受注を増やせる見込みはあるものの、リフォーム大工の不足がボトルネックになっている状況
関東圏で住宅や集合住宅の工事を手がける、ある専門工事会社では、リフォーム大工の確保を優先課題としていました。
相談者の言葉は明確です。
「リフォームの職人を増やさないと、受注したくても取れない状況になりそうです」
現在もリフォーム案件は毎月数件あります。工期は2週間ほどで終わるものから、2〜3カ月にわたるものまでさまざまです。集合住宅の工事が比較的多く、壁を一部解体してつくり直す工事や、水回りを含む改修、大規模なリフォームまで施工内容にも幅があります。
人が増えれば、規模や工期の異なる現場を組み合わせ、職人の手が空きにくい工程をつくれます。さらに受注を増やせる余地もあります。
一方で、今回求めているのは、育成を前提とした未経験者ではありません。外部の職人に別の外部職人を教育してもらう体制は組みにくいため、リフォーム工事を任せられる一定の経験者を、業務委託の職人として確保することが優先されていました。
職種名と報酬条件だけでは、経験者が自分の働き方を判断できない求人票
リフォーム大工、造作大工、内装大工といった職種名を掲げ、日額の幅を記載するだけでは、経験者に十分な情報が届きません。
経験者が見ているのは、条件の高さだけではないからです。求人票を見ながら、次のような点を判断しています。
- 自分の経験が求められている仕事と合うか
- 毎月どの程度の案件があるか
- 仕事が途中で切れないか
- どのエリアの現場を担当するのか
- 新築中心なのか、リフォーム中心なのか
- 解体を伴うのか、内部造作が中心なのか
- 天候による休工がどの程度あるか
- 自分の経験なら、どのくらいの収入を見込めるか
つまり、経験者が知りたいのは「募集しているか」ではなく、「ここに入ると、どのような仕事と収入が続くのか」です。
特に業務委託の職人は、会社員とは異なり、案件量がそのまま収入の安定性に影響します。「仕事は安定しています」と書くだけでは、判断材料としては足りません。案件数、工期、施工規模、仕事の割り振り方まで具体化する必要があります。
新築とリフォームを一括募集すると、本当に欲しい職人像がぼやける構造
この会社でも、当初は新築とリフォームの両方を担当できる大工が理想とされていました。ただ、両者は同じ大工仕事でも、求められる考え方が異なります。
新築は何もない状態から工程に沿ってつくり上げていく仕事です。一方、リフォームでは既存部分を見ながら、どこまで壊し、何を残し、現場ごとにどう納めるかを判断します。新築経験が長くても、リフォーム特有の壊し方や現場対応に慣れているとは限りません。
社内でも現在、新築とリフォームの職人は基本的に分けています。採用上の優先度を整理すると、最も必要なのはリフォームを担当できる職人でした。
そこで、「新築もリフォームもできる方」と広く募集するのではなく、リフォーム大工を先に募集する方針に絞りました。経験についても、未経験者からベテランまで広げず、まずは数年以上の実務経験がある層を想定しています。
採用対象を広げるほど応募が増えるとは限りません。優先職種と必要経験を絞ることで、むしろ求人票の訴求は明確になります。
また、この会社の仕事には、求人票でまだ十分に伝えられていない特徴がありました。
内部の造作や改修が中心で、外回りの工事に比べると天候の影響を受けにくいこと。毎月複数の案件があり、短期と中長期の現場を組み合わせられること。人員が増えれば、現在待ってもらっている依頼を受けやすくなることです。
これらは会社側には当たり前でも、求職者には書かなければ伝わりません。自社では日常になっている「仕事が途切れにくい理由」こそ、経験者にとって重要な比較材料になります。
案件量・施工内容・担当エリア・収入の根拠を一つの働き方として示す求人票
求人票では、条件を項目ごとに並べるのではなく、応募者が働く姿を想像できる順番で情報を組み立てます。
1.最優先で欲しい職種を求人タイトルにする
今回であれば、主軸は「リフォーム大工」です。「大工職人募集」「新築・リフォームスタッフ」のように広げすぎると、検索する側も自分向けか判断しにくくなります。
求人タイトルでは「リフォーム大工」を中心に置き、本文に「造作大工」「内装大工」など近い検索語を自然に含める方法が考えられます。
求人タイトルは社内の呼び方ではなく、欲しい職人が自分の仕事を探すときに使う言葉で決めます。
2.必要な経験年数と任せたい範囲をセットで示す
「経験者優遇」だけでは、どの程度の経験が必要なのか分かりません。
たとえば、次のように整理します。
