確かめることが有効です。 入札方式、参加資格、等級、業務内容を分けて見れば、条件設定を直すべきなのか、営業側の再確認が必要なのかを判断しやすくなります。
特に、AIを含む一次選別で業務内容を理由に対象外となった案件は、自社の対応範囲を知る営業担当者が確認し、その結果を判定条件に戻すことが改善につながります。過去案件との比較では、募集時期や案件名の違いも確かめます。
目指すのは候補一覧の件数を多くすることではなく、自社が参加できる案件の見落としを減らすことです。 まずは現在の一覧にある「対象外」の理由から見直すと、次に手を入れる場所が見えてきます。
自社に合う入札案件の探し方を整理するために
検索条件を直すべきか、対象外の判定を見直すべきかがわからない段階でも、現状の一覧を起点に整理できます。 ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
入札案件の探索についても、自社の対応範囲と検索条件の照合、除外理由の確認、営業担当者と一次選別の役割整理など、いまの運用を踏まえて次の一手を一緒に考えます。「うちの場合は何から確認すればよいか」という段階からご相談いただけます。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、整理先の一つとしてご活用ください。