前提

大学ノートと工事台帳で、現場へ出た材料を日々記録する専門工事会社

材料の記録は続けられていても、現場ごとに正しい単価を選べるとは限りません。 建物の内装に関わるある専門工事会社では、長年使ってきた工事台帳に、材料や職人の稼働を入力していました。

記録の起点は大学ノートです。会社の倉庫から材料を持ち出した人が、どの現場へ何を持っていったかを書きます。現場へ直送する材料は、担当者が納入日を把握した段階で記帳します。それを社長が確認し、台帳へ入力する流れです。

「持っていくものは、本人じゃないとわからない。だから本人が書くんです」

ノートには、持ち出しを忘れず記録し、誰が書いたかも確認できる役割がありました。台帳の操作も慣れています。日付を入れ、商品マスターから品名を選び、数量を入れる。単価もマスターから呼び出せます。

残したいのは、この入力のしやすさです。一方で、商品と単価の登録が増え、必要なものを探す作業が難しくなっていました。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ
課題

現場特価と仕入先違いの商品が増え、必要な単価を選びにくい工事台帳

困りごとは商品数の多さだけでなく、同じ材料に複数の単価があり、その違いを絞り込めないことです。

この会社では、基本の価格に加えて、現場ごとの特価もマスターに登録していました。同じ商品でも、仕入れる商社によって価格が違います。大量に発注する現場では、さらに単価が下がることもあります。

ところが、商品マスターにはグループ分けも文字検索もありません。登録が増えても整理しづらく、一覧をたどって探す状態でした。

「検索機能がなくて、追加されていく感じなので、探すのが大変です」

「この商品、登録したっけ、となったときに検索できれば」

重複登録もありました。材料を選ぶたびに、商品だけでなく、どの仕入先の、どの現場向けの単価なのかまで見分ける必要があります。

もう一つの課題は、間違いに気づくタイミングです。入力画面には売り単価が表示されますが、原価や粗利は印刷用の画面を開くまで確認できませんでした。

「印刷したときに、ここを直し忘れていた、となってしまうんです」

単価を探しにくい状態と、原価を入力中に確認できない状態が重なっていました。 登録を増やすだけでは、この使いづらさは解消しにくそうです。

背景

同じ現場でも、現場向けの仕入れと自社在庫で異なる単価の扱い

現場を選べば、すべて現場特価でよいわけではありません。材料をどこから出したかも、単価を決める条件になります。

この会社が望んでいたのは、現場を選ぶと、その現場向けの商品と単価が出てくる仕組みです。

「全部の中から探すより、そのグループの中から探せれば、間違いもないし楽です」

同じ材料を繰り返し発注するため、現場専用の単価を持つ意味があります。特価表を受け取るのは、着工前から工事の序盤が中心でした。対象の商品もおおむね共通しており、担当者の感覚では、手入力で登録できる量です。

ただし、自社在庫から持ち出す材料は別でした。

「在庫から持ってきたものは、現場特価にはならないから」

この会社では、在庫持ち出し分は一般単価から選ぶ考え方が示されていました。現場向けに仕入れた材料と、倉庫にあった材料。同じ品名でも、台帳で適用したい単価が異なります。

また、社長は通常単価で入力し、目安の原価を把握していました。特価の情報は別の担当者が先に受け取ります。材料の動きがわかる人と、適用すべき単価がわかる人が、必ずしも同じではないのです。

そのため、検索機能をつけるだけでなく、誰がいつ単価を登録し、在庫持ち出しを区分するかまで整理する必要がありました。

解決

商品・仕入先・現場別単価の関係と、登録する役割を先に整理

画面を変える前に、「どの材料に、どの条件で、どの単価を使うか」を揃えると、必要な機能を絞りやすくなります。 今の入力のしやすさを残しながら、次の順で検討する進め方が考えられます。

商品そのものと、単価が変わる条件を分けて整理する

まずは、同じ商品を別々に登録している理由を確認します。仕入先が違うのか、現場特価があるのか。それとも、本当に同じ内容の重複なのか。この違いを分けることが出発点です。

整理したい関係は、次の三つです。

  • 商品:何の材料か
  • 仕入先:どこから仕入れるか
  • 現場別単価:どの現場に適用する価格か

商品が同じでも、価格の条件が違うものまで重複としてまとめないことが大切です。 反対に、同じ条件の登録が複数あるなら、整理の対象になります。

この会社では、一覧をCSVやExcelで取り出し、編集できるようにしたいという希望もありました。現在のマスターを一覧で確認できるかは、整理や移行を考える際の確認点です。まずは取り出せるデータと項目を確かめるところから始められます。

