千葉県北西部の12名規模の解体会社が求めていた「運転できる作業員」
千葉県北西部に拠点を置き、東京都内を中心に解体工事を手がける、12名規模の会社があります。解体から運搬まで自社で対応しており、以前から求人広告を出していました。
採用したいのは、トラックを運転できる人です。ただし、詳しく聞くと一般的な運送会社のドライバーとは仕事内容が異なります。
「ただの運転手ではないんです。現場で仕事をして、その後に車へ乗る。運送会社のドライバーだと思って来たら、うちでは仕事ができないので」
実際の業務は、現場作業が6〜7割で、残りが運転です。求めているのはドライバーというより、必要な免許を持ち、運転も担える現場作業員でした。
この違いは小さく見えますが、求人では重要です。「運転手募集」という言葉だけでは、会社が必要とする人材像が十分に伝わらないからです。
「トラックドライバー募集」が6〜7割の現場作業を隠してしまう求人
職種名を「トラックドライバー」「運転手」とすると、応募者は運転が中心の仕事を想像しやすくなります。一方、会社が任せたいのは解体現場での作業と運搬です。
求人の職種名と実際の仕事がずれていると、応募が来ても仕事内容の認識が合いません。
会社側は「建設業なのだから現場作業もある」と考えていても、応募者が同じ前提を持っているとは限りません。求人票に「解体工事に伴う運搬」とだけ書いても、現場作業の比率までは伝わりにくいものです。
その結果、面接で初めて「運転だけではない」と説明することになります。採用できたとしても、入社後に想定との違いが表面化する可能性があります。
ここで見るべきなのは応募数だけではありません。
- 現場作業が中心だと理解して応募しているか
- どの車両を運転する仕事か理解しているか
- 保有免許が実際の配置と合っているか
- 現場と運転の両方を担う意思があるか
採用の判断軸は「何人応募したか」だけでなく、「仕事を正しく理解した人が何人応募したか」まで広げる必要があります。
免許保有者が9名いても実際に運転へ回れるのは5名ほどという配置の制約
この会社には、車両を運転できる免許を持つ社員が9名ほどいました。数字だけを見ると、運転できる人は足りているようにも見えます。
ところが、そのうち4名ほどは職長や重機オペレーターを担っています。現場では重機に乗るため、普段から運搬車両へ回れるわけではありません。
「免許を持っているというだけで、実際に車を運転できるのは5人くらいなんです。あと1人か2人増やしたいんですよ」
つまり、採用人数を考えるときも、免許保有者数だけでは実態をつかめません。重要なのは、現場の役割まで踏まえて、日常的に運転へ配置できる人数を把握することです。
建設会社では、一人が複数の役割を持っています。免許を持っていても、職長、重機オペレーター、現場作業の中心メンバーとして配置されていれば、運転要員としては数えにくくなります。
この状態で「ドライバーが足りない」とだけ表現すると、採用課題がぼやけます。必要なのは運転専任者ではありません。現場へ入り、作業を行い、必要な場面で運搬も担当できる人です。
採りたい人の正体を「ドライバー」ではなく「現場作業と運転を兼務できる人」と定義し直すことが、求人改善の出発点になります。
業務比率・必要免許・現場での役割・1日の流れを先に開示する職種設計
求人を見直す際は、まず社内で実際の仕事を分解します。応募を増やすための表現を考える前に、入社後に任せる業務を整理する流れです。
職種名を実態に合わせる
「トラックドライバー」だけで募集するのではなく、現場作業が中心であることを職種名から伝えます。
たとえば、「解体作業・運搬スタッフ」や「解体作業員(車両運転あり)」といった表現です。大切なのは名称の格好よさではありません。
運転だけの仕事ではないと、求人を開く前後で誤解なく伝わる職種名になっているかが判断軸です。
現場作業と運転の比率を書く
仕事内容には「現場作業あり」と添えるだけでなく、おおよその比率を示します。この会社であれば、「現場作業が6〜7割、車両の運転が3〜4割」という実態が重要な情報です。
日や現場によって比率が変わる場合は、そのことも記載します。厳密な時間計算でなくても構いません。応募者が仕事の中心を想像できることが大切です。
必要免許を配置基準まで整理する
必要免許は、名称を並べるだけでは不十分です。次の点まで分けておくと、選考しやすくなります。
- 応募時点で必須となる免許
- 実際に運転を任せる車両
- 免許があっても経験確認が必要な業務
- 現場作業で求める役割
求人公開前には、自社が保有する車両と必要な免許区分を改めて照合します。「免許保有者」ではなく「入社後にどの車両、どの現場へ配置できる人か」まで具体化することがポイントです。
実際の1日の流れを載せる
建設系ドライバーの仕事は、会社によって内容が大きく異なります。そこで、求人票には実際の1日の流れを載せます。
始業、現場への移動、現場作業、運搬、帰社まで、現在の社員がどのように動いているかを確認して文章にします。ここは一般的な例を作るのではなく、自社で働く社員の実際の動きをそのまま求人情報へ落とし込むことが大切です。
面接でも、同じ内容を確認します。「運転もあります」ではなく、「現場作業が中心ですが、その働き方で問題ありませんか」と具体的にすり合わせます。
求人改善後の効果も、応募数だけで判断しません。面接時の仕事内容への理解度、保有免許と配置の一致、入社後の定着までを見ます。応募数が多少減っても、仕事内容を理解した応募者が増えれば、採用活動は前進しています。
まとめ
建設系ドライバーの採用では、「ドライバー」という一般的な職種名が、かえって仕事内容を伝わりにくくする場合があります。
今回の会社が必要としていたのは、運転専任者ではありませんでした。現場作業を6〜7割担い、そのうえで運搬車両も運転できる人です。
求人を見直すときは、次の順番で整理すると進めやすくなります。
- 実際に不足している配置を確認する
- 現場作業と運転の比率を出す
- 必要免許と運転する車両を整理する
- 現場で任せる役割を言葉にする
- 実際の1日の流れを求人票へ載せる
- 応募数だけでなく、仕事内容の理解度と定着を見る
「ドライバーを募集する」のではなく、「現場でどの役割を担う人を採りたいか」から求人を設計することが、採用のずれを減らす近道です。
採りたい人材像を求人票へ落とし込むところから
「運転手と作業員のどちらで募集すべきか」「必要な免許は決まっているが、求人でどう見せればよいかわからない」といった段階では、仕事内容と現場配置の整理から始める方法があります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の人材課題を、求人設計だけでなく、現場の役割や採用後の定着まで含めて整理しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、実行まで一緒に進めます。
無理に採用施策を勧めることはありません。「うちの場合は、何から整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。