国土交通省は、令和8年度第2回の「防災・減災対策等強化事業推進費」として、国及び地方公共団体が実施する38件の公共事業に対し、国費44.60億円、発表上は約45億円の予算配分を決定しました。
対象は、河川・海岸・下水道・道路・港湾です。 豪雨災害などを受けた地域の再度災害防止対策に加え、突発的な事象への緊急的な対策が必要になった地域の事前防災対策にも使われます。
発表日 | 令和8年10月7日 |
制度名 | 防災・減災対策等強化事業推進費 |
今回配分 | 38件・44.60億円(国費) |
対象分野 | 河川・海岸・下水道・道路・港湾 |
主な目的 | 再度災害防止対策、突発的な事象への緊急的な事前防災対策 |
配分対象 | 国及び地方公共団体が実施する公共事業 |
今回の配分は「災害後」と「災害前」の両方に向いています
今回の配分は、大きく2つに分かれています。
1つ目は、災害を受けた地域の再度災害防止対策です。 洪水・浸水対策、崖崩れ対策、波浪対策が含まれます。
2つ目は、突発的な事象への緊急的な対策等が必要となった地域の事前防災対策です。 洪水・浸水等対策、崖崩れ対策、下水道施設の耐震対策が含まれます。
配分の内訳は次の通りです。
区分 | 対策 | 件数 | 国費 |
|---|---|---|---|
災害を受けた地域の再度災害防止対策 | 洪水・浸水対策(河川) | 10件 | 11.85億円 |
災害を受けた地域の再度災害防止対策 | 崖崩れ対策(道路) | 12件 | 6.30億円 |
災害を受けた地域の再度災害防止対策 | 波浪対策(海岸・道路・港湾) | 3件 | 10.55億円 |
事前防災対策 | 洪水・浸水等対策(河川・道路) | 11件 | 14.45億円 |
事前防災対策 | 崖崩れ対策(道路) | 1件 | 0.85億円 |
事前防災対策 | 下水道施設の耐震対策(下水道) | 1件 | 0.60億円 |
中小建設業にとって大事なのは、「災害が起きた後の復旧」だけではなく、「次の被害を防ぐ工事」にも予算が動いている点です。
自社エリアの配分箇所は必ず見ておきたいです
別添の配分箇所一覧には、具体的な地域名が出ています。
たとえば、河川では長野県、福岡県、熊本県、鹿児島県、奈良県、滋賀県、和歌山県、兵庫県などの案件が記載されています。 道路の崖崩れ対策では、北海道、沖縄県、岐阜県、福井県、秋田県、新潟県、静岡県、三重県、愛媛県、長崎県、宮崎県、岡山県などが含まれます。 波浪対策では、静岡県、愛媛県、鹿児島県の案件が示されています。 下水道施設の耐震対策では、岡山県総社市の案件が記載されています。
もちろん、今回の発表だけで個別工事の発注時期や入札条件まで分かるわけではありません。 ただし、予算が付いた場所は、今後の発注情報を追う優先順位を上げるべき場所です。
「うちの近くは入っているか」 「元請として狙えるのか」 「協力会社として関われる工種はあるか」 「土工、法面、護岸、舗装、構造物、下水道関連で準備できるものはあるか」
こうした目線で、配分箇所一覧を見ておく価値があります。
防災・減災は、単発工事ではなく地域インフラの継続テーマです
今回の制度は、年度当初に想定し得ない災害や事故などの突発的な事象が発生した際に、年度途中で緊急的・機動的に配分する予算です。
つまり、通常の当初予算だけでは拾いきれない現場に、追加で手を打つための仕組みです。
ここから見えるのは、防災・減災工事が、地域の建設会社にとって継続的な事業領域になっているということです。
河川の維持修繕。 道路法面の対策。 海岸保全施設の整備。 港湾整備。 下水道施設の耐震対策。
どれも、地域の暮らしと産業を止めないための仕事です。 そして、多くの場合、現場条件は簡単ではありません。 限られた工期。 天候リスク。 交通規制。 近隣対応。 資材や人員の段取り。
現場側から見ると、「予算が付いたからすぐ楽になる」という話ではありません。 むしろ、急ぎの公共工事に対応できる会社と、対応しきれない会社の差が出やすくなると見た方がよさそうです。
経営者が確認したい3つのポイント
今回のような発表を見たとき、中小建設業の経営者が確認したいポイントは3つあります。
1. 自社地域の発注機関を追えているか
今回の配分対象は、国と地方公共団体が実施する公共事業です。
国の直轄事業だけでなく、県、市町村、交付金事業も含まれています。
自社が普段見ている入札情報だけで足りているか。 県の公告、市町村の公告、地方整備局や事務所単位の情報まで見られているか。 ここは確認しておきたいところです。
2. 防災系工事に必要な施工体制があるか
今回の内訳を見ると、河川、道路、海岸、港湾、下水道と幅があります。
自社が直接施工できる工種もあれば、協力会社との組み合わせが必要な工種もあるはずです。
災害対応・防災工事では、工種そのものに加えて、機動力、書類対応、安全管理、近隣対応が問われます。
「人はいるが、書類が回らない」 「現場はできるが、急な応援体制が組めない」 「協力会社はいるが、繁忙期に押さえられない」
こうした詰まりは、受注前に見えている方が動きやすいです。
3. 採算を守る見積・原価管理ができているか
緊急性の高い工事ほど、段取りが難しくなります。 天候で止まる日もあります。 交通規制や仮設で手間が増えることもあります。
だからこそ、防災・減災分野を伸ばすなら、見積と原価管理をいつも以上に丁寧に見る必要があります。
受注できることは大切です。 ただ、忙しいのに利益が残らない状態は避けたいところです。
「労務がどれだけかかるか」 「重機・資材・外注の単価は合っているか」 「現場代理人や主任技術者の配置に無理はないか」 「追加対応が出たとき、記録と協議ができるか」
ここまで含めて、防災・減災工事を経営の柱にできるかが決まります。
今回のニュースは、地域建設会社への期待の表れです
災害が激甚化・頻発化しているという言葉は、もう珍しいものではなくなりました。 毎年のように、豪雨、土砂災害、浸水、波浪被害が起きています。
そのたびに、最後は地域の建設会社が現場に向かいます。 道路を通す。 河川を直す。 法面を守る。 港や海岸を支える。 下水道を止めない。
今回の45億円配分は、単なる予算情報ではありません。 地域インフラを守る担い手として、建設会社への期待がさらに高まっているサインでもあります。
中小建設業にとっては、発注情報を追うだけでなく、自社の体制を見直すきっかけになります。
「どの工種を伸ばすか」 「どの地域で信頼を積むか」 「どの協力会社と組むか」 「どの現場管理者を育てるか」
こうした問いが、これからますます大事になります。
自社に関係する公共工事の動きを整理したいときは
今回のような防災・減災予算は、地域によって影響の出方が変わります。 自社の施工エリア、得意工種、元請・下請の立ち位置、技術者の配置状況によって、見るべきポイントも変わります。
「うちの地域では、どの発注情報を追えばよいか」 「防災・減災工事を伸ばしたいが、体制面に不安がある」 「受注は増やしたいが、利益管理も崩したくない」
そんな段階で、一度整理してみるのもよいと思います。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業がものづくりに集中できるよう、持続的成長に向けた打ち手を一緒に考えます。
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