高卒採用を外部会社に任せながら、入社人数が3人、1人、0人と変動する専門工事会社
東海地方を拠点に、複数地域で施工を手がけるある専門工事会社では、高卒採用の実務を外部会社へ任せています。
「高校訪問から求人票の作成まで、全部やってもらっています」
経営者が対応するのは、主に面接や職場見学です。以前は外部会社の担当者と一緒に学校を回ることもありましたが、現在は経営者自身が訪問する余力を確保できていません。学校説明会にも参加していない状況でした。
採用実績は、ある年が3人程度、翌年が1人、その次の年は0人です。0人だった年も入社予定者はいましたが、直前に辞退となりました。
経営者としては、「毎年何人」と厳密に決めているわけではありません。ただ、「コンスタントに入ってくれればいい」という思いがあります。
外部委託によって採用実務の負担は減っていても、入社人数まで安定するとは限りません。 高卒採用を若手確保の柱にするなら、委託を続けるかやめるかではなく、自社がどこに関与するかを整理する必要があります。
外部会社が学校を回っていても、自社の魅力と採用意欲が教員や生徒に届き切らない状態
高卒採用が安定しない理由は、外部会社の活動不足だけではありません。
この会社では、高校訪問や求人票作成を任せる体制ができています。一方で、経営者は学校を訪問せず、説明会にも参加していません。そのため、会社がどんな若手を迎えたいのか、入社後にどのように育てたいのかを、自社の言葉で伝える機会が限られています。
高卒採用では、生徒本人だけでなく、進路指導を担う教員との接点が欠かせません。学校側から見れば、多くの求人の中から生徒に合う会社を探すことになります。求人票が届いているだけでは、その会社を優先して紹介する理由までは伝わりにくいものです。
「外部に任せているから、学校には情報が届いているはず」と考えたくなるところです。しかし、外部会社が説明できる内容と、経営者が直接伝えられる会社の考え方には違いがあります。
高卒採用の不安定さは、募集手段の問題というより、学校との関係を自社の資産として積み上げられていないことから生じる場合があります。
高校生人口の減少と進学率の上昇に対し、学校との接点づくりを外部任せにしてきた採用体制
採用人数が年によって変わる背景には、採用対象となる高校生そのものが減り、進学を選ぶ生徒が増えていることがあります。就職希望者の母数が限られるなか、企業側は同じ地域の高校生をめぐって接点をつくっています。
こうした環境では、求人票を出して待つだけで毎年同じ成果を得ることは難しくなります。外部会社へ一括して任せる方法は、社内の手間を減らせる点では有効です。ただし、若手を継続的に採用して育てたい会社ほど、外部会社だけでは補いにくい部分が出てきます。
この会社でも、「昔は外部会社の人と一緒に学校を回ったことはある」といいます。つまり、当初から学校との接点がまったくなかったわけではありません。経営者の多忙さから、次第に自社の関与が薄くなっていました。
また、職場見学は実施しているものの、経営者の役割は来社した生徒への対応に限られています。見学に来てもらう前の学校との関係づくりや、説明会での情報発信には十分に関与できていません。
採用人数が3人、1人、0人と変動しているときは、年度ごとの結果だけを見るのではなく、「どの高校と、誰が、どのような接点を持ったか」を振り返ることが大切です。
採用実績のある高校に経営者の時間を集中し、外部委託と自社の役割を分け直す進め方
外部委託をすべて自社対応に切り替える必要はありません。まずは、採用成果に直結しやすい接点だけを自社へ戻す進め方が現実的です。
最初に整理したいのは、「コンスタントに採用できればよい」の具体化です。毎年何人を目安にするのか。施工を担う職人を採るのか、将来の施工管理候補を育てるのか。対象が曖昧なままでは、訪問する高校や伝える内容も定まりません。
そのうえで、次の順番で進めます。
- 過去に入社実績のある高校を洗い出す
- 今後採用したい地域や職種と合う高校を絞る
- 重点校には経営者または自社担当者が外部会社と同行する
- 自治体や学校が開く企業説明会への参加機会を確認する
- 職場見学で伝える内容と対応方法を見直す
すべての高校を経営者が回るのは現実的ではありません。だからこそ、過去に採用実績がある高校や、就職希望者との接点を持ちやすい高校に絞ります。訪問数よりも、同じ学校との継続的な接点を優先します。
学校訪問では、会社案内を渡して終わりにしないことも大切です。どのような仕事を任せるのか。未経験の高校生をどう迎えたいのか。なぜ若手を採用したいのか。経営者の言葉で伝えられる部分に、自社が関与します。
職場見学についても、単に現場や社内を見せる場ではなく、会社の魅力と入社後のイメージを伝える場として見直します。生徒が質問しやすい流れになっているか。求人票だけでは分からない働き方が伝わっているか。見学後に学校側が生徒へ説明しやすい内容になっているか。このあたりが改善の判断軸になります。
外部会社には、求人票の作成や幅広い学校への情報提供など、手間のかかる実務を引き続き任せられます。一方、重点校との関係づくり、説明会での発信、職場見学での魅力の伝達は、自社が担う余地があります。
外部委託を続ける判断軸は、「手間を減らせているか」だけではなく、「自社に学校との関係が残っているか」です。 委託先の活動を活かしつつ、採用の核となる接点は自社にも蓄積していく形が合っています。
まとめ
高卒採用を外部会社へ任せること自体は、決して問題ではありません。高校訪問や求人票作成には相応の手間がかかるため、外部の力を借りる合理性があります。
ただし、入社人数が年によって大きく変わる場合は、任せ方を見直すタイミングです。
採用実績のある高校への重点訪問、学校説明会への参加、教員との継続的な接点づくり、職場見学の改善は、自社が関与するほど蓄積が残る活動です。
いきなりすべてを内製化する必要はありません。まずは採用人数と対象職種を決め、重点校を絞り、経営者が参加すべき場面を選ぶところから始められます。
「全部任せる」か「全部自社でやる」かの二択ではありません。外部会社には実務を任せ、自社は学校や生徒との信頼をつくる。 この役割分担が、高卒採用を安定させる次の一手になります。
自社に合う高卒採用の役割分担を整理したい方へ
高卒採用は、会社の地域、採用したい職種、これまでの学校との関係によって、優先する動きが変わります。「うちの場合は、どの高校から整理すべきか」「外部会社にどこまで任せるべきか」という段階でも構いません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用課題を、学校との接点づくりや社内の受け入れ体制まで含めて整理し、実行を支援しています。ものづくりに集中できる建設業界に向けて、無理にサービスを勧めることはありません。現在の採用状況を整理する場として、気軽にお声がけください。