首都圏の防水工事会社で、応募はあるものの採りたい未経験者に届いていない状況
首都圏で防水工事を手がける、ある中小建設会社では、求人媒体から外国籍の方の応募が3件ほど続いていました。一方、会社が採用したい層をあらためて確認すると、社長の答えは明確でした。
「今、採れたらいいのは未経験者ですね」
外国籍であること自体が問題なのではありません。整理すべきなのは、会社が求める人物像と、求人原稿を見て応募する人の間にずれが生じていることです。
以前の採用では、応募数自体は多くなかったものの、限られた応募者の中から採用につながっていました。建設業の採用では、応募数だけを増やすよりも、働き方や仕事内容を理解した人から応募が来る状態のほうが、面接や入社後まで考えると進めやすいことがあります。
「応募が少ないから、できるだけ幅広い人に届くようにする」という考え方は自然です。ただし、対象を広げすぎると、誰に向けた求人なのかが見えにくくなります。
採用で見るべきなのは応募総数だけではなく、採りたい層から何件の応募があったかです。
経験者と未経験者を一つの求人原稿で集めようとして訴求がぼやける問題
求人原稿が幅広すぎると、応募数は確保できても、採用したい人材に内容が刺さりにくくなります。
防水工事の経験者と、建設業そのものが初めての人では、求人を見るときに気になる情報が異なります。経験者であれば、担当する工法や現場、保有資格をどう評価してもらえるかが判断材料になります。未経験者であれば、どのような仕事から始めるのか、経験がなくても働けるのかといった点が入口になります。
この二つを一つの原稿に盛り込むと、経験者には説明が初歩的に見え、未経験者には仕事が難しそうに見える可能性があります。
今回の会社でも、有資格者・経験者向けと未経験者向けの原稿を分けて考えたうえで、採用したい未経験者向けを優先する方針になりました。
経験者と未経験者を同時に採りたい場合でも、求人原稿は採用対象ごとに分けることが基本です。
求人の間口を広げることと、原稿の対象を曖昧にすることは同じではありません。二つの原稿を用意すれば、採用の可能性を残しながら、それぞれに合った伝え方ができます。
一覧画面のキャッチコピーと写真が応募者を集め、原稿本文が応募の意思を決める構造
求人原稿は、最初から最後まで同じように読まれるわけではありません。求職者はまず、求人一覧に表示される職種名、短いキャッチコピー、給与、写真などを見て、詳しい内容を開くか判断します。
たとえば、休日の多さや高い給与だけを強く出せば、クリックは増えるかもしれません。ただし、その情報だけに反応した人が、実際の仕事内容や会社が求める人物像に合うとは限りません。
実際の対話でも、次のような整理がされていました。
「土日完全休み、給与50万円と出せばクリックはされます。でも、それで集まる人が会社の採りたい層とは限らないですよね」
クリックを増やす表現と、採用したい人に選んでもらう表現は、必ずしも一致しません。求人原稿では、反応の大きさよりも、誰が反応したかを確認する必要があります。
もう一つ重要なのが、求職者が検索する言葉です。求人媒体では、職種、地域、仕事内容などの検索内容に応じて、表示される求人が変わります。採りたい人が使う言葉を、職種名や原稿本文に自然に含めなければ、そもそも候補として表示されにくくなります。
また、「応募が来ない」という結果だけを見ても、原因は判断できません。
- 求人が十分に表示されていない
- 表示されているがクリックされていない
- クリックされているが応募されていない
- 応募はあるが、採用要件と合っていない
それぞれ、見直すべき場所が異なります。
表示・クリック・応募を分けて見なければ、求人タイトルを直すべきか、本文を直すべきかを判断できません。
未経験者向けに原稿を分け、表示・クリック・応募の段階ごとに改善する運用
最初に決めるべきことは、今回の求人で採用したい層です。未経験者を採りたいのであれば、原稿全体を未経験者向けにそろえます。経験者も募集する場合は、別の求人原稿として作成します。
見直す要素は、主に次の四つです。
要素 | 整理する内容 |
|---|---|
職種名・キャッチコピー | 採りたい層が自分向けの求人だと判断できる表現になっているか |
