改修・修繕の案件を一元管理するための受付業務の見直し
案件管理システムに全案件を集めるには、情報を保存する場所だけでなく、依頼を受けてから登録するまでの入口を整える必要があります。
住宅の改修・修繕を手がけるある建設会社では、受付から請求までの情報を一つの案件管理システムで追える仕組みづくりを進めていました。部署ごとに分かれていた情報を集め、案件の状況を把握できるようにする取り組みです。
ただ、従来のシステムでも、売上につながる案件をすべて集約しようとしていたものの、実際には登録されていない案件がありました。
担当者の言葉は率直です。「売上の案件を全部集約しようと動いていたんですけど、どうやら全部入っていないみたいです」。
依頼の入口は、営業事務だけではありません。営業担当者や社長に直接届くものもあります。こうした依頼まで台帳に載せられるかどうかが、一元管理の土台になります。
営業や社長への直接依頼が登録につながらない受付の空白
登録漏れの中心にあったのは、依頼を受けた人と、普段システムに登録している人が異なることです。
この会社では、日常的な登録作業を営業事務が担っていました。一方、営業担当者には、自分で受けた案件をどう登録すればよいか分からない場面があるといいます。
「自分に案件が来たものを、どう登録すればいいか分からない。そのまま流れてしまうことがあると思います」。
ここでいう「流れる」は、依頼そのものがなくなるという意味ではありません。案件として扱われていても、管理台帳への登録につながらないということです。システムを見るだけでは、会社に届いた依頼の全体を把握できません。
担当者は、登録の面倒さも一因として挙げていました。登録画面が存在していても、誰が操作するのか、いつ入力するのかが曖昧なら、依頼の入口と台帳の間に空白が残ります。
そのため、「登録を徹底する」という呼びかけだけでは整理しきれません。営業が直接登録するのか、営業事務へ渡すのか。その役割まで決めることが必要です。
共有メールを確認していても拾いきれない営業事務の負担
共有メールに情報が集まることと、すべての依頼が案件として登録されることは別です。
この会社には、メールのやり取りで共有アドレスを必ずCCに入れるルールがあり、担当者によれば、そのルールは守られていました。社長に届いた依頼についても、基本的にはメールで情報を追えるという認識です。
営業事務も、主要な共有アドレスを確認していました。それでも漏れが生じる理由として挙がったのが、メールの量です。
「チェックはしているんですけど、数がかなり多いんです」。
さらに、営業事務は以前より少ない人数で業務を担う状況でした。登録作業が営業事務に寄っているところへ、大量のメールから依頼を見つける役割も重なっています。
つまり、情報がまったく届いていないわけではありません。届いたメールを確認し、既存案件との関係を判断し、未登録なら登録する。その負担が限られた担当者に集中している構造です。
共有アドレスを使うルールは、すでにある強みです。次に考えたいのは、メールをさらに注意深く読むことではなく、その情報を登録につなげる役割と確認方法です。
受付担当者の登録と共有メールの照合を組み合わせる進め方
まず依頼を受けた人が登録できる入口を整え、そのうえで共有メールを使って未登録の候補を拾う順番が基本です。
この会社でも、台帳からの取り込みに加え、案件を受け付けた人が手動で登録できる入口を設ける方向が示されていました。共有メールの確認だけに頼らず、受付の時点から台帳につなげる考え方です。
誰が・いつ・何を登録するかをそろえる
最初に整理したいのは、営業事務を経由しない依頼の扱いです。少なくとも、次の三点を関係者でそろえます。
- 誰が:依頼を受けた人が登録するのか、営業事務が引き取って登録するのか
- いつ:依頼を受け付けた時点で登録につなげるのか、どの時点で営業事務へ渡すのか
- 何を:受付段階で登録する情報と、その後に追加する情報をどう分けるのか
判断軸は、登録機能があるかどうかではありません。営業担当者が、自分に依頼が来たときに迷わず使えるかどうかです。営業事務へ渡す運用にする場合も、受け渡し後の登録担当を曖昧にしないことが大切です。
今回の状況なら、まず実際に依頼を受ける営業担当者と営業事務で登録操作を確かめ、分からない箇所を整理するところから進められます。登録の面倒さと、方法が分からない問題を分けて捉えると、直すべき入口が見えやすくなります。
共有メールは未登録候補を見つけるために使う
共有アドレスがCCに入る運用を活かし、メールの内容と既存案件を照合する方法も検討できます。担当者からも、「案件に引っかからないものについて、新しい案件ですかと確認できないか」という構想が出ていました。
ただし、既存案件と結びつかなかったメールを、そのまま新規案件と確定しないことが重要です。 まずは「未登録かもしれない候補」として扱い、担当者が確認して登録につなげる考え方です。
受付時の登録は、漏れを生みにくくするための入口です。共有メールとの照合は、そこから漏れた依頼を見つけるための確認です。この二つを分けておくと、営業事務にすべての発見と登録を任せる状態から、役割を整理しやすくなります。
AIの活用は確認・修正する担当者とセットで考える
メールから未登録候補を抽出したり、案件登録まで行ったりするAIの活用も、選択肢として挙がっていました。ただし、この段階では構想であり、実現済みの仕組みではありません。
検討するなら、AIにどこまで任せるかより先に、出てきた結果を誰が確認するかを決めます。誤登録や重複があったときに、修正・削除する担当者が必要だからです。
AIで減らしたいのは大量のメールを探し続ける負担であり、登録内容を確かめる役割までなくすことではありません。
まずは候補の抽出と人による確認を組み合わせ、実際のメールや案件データで試す。そのうえで、確認の負担が軽くなるか、誤った登録や重複を扱えるかを見ながら、自動化の範囲を判断する進め方が考えられます。
まとめ
案件管理の登録漏れを減らす出発点は、営業や社長に届いた依頼を、誰がどう台帳につなぐかを明確にすることです。
営業事務だけが登録方法を知っていて、共有メールも大量に届く状況では、確認を頑張るだけでは限界があります。依頼を受けた人が使える登録の入口と、営業事務へ渡す場合の役割をそろえることが先になります。
そのうえで、共有メールと既存案件を照合し、未登録候補を拾う仕組みを検討します。AIを使う場合も、確認・修正する担当者を置く前提は変わりません。
まずは、営業に直接届いた依頼が、今どのように登録されているかを確かめてみる。その確認が、全案件を把握できる受付業務への一歩になります。
自社の依頼受付と案件登録のつながりを整理するために
システムを変える前でも、依頼の入口と登録担当を整理するところから相談できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場の業務や組織、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。案件管理についても、機能だけでなく、営業と営業事務の役割や、共有メールの使い方を含めて考えます。
「うちの場合は誰が登録する形がよいのか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はせず、現在の運用を伺いながら、次に整理することを一緒に考えます。