前提

施工管理ツールと複数の業務システムを使いながら、手配・完了確認に手間が残る建設会社

施工管理ツールが入っていても、仕事の受け渡しや情報のつながりまで整っているとは限りません。 賃貸物件の修繕などを担う、ある建設会社でも、その状況が見えていました。

営業と設計を兼ねる担当者がいて、案件管理には複数のシステムを使っています。協力業者との連絡にはチャットも使います。ところが、現場の声を60件ほど集めると、特に多かったのは「手配」と「完了のチェック」に関する困り事でした。

一方、施工管理ツールには評価されている部分もあります。

「写真とか、職人が撮ったものも集まってくるから、そこは便利ですね」

使える機能はあります。それでも、業務全体としては手間が残る。ここが見直しの出発点です。導入そのものを失敗と捉えるより、何が便利になり、どこが変わっていないのかを分けて見ると、次の手を考えやすくなります。

DX/AI活用サービス 詳細資料

資金繰り・原価・請求管理の改善や、AIによる入力・転記の手間の削減など、具体的な支援内容をご紹介します。

DX/AI活用サービス 詳細資料 1ページ
課題

仕事の渡し方のばらつきと二重入力が、手配・完了確認の負担として残る状況

負担の原因は、ツールの機能だけではなく、確認事項の不ぞろいと情報の分散にもありました。 そのため、システムを入れ替えるだけでは解消しない部分があります。

集まった声には、仕事のやり方を共通にしたい、どこで次の担当者へ渡すのかをそろえたい、といった内容がありました。引き継ぐ前に、もう少し確認してきてほしいという声もあります。

これは、情報を入れる場所があっても、何を確認してから渡すのかがそろっていない状態です。次の担当者が改めて確認することになれば、手配は楽になりません。

別の負担もありました。

「このアプリに入れた情報を、こっちにも入れないといけない」

複数のシステムを使うなかで、同じ情報の入力が残っていました。情報が別々に置かれれば、案件の状態を確認する際も、それぞれを見る必要が出てきます。

写真も同様です。職人から送られた写真について、担当者はこう話していました。

「チャット上に来ているから、流れていってしまうんですよね。案件ごとにもなっていないし」

連絡は届いています。写真もあります。ただ、完了確認に使いたいときに、案件と結びついた形で取り出しにくいのです。

背景

ツールごとの便利さと、案件全体の進めやすさの間にあるずれ

個々のツールを使うことと、案件の流れがつながることは別の課題です。 この会社では、現場の声を集めたことで、その違いがはっきりしてきました。

要望のなかには、新しい機能ではなく、今使っているツールをもう一度確認したいという声もありました。使い方の再確認で改善することと、仕組みを変えないと改善しないことが混在していたのです。

協力業者との連絡にも事情があります。

「業者とのやり取りは、どうするんですか?」

社内の案件管理を作り直す話が進んでも、業者との連絡まで同じ仕組みに移せるとは限りません。普段使うチャットのほうが対応しやすい相手もいます。社内だけで使いやすさを決めると、別の場所にやり取りが残ります。

写真を集約できる機能は便利です。一方で、手配の前に確認すべき内容や、次の担当者へ渡すタイミングまでは、機能だけでは決まりません。

「どのツールを使うか」の前に、「案件をどう進め、必要な情報をどこにつなぐか」をそろえる必要があったのです。

解決

現場の声を切り分け、案件管理の試作から段階的に整える進め方

まず運用で直す問題とシステムで直す問題を分け、そのうえで案件情報を起点に全体を整理する進め方が考えられます。 いきなり全機能を作り直す必要はありません。

手配・完了確認の困り事を、原因ごとに分ける

最初に整理したいのは、現場から出た要望の中身です。この会社で集まった声なら、次のように分けられます。

  • 運用ルールで整理すること:引き継ぐタイミング、渡す前の確認事項、仕事の進め方の共通認識
  • 既存ツールの使い方を確認すること:すでにある機能と、その使い方のおさらい
  • システムで整理すること:同じ情報の二重入力、案件と写真のひも付け、複数の業務アプリ間の情報連携