仕事内容 | 入社後に担当する仕事や、仕事の始め方が伝わるか |
写真 | キャッチコピーや仕事内容とずれず、会社や仕事を判断できるものか |
検索される言葉 | 求職者が職種や地域から探す際に使う言葉が含まれているか |
大切なのは、要素を一度整えて終わりにしないことです。求人を掲載した後は、数値を次の順番で確認します。
1.表示されているか
表示回数が少なければ、採りたい層が検索する職種名や仕事内容の言葉と、原稿に使っている言葉が合っているかを確認します。
表示が少ない場合は、検索される言葉と職種の見せ方が最初の見直し先です。
2.表示からクリックされているか
表示されているのにクリックされない場合は、一覧画面で見える職種名、キャッチコピー、給与、写真などに原因がある可能性があります。
表示回数に対してクリックがどの程度あったかを見ると、入口の反応を確認できます。
表示されてもクリックされない場合は、原稿本文より先に見出しや写真を見直します。
3.クリックから応募につながっているか
クリックされているのに応募されない場合は、求職者が原稿の中身を読んだうえで見送っていると考えられます。この場合は、仕事内容や条件、採用対象の伝え方を見直します。
「未経験者歓迎」と書いていても、本文が経験者向けの専門用語に偏っていれば、未経験者は自分には難しい仕事だと受け取るかもしれません。反対に、経験者を求めているのに経験や資格の扱いが見えなければ、経験者が応募する理由をつくれません。
クリックされても応募されない場合は、仕事内容や条件が採りたい層の判断材料になっているかを確認します。
4.採りたい層から応募が来ているか
応募数が増えても、採用要件と合わない応募ばかりであれば、対象の設定や原稿の表現が広すぎる可能性があります。キャッチコピーだけでなく、仕事内容や応募条件まで一貫して同じ層に向けることが必要です。
応募はあるのに採用対象とずれる場合は、原稿全体の対象をもう一度絞り直します。
求人原稿の反応は、掲載直後だけでは判断しにくいため、1〜2週間ほどを一つの目安として確認します。反応が良ければ大幅に変えず、反応が弱い場合は、表示・クリック・応募のどこで止まっているかに応じて修正します。
今回の会社でも、「2週間ほど見て、もう一度切り替える」という進め方が共有されました。
求人改善は感覚で全面的に書き換えるのではなく、1〜2週間ごとに数値を確認し、止まっている段階に対応する箇所を直す運用です。
まとめ
求人を出しても欲しい人材から応募が来ないとき、応募数の少なさだけが問題とは限りません。採用対象を広げすぎた結果、原稿のメッセージがぼやけていることがあります。
まずは、経験者と未経験者を分け、今回どちらを採りたいのかを決めます。そのうえで、職種名、キャッチコピー、仕事内容、写真、検索される言葉を同じ対象に向けて整えます。
掲載後は、次の順番で数字を見れば、修正する場所を判断しやすくなります。
- 表示が少ないなら、職種名や検索される言葉
- 表示されてもクリックされないなら、見出しや写真
- クリックされても応募されないなら、仕事内容や条件
- 応募者が採用対象とずれるなら、原稿全体の対象設定
欲しい人材を採用するには、応募数を増やすだけでなく、採用したい層に合わせて原稿を分け、数値を見ながら改善を続けることが大切です。
最終的には、社長だけでなく、採用を担当する社員も数値を確認しながら原稿を修正できる状態をつくれると、採用活動を社内で継続しやすくなります。
自社の求人がどこで止まっているのかを整理したい方へ
求人原稿を直そうとしても、「キャッチコピーが悪いのか、仕事内容が伝わっていないのか」「そもそも誰を採る求人にするべきか」と迷うことがあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用対象の整理から、求人原稿の設計、掲載後の数値確認、社内で改善を続けるための運用づくりまで支援しています。人材確保だけを切り離さず、現場や組織の状況も踏まえて、ものづくりに集中できる体制を一緒に整理します。
「うちの場合は何から見直すべきか」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、現在の求人原稿や応募状況を整理する場としてお気軽にご相談ください。