国土交通省は、令和8年(2026年)7月分の「建設総合統計」をe-Statで公表しました。建設総合統計は、国内の建設活動を「出来高ベース」で把握するための統計です。7月の出来高総計は5兆8,790億円で、前年同月比2.2%増となりました。
発表内容 | 建設総合統計(令和8年7月分)の公表 |
公表日 | 令和8年9月17日 |
対象月 | 令和8年(2026年)7月分 |
出来高総計 | 5兆8,790億円 |
前年同月比 | 2.2%増 |
民間総計 | 4兆610億円(前年同月比2.1%増) |
公共総計 | 1兆8,190億円(前年同月比2.4%増) |
注意点 | 今回公表値は、今後の遡及改定により変わり得る |
「受注額」ではなく「出来高」で見る統計です
今回の統計でまず押さえたいのは、建設総合統計は受注額そのものではなく、工事の進捗に合わせた出来高を推計した統計だという点です。
着工や受注の金額をもとに、工事がどの月にどれだけ進んだかを月次の出来高に展開しています。
つまり、現場感覚でいえば、
「契約は取れているか」
だけではなく、
「実際に現場が動き、売上として積み上がっているか」
に近い見方ができます。
中小建設業にとっては、景気の見出しだけを見るよりも、自社の稼働率、職人の手配、協力会社の予定、資金繰りの山谷と照らし合わせやすい指標です。
民間も公共も前年同月比で増加。市場全体は底堅い動きです
7月分では、出来高総計が前年同月比2.2%増でした。
内訳でも、民間総計は前年同月比2.1%増、公共総計は同2.4%増です。
大きく跳ねた数字ではありません。 一方で、民間・公共の両方が前年同月を上回っています。
ここから読み取れるのは、市場全体としては急拡大ではないものの、建設活動は底堅く続いているということです。
ただし、これは全国統計です。 地域差があります。 工種差もあります。 元請・下請の立場によっても感じ方は変わります。
「世の中は増えているらしい」だけで止めないことが大切です。 自社の数字に引き寄せて見る必要があります。
中小建設業が見るべきは「売上増」より「粗利が残っているか」です
出来高が増えている局面では、忙しさが先に来ます。
「現場は埋まっている」
「人も足りない」
「応援もなかなか捕まらない」
こういう声が出やすくなります。
ただ、経営としてはここで一歩立ち止まりたいところです。
出来高が増えても、粗利が残らなければ会社は強くなりません。
材料費、人件費、外注費、移動費、残業、手戻り。 これらが積み上がると、売上は増えているのに利益は薄い、という状態になります。
今回の統計は「市場が動いているか」を見る材料です。 一方で、自社では次の数字を見たいところです。
- 前年同月と比べて、受注単価は上がっているか
- 現場ごとの粗利率は落ちていないか
- 外注費の上昇分を見積に反映できているか
- 忙しい現場ほど、手戻りや追加費用が増えていないか
- 公共工事と民間工事の比率は、自社にとって無理のない形か
統計の数字は、会社の外側の景色です。 大事なのは、そこから自社の内側の数字を点検することです。
公共工事依存、民間工事依存のどちらにも点検ポイントがあります
今回の公表では、公共総計も民間総計も前年同月比で増加しています。
このとき、会社ごとに見るべきポイントは変わります。
公共工事の比率が高い会社は、発注時期、入札参加、技術者配置、工期の重なりを見ておきたいところです。 案件があっても、配置できる人がいなければ取りに行けません。 無理に取りに行くと、現場代理人や主任技術者に負荷が集中します。
民間工事の比率が高い会社は、価格交渉と追加変更の管理が大切です。 民間工事はスピード感があります。 その分、仕様変更、段取り変更、追加作業が曖昧なまま進みやすい面もあります。
「あとでまとめて」
「今回は何とか」
この積み重ねが利益を削ります。
市場が底堅いときほど、受注量だけでなく、契約条件と変更管理を見ることが大切です。
統計は今後改定される可能性があります
国土交通省は、建設総合統計について、毎年6月に過去3カ年分を遡及改定していると説明しています。 また、基礎統計等の品質改善に対応して、遡及改定する場合もあります。
そのため、今回の公表値も今後変わり得ます。
経営判断に使うときは、単月の数字だけで判断せず、複数月の流れと最新版を確認するのがよいです。
特に、来期の採用、重機・車両の更新、協力会社との契約、公共工事への参加方針を考えるときは、単月の増減よりも流れを見るほうが安全です。
自社の数字に置き換えて考える時間をつくる
今回の建設総合統計は、建設市場が引き続き動いていることを示す材料です。 ただし、会社にとって本当に大事なのは、全国の出来高が増えたかどうかだけではありません。
自社の現場で、忙しさが利益に変わっているか。
ここです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。
「うちの場合、この統計をどう見ればいいのか」
「売上はあるのに利益が残りにくい」
「公共と民間のバランスを見直したい」
そうした段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしません。建設業界の経営者の懐刀として、ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、次に整理すべきことを一緒に考えます。
必要であれば、お問い合わせはこちらからご連絡ください。