- リフォームまたは造作工事の実務経験が数年以上ある方
- 既存部分の解体や納まりを現場に合わせて判断できる方
- 集合住宅や住宅改修の経験がある方
- 一人で任せたい範囲と、ほかの職人と組む範囲
年数だけでなく、実際に任せる仕事まで書くことが大切です。同じ3年でも、経験した施工内容によって対応できる範囲は異なります。
3.仕事が続く根拠を数字と工期で伝える
「案件豊富」「安定した仕事量」という表現は便利ですが、根拠が見えません。
この会社であれば、毎月数件のリフォーム案件があり、工期は2週間程度から数カ月まで幅があります。規模の異なる案件を組み合わせ、職人の手が空きにくい工程を目指していることも伝えられます。
求人票には、実績に基づいて次の情報を載せます。
- 会社全体で受けている月間または年間の案件数
- 短期案件と中長期案件のおおよその割合
- 受注余地はあるものの、人手不足で待ってもらっている案件があること
- 複数現場をどう組み合わせるのか
「仕事があります」ではなく、「なぜ仕事が途切れにくいのか」を説明することが、業務委託の経験者への訴求になります。
4.施工内容と天候の影響を具体化する
リフォームと一口にいっても、原状回復に近い小規模工事から、壁や水回りを含む大きな改修まであります。実際の施工内容とかけ離れた「リノベーション」という表現を使うと、入った後のずれにつながります。
施工対象、工事規模、主な作業を率直に書きます。内部工事が中心で天候に左右されにくいのであれば、それも働き方の特徴です。
ただし、「簡単」「楽」といった表現に置き換える必要はありません。経験者が知りたいのは仕事の難易度を下げた説明ではなく、自分の技術をどこで生かせるかです。
5.担当エリアと移動の範囲を曖昧にしない
職人にとって現場までの移動は、実質的な働き方の一部です。「関東一円」ではなく、主な市区町村や移動範囲、直行直帰の扱いなど、実態に沿って示します。
担当エリアがある程度まとまっているなら、それ自体が選ばれる理由になります。反対に広域移動がある場合も、後から分かるより先に伝えた方が、条件の合う人から応募を得やすくなります。
6.報酬の幅と、その金額になる基準を伝える
日額や出来高の幅だけを載せても、応募者は自分がどこに当てはまるのか判断できません。
- 経験年数
- 対応できる施工範囲
- 一人で現場を任せられるか
- 工事規模や出来高
こうした評価基準を報酬条件と一緒に示します。月の想定稼働日数や既存職人の収入例を掲載する場合は、実績として確認できる数字だけを使います。
収入の上限を大きく見せるより、どの経験と働き方なら、どの程度を見込めるのかを説明する方が信頼につながります。
掲載後は、閲覧数、応募数、応募者の経験、面談につながった割合を見ながら検証します。反応がない場合も、すぐに職種を増やすのではなく、まずはタイトル、案件情報、報酬の見せ方、経験条件の順に見直します。
まとめ
リフォーム職人の求人票で大切なのは、待遇を目立たせることだけではありません。
欲しい経験者を絞り、その人が知りたい案件量、施工内容、担当エリア、天候の影響、仕事の継続性、収入の根拠を具体化することが基本です。
新築とリフォームの両方を一度に募集すると、採用したい職人像がぼやけます。まずは受注上のボトルネックになっている職種に絞り、無料掲載などで反応を確かめます。そのうえで、閲覧されていないのか、条件が合っていないのか、仕事内容が伝わっていないのかを分けて考えると、次の修正がしやすくなります。
求人票は一度つくって終わりではありません。優先度の高い職種から掲載し、実際の反応を見ながら条件と伝え方を調整することが、採用の確度を高める進め方です。
自社のリフォーム職人採用を整理するために
「自社の場合、どの経験層を狙うべきか」「案件はあるが、求人票でどう表現すればよいか」と迷う段階では、職種名を決める前に、受注状況と任せたい施工範囲を整理することが有効です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題を、現場の案件構成や教育体制、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、求人原稿の作成や応募対応を含む実行まで支援しています。
何から整理すべきか決まっていない段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで必要な進め方を一緒に考えます。無理にサービスを勧めることはありませんので、採用方針を整理する場としてご活用ください。