現場別の絞り込みと、在庫持ち出しの区分を組み合わせる

入力画面では、現場を選ぶと対象の商品と単価を絞り込める形を検討します。その中で文字検索もできれば、長い一覧をたどる負担を減らせます。

ただし、現場特価の一覧だけでは、在庫持ち出しに対応できません。今回の会社で検討されたのは、在庫からの持ち出しに印をつけ、一般単価を呼び出す方法です。

区分するタイミングには、二つの案がありました。

  • 社長が台帳へ入力するときに、在庫持ち出しかどうかを選ぶ
  • 特価を登録する担当者が、ノートを確認しながら在庫持ち出しに印をつける

選ぶ基準は、操作の少なさだけでなく、誰なら材料の出どころを確実に判断でき、漏れなく区分できるかです。 入力時にわかるなら、その場で区分する。担当者による確認が必要なら、後から区分する流れも含めて検討します。

なお、一般単価を使う扱いは、この会社で示された運用案です。自社で進める際も、在庫持ち出しに適用する単価を先に揃えてから、画面の動きを決めたいところです。

特価を登録する人と、終了現場の扱いを決める

現場特価は、特価表を受け取る担当者が先に登録し、台帳入力時に選べる形が検討されていました。現場の開始前や序盤に登録できれば、同じ材料を入力するたびに金額を直す作業を減らせそうです。

一方、特価が決まる前に通常単価で入力することもあります。先に入れた目安の単価を、誰がいつ見直すかも、登録分担と一緒に決めておく必要があります。 単価の登録だけが終わり、台帳側の修正が残る状態を避けるためです。

終了した現場についても、日々の選択肢に残すものと、過去の確認に必要なものを分けて考えます。画面から外すことと、データを消すことは別の判断です。

過去の現場や単価をどこまで見返したいか。その確認をしてから、終了現場の表示やデータの残し方を決めると、使いやすさと振り返りの両方を考えやすくなります。

入力画面で原価と粗利まで確認する

単価を正しく選べる仕組みと合わせて、入力中の確認も整えます。この会社では、今の画面をベースに、原価単価、原価金額、粗利まで表示したいという希望が出ていました。

「ここで見えれば、入力を間違えたと、そのときにわかります」

売り単価だけでなく原価と粗利も同じ画面で確認できれば、印刷時まで修正漏れを持ち越しにくくなります。 現場特価を選んだとき、在庫持ち出しを選んだときに、原価へどう反映されるかも見られます。

進め方としては、現在の入力画面と印刷帳票をもとに、試せる画面で確かめる方法が合いそうです。現場を選ぶ、商品を検索する、在庫持ち出しを区分する、原価を見る。この一連の操作が、慣れた入力をかえって難しくしていないかを確認します。

まとめ

工事台帳のマスター整理は、商品名を減らす作業ではなく、正しい単価を迷わず選べる条件を整える作業です。

同じ材料でも、仕入先や現場特価によって単価は変わります。さらに、自社在庫からの持ち出しは別の扱いになることがあります。商品・仕入先・現場別単価の関係と、材料の出どころを区分する役割。この二つを先に揃えることが、仕組みを考える土台になります。

そのうえで、現場別の絞り込みと文字検索を設ける。重複登録や終了現場を整理する。入力画面で原価・粗利を確認する。順に検討すれば、今の使いやすさを残しながら改善する道筋が見えてきます。

まずは、現在の商品一覧と、現場特価を受け取ってから台帳へ反映するまでの流れを並べてみる。それだけでも、機能で補う部分と、社内で決める部分を分けやすくなります。

自社の工事台帳と単価の持ち方を整理するために

「検索をつけたい」という段階でも、材料の出どころや単価登録の分担まで一緒に見ると、必要な改善が具体的になります。

ネクスゲートは、中小建設会社・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。工事台帳についても、現在の入力方法やマスターの持ち方を踏まえ、原価管理と業務の両面から整理をお手伝いします。

「うちの場合は、何から決めればいいか」「今の台帳を残して改善できるか」。そんな段階からご相談いただけます。無理に導入を勧めることはありません。まずは、使い続けたい部分と、探しづらい・確認しづらい部分を一緒に整理するところから始められます。

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