「手配が大変」という声だけでは、打ち手を選びにくいものです。確認不足で手配に進めないのか、必要な情報を転記するのが大変なのか。そこまで分けると、ルールを決める話と開発する話を混ぜずに進められます。

案件情報を起点に、必要な連携を描く

次に、案件を見れば何が分かる状態にしたいかを整理します。

この会社で試作された案件管理には、物件、部屋、取引先、現在の状態、次の工事予定などが置かれていました。物件や部屋ごとに、過去の案件もたどれる構成です。一方、見積もりとのひも付けは、まだこれからでした。

このように、できている部分と未対応の部分を分けて見せると、利用者も意見を出しやすくなります。

情報連携では、一度入力した情報を共通のデータベースに登録し、必要な業務アプリへ反映する構想が整理されていました。大切なのは、アプリを一つにすること自体ではありません。同じ案件情報を繰り返し入力せず、必要な場所で使えるようにすることです。

協力業者との連絡も、この全体像のなかで考えます。全員に同じアプリを求めるのではなく、普段使う連絡手段を残し、会社側で対応を共有する方法や案件管理との連携を検討する余地があります。

継続・改修・独自開発を、業務への適合性で比べる

既存ツールを続けるか、設定や改修で対応するか、独自開発へ進むか。判断の軸は、手配・完了確認の流れに合うか、必要な情報がつながるかです。

この会社では、業務に合わせた独自アプリを作る方向が検討されていました。ただし、それをすべての会社の正解にする必要はありません。既存ツールの使い方をそろえるだけで解消する問題なら、まずそこから取り組めます。

また、写真の集約のように評価されている機能は、切り替え先でも必要かを確認します。使いにくい部分だけを見て判断すると、便利だった部分まで失いかねません。

AIを使った開発も、試作や改善を進める選択肢です。ただ、画面が早くできることと、実際の業務で使えることは別です。独自開発やAI活用の評価も、「作れたか」ではなく「利用者の手間が減るか」に戻して考えます。

利用者の評価とデータ移行を挟み、少しずつ切り替える

試作した案件管理は、複数の担当者へ共有され、コメントを求める段階に進んでいました。意見を受けて直し、もう一度見てもらう。その往復を経て、経営側でも確認する進め方です。

切り替えも、一度に止めて始めるのではなく、既存ツールを使いながら次の仕組みを整える方針でした。進める際は、少なくとも次を確認しておきたいところです。

  • 新しい案件管理で、手配・完了確認に必要な情報を扱えるか
  • 既存ツールの写真や案件データを、どこまで移せるか
  • 既存ツールに残す業務と、先に切り替える業務をどう分けるか
  • 担当者以外も管理内容を確認でき、会社のアカウントで運用できるか

データ移行は、移せることを前提にせず、方法と対象を確認してから切り替えを決めます。現場の仕事を続けながら、使える範囲を少しずつ広げる進め方です。

まとめ

施工管理ツールを入れても手配・完了確認が楽にならないときは、機能不足だけでなく、仕事の渡し方と情報のつながりを見直すことが出発点です。

現場の声を集めると、引き継ぎ前の確認、既存機能の使い方、二重入力など、異なる問題が見えてきます。それぞれに合う打ち手を選ぶことが大切です。

そのうえで、案件情報を起点に業務全体を整理します。既存ツールの継続・改修・独自開発を比べ、試作を利用者に触ってもらいます。改善とデータ移行の確認を重ね、段階的に切り替えます。

新しいツールを増やす前に、今の手配で何を確認し直しているのか。完了を見るために、どこを探しているのか。そこから整理すると、必要なDXの範囲が見えやすくなります。

手配・完了確認のどこから見直すかを整理するために

「うちの場合は、運用を変える話なのか、システムを変える話なのか」という段階から整理できます。 現場の困り事を、そのまま開発要望にする必要はありません。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。手配や完了確認の負担についても、仕事の受け渡しと既存ツールの使い方を確認し、必要な改善を一緒に考えます。

何から整理すべきか決まっていなくても構いません。無理に導入や開発をお勧めすることはありませんので、今の業務で手間がかかっていることからお聞かせください。

お問い合わせはこちら