前提

工事の拡大を前に、社長がExcelの見積作成まで担う専門工事会社

受けられる工事を増やしたい一方で、見積もりを作る社長の時間が足りない。 ある専門工事会社が抱えていたのは、そんな悩みでした。

年商は1億円台後半の規模です。翌年度には、さらに大きな工事量を見込んでいました。施工は比較的、自社で完結する部分が多い会社です。一方、見積もりや事務は社長一人に集まっていました。

工事の見積もりは、案件ごとにExcelで作成しています。目指していたのは、面積や1日当たりの出来高を入力すれば、ある程度まで見積もりを出せる形です。作成の手間が減れば、その分、営業に出る時間を増やせます。

社長は、すべてを手放したいわけではありません。仕組みを理解しながら作業を任せ、最後の判断は自分で行う。その体制を求めていました。

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課題

受注につながらない見積もりにも同じ作成時間がかかる状況

見積もりの負担は、受注した工事だけでなく、受注に至らない案件にも発生します。 営業を増やしたくても、その前段階の作成業務が社長の時間を使っていました。

相談の中では、案件ごとにExcelを作り、空振りになる見積もりにも同じように時間をかけている状況が整理されました。面積や出来高を入力して出力できる形にしたい、という認識にも、社長は「全く相違はないですね」と応じています。

ここで見直したいのは、Excelを使っていること自体ではありません。毎回必要な判断と、繰り返さなくてもよい作成作業が、ひと続きになっていることです。

工事ごとの判断が必要でも、すべての入力や計算まで毎回やり直す必要があるとは限りません。その境目が整理できれば、社長が見積もりに関わり続けながら、作成負担を減らせる余地があります。

背景

AIへの期待の奥にある、仕組みを作るところまで任せたい思い

求められていたのは、効率化の助言だけでなく、実際に使える形を作る支援でした。 社長の言葉には、その違いが表れています。

「その仕組みのほうがいいですよとアドバイスをいただいても、その仕組みすら、こちらでは作れないんです」

何を目指すかは、すでに具体的でした。面積や1日当たりの出来高を入れ、見積もりの作成を軽くすることです。ただ、それをどの入力項目と計算ルールで実現するか。AIをどこに使い、どこを自分で確認するか。そこを形にする部分に支援が必要でした。

社長は、AIの活用にも期待していました。一方で、支援する側がAIに詳しいことと、自社の見積業務が実際に軽くなることは別だとも捉えていました。

「どんな効果かは分からないんですけど、要望は伝えています」

この言葉からも、導入する技術の名前より、業務で何が変わるかを確かめたい意向が読み取れます。

AIを導入することではなく、見積もりの作成から確認まで、社長の手がどれだけ離れるかが判断の中心になります。

解決

既存のExcelを起点に、入力・計算・社長の確認を切り分ける進め方

最初に見るのは新しいツールではなく、今使っている見積書と、その作り方です。 面積と出来高だけでどこまで出せるのかも、実物を確認してから整理する必要があります。

既存の見積書と作成手順を一緒に確認する

まず、現在使っているExcelを見ながら、入力から見積書の完成までを確認します。面積や1日当たりの出来高をどこに入れ、何を計算し、どこで社長が判断しているのか。その順番を整理します。

確認したいのは、主に次の点です。

  • 工事が変わっても共通して使える入力項目は何か
  • 面積や出来高を、見積もりの計算にどう使っているか
  • 毎回同じ処理をしている部分はどこか
  • 社長の判断や確認を残すべき部分はどこか

「面積と出来高を入れれば出せる」を、実際の入力項目と計算ルールに置き換えることが出発点です。まだ共通化できるか分からない部分まで、最初から自動化の対象にする必要はありません。

定型処理、AIの補助、社長の判断を分ける

次に、整理した作業を三つに分けます。

同じ入力に対して同じ計算をする部分は、定型処理として自動化を検討します。 共通化できる項目と計算ルールを、既存のExcelで扱えるかを確認する進め方です。

AIは、仕組みを作る際の補助として検討します。相談でも、AIを使って仕組みを作る方向が示されていました。ただし、具体的にどこまで任せられるかは、現在のデータや作成手順を見て判断する段階です。AIが見積金額まで自動で決められる、と先に考えないほうが整理しやすくなります。

そして、社長が担う判断と最終確認を残します。目指すのは、社長が見積もりを見なくなることではありません。社長が毎回作る状態から、必要な判断と確認に集中できる状態への移行です。

仕組みの説明ではなく、使える見積もりまで確かめる

支援を受ける場合も、「こうすると効率化できます」という提案だけで終わらないことが大切です。既存の見積書を確認し、入力と計算を整理し、実際に出力できる形まで進める。その範囲を揃えておきます。

完成した形は、現在の作り方と照らして確認します。手作業がどこに残るのか。社長は何を確認すればよいのか。営業に回せる時間につながるのか。こうした点で、仕組みが目的に合っているかを見ます。

相談では、外部ソフトを使う案と、AIを活用して仕組みを作る案の両方が挙がっていました。どちらを選ぶかは、実物を見ないまま決めるものではありません。既存のExcelで減らせる作業と、別の仕組みが必要な作業を確認してから、道具を選ぶ順番がよさそうです。

まとめ

見積業務の仕組み化は、営業に使える社長の時間を取り戻すための取り組みです。 見積書を速く作ることだけが目的ではありません。

受注に至らない案件にも、見積作成の時間はかかります。だからこそ、案件ごとに必要な判断は残し、共通する入力や計算を繰り返さずに済む形を考えたいところです。

出発点は、手元のExcelと作成手順です。面積や1日当たりの出来高をどう使っているかを確認する。定型処理、AIで補助する部分、社長が確認する部分を分ける。そこから、実際に使える形へ進めます。

まずは、自社の見積もりの中で「毎回同じことをしている部分」がどこかを見直すところから始められます。

自社のExcelで、どこまで見積作成を軽くできるかの整理

「うちの見積もりなら、何を共通化できるのか」という段階から相談できます。 AIを使うか、新しいソフトを入れるかが決まっていなくても構いません。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。見積業務でも、既存のExcelと作成手順を起点に、減らせる作業と社長に残す判断を一緒に整理します。

無理にサービスの導入をお勧めすることはありません。営業の時間を増やすために、何から手をつけるか。その整理先としてご相談ください。

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