前提

リフォーム大工を急いで確保したい一方、採用窓口は社長のメールに集中している状態

関東圏で住宅工事を手がける、ある専門工事会社では、リフォーム案件の受注を増やしたくても、施工を担う職人が足りないことが経営上の制約になっていました。

「仕事の相談はあるけれど、人がいないので待ってもらっている」という状況です。そこで、業務委託のリフォーム大工を募集するため、求人媒体への掲載準備を進めることになりました。

ところが、準備を始めると別の課題が見えてきました。求人媒体の登録先は社長が普段使うメールアドレスで、これまで求人関係の作業もほぼ社長一人が担当していたのです。

社長は現場や社外対応で席を外す機会が多く、事務担当者は応募メールを直接確認できません。必要に応じて転送やCCで共有することはできても、誰が応募者へ返信するかまでは決まっていませんでした。

求人を掲載できる状態と、応募を受け止められる状態は別です。採用を始める前に、応募対応を社長以外でも進められる体制が必要です。

課題

社長の確認を待つ運用では、一日の返信遅れが候補者の取りこぼしにつながること

採用で見落としやすいのが、応募後の対応速度です。

求人原稿や待遇条件を整えて応募が入っても、通知を確認できるのが社長だけでは、現場に出ている時間や移動中に対応が止まります。応募者への返信、電話連絡、面談候補日の提示が翌日以降になることもあります。

人手不足の職種では、応募者が同時に複数社を比較していることも珍しくありません。返信が一日遅れただけで、すでに他社との話が進んでいる可能性があります。

この会社でも、採用窓口を確認した際に「今後も社長がやるしかないですか」という話になりました。社長が窓口であること自体が問題なのではありません。ただし、社長だけで対応するなら、これまで以上に細かくメールを確認し続ける必要があります。

採用の取りこぼしは、応募数の不足だけで起きるものではありません。応募後の返信が止まることでも起きます。

求人媒体への掲載数を増やすほど通知先も増えるため、窓口が一人のままでは、むしろ見落としのリスクが高まります。

背景

求人媒体の登録作業が先行し、応募後の役割と権限が決まっていないこと

応募対応が社長に集中する背景には、採用を「求人を出す作業」として進めてしまいやすいことがあります。

実際に求人媒体の登録を始めると、以前使っていたアカウントのメールアドレスやパスワードが分からず、特定のパソコンに残ったログイン情報を探す場面もありました。新しい媒体でも、本人確認用の認証キーが社長のメールに届くため、その都度社長の確認が必要になります。

この状態のまま応募が始まると、次のような業務がすべて社長に集まります。

  • 応募通知の確認
  • 最初のメール返信
  • 電話での連絡
  • 経歴や希望条件の確認
  • 面談日の調整
  • 面談後の連絡とフォロー

事務担当者がメールを見られても、「どこまで自分で答えてよいか」「面談日を決めてよいか」が分からなければ、結局は社長の判断待ちになります。

本当のボトルネックはメールの共有だけではなく、応募対応の権限が社長から移っていないことです。

採用を日常業務として回すには、通知を見る人を増やすだけでなく、誰がどこまで判断できるかを決める必要があります。

解決

求人掲載前に通知、初回返信、電話、面談設定までを一つの流れとして決めること

応募対応は、求人原稿の完成後に考えるのではなく、掲載準備と同時に整えると進めやすくなります。

最初に決めたいのは、次の5項目です。

1.応募通知を複数人で確認できるようにする

社長のメールを主な登録先として使う場合でも、事務担当者などが同じ通知を確認できる状態にします。媒体の通知先追加、メール転送、共有できる採用窓口など、自社で無理なく続けられる方法を選びます。

あわせて、求人媒体のIDやパスワードが特定のパソコンにしか残っていない状態を解消します。誰がどの媒体へログインできるかを整理し、担当者が変わっても応募を確認できる形にしておくことが大切です。

2.初回返信は事務担当者が完了できるようにする

初回返信の目的は、応募者の採否をその場で決めることではありません。応募を受け付けたことを伝え、次の連絡へつなぐことです。

そのため、事務担当者が次の内容を返信できるようにしておきます。

  • 応募へのお礼
  • 電話しやすい時間帯の確認
  • 面談候補日の案内
  • 事前に確認したい経験や希望条件
  • 次回連絡の予定

返信文をあらかじめ用意しておけば、毎回社長に文章を確認する必要はありません。

3.返信期限を決める

対応期限は、少なくとも応募から24時間以内を基準にします。営業日の日中に入った応募であれば、できるだけ当日中に反応できる形が望ましいでしょう。

大切なのは、社長が返信できるかどうかではなく、会社として期限内に返信できるかどうかです。主担当が不在の場合に誰が代わるかも決めておきます。

「社長が見たら返信する」ではなく、「会社として24時間以内に返信する」という運用へ変えることがポイントです。

4.電話対応と面談設定の権限を分ける

電話では、事務担当者が確認する内容と、社長が直接確認する内容を分けます。

事務担当者は連絡可能な時間、経験年数、希望する働き方、面談候補日などを確認し、技術面や条件面の最終判断は社長が行う形です。社長の面談可能枠を事前に共有しておけば、事務担当者がその場で日程を確定できます。

判断軸は、事務担当者が採用判断まで担えるかではありません。社長でなくても進められる事務連絡を、どこまで切り分けられるかです。

5.面談後のフォローまで担当を決める

面談を実施した後も、連絡が止まれば候補者は離れてしまいます。面談結果を誰が伝えるか、追加確認がある場合は誰が連絡するか、電話がつながらなかった場合にいつ再連絡するかまで決めておきます。

応募者ごとに、応募日、返信日、電話結果、面談日、次回連絡日を一覧にすると、対応漏れを確認しやすくなります。

掲載前には、試しに応募通知を送るなどして、担当者全員が確認できるかを確かめておくと安心です。

応募通知から面談後の連絡までを一度通して確認してから求人を公開すると、応募が入った直後から迷わず動けます。

まとめ

求人採用では、原稿や条件の見直しに目が向きがちです。ただ、応募が入った後の動きが決まっていなければ、せっかくの接点を採用につなげられません。

特に社長が現場や営業に出る建設会社では、次の状態を掲載前につくっておくことが重要です。

  • 応募通知を複数人で確認できる
  • 事務担当者が初回返信できる
  • 24時間以内の返信期限が決まっている
  • 電話確認と面談設定の役割が分かれている
  • 面談後のフォロー担当が決まっている

採用の取りこぼしを防ぐ第一歩は、応募を増やすことだけではなく、社長が不在でも応募対応が止まらない流れをつくることです。

自社に合った応募対応の流れを整理したい方へ

「事務担当者へどこまで任せればよいか」「応募が来た後の役割が決まっていない」という段階でも、採用窓口の整理は始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題を、求人掲載だけでなく、応募対応、面談、社内の役割分担まで含めて整理し、実行を支援しています。現場や営業を止めず、ものづくりに集中できる採用体制を一緒に考えます。

状況を伺ったうえで必要な整理から進めますので、無理にサービスをおすすめすることはありません。自社の場合に何から決めるべきか分からない段階でも、お気軽にご相談ください。

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