国土交通省官庁営繕部は、令和8年度10月期以降の工事・建設コンサルタント業務等の発注見通しを公表しました。今回公表されたのは、工事3件、建設コンサルタント業務等1件です。官庁営繕工事への入札参加を検討する会社にとっては、年度後半の営業・技術者配置・協力会社調整を考える材料になります。

公表内容

令和8年度 工事・建設コンサルタント業務等の発注見通し

公表日

令和8年10月1日

発注機関

国土交通省 大臣官房 官庁営繕部

対象時期

令和8年度10月期以降

発注予定件数

工事3件、建設コンサルタント業務等1件

掲載場所

入札情報サービス(PPI)、国土交通省ホームページ

留意点

令和8年10月1日時点の見通しであり、実際の発注内容と異なる場合があります

今回公表された工事案件の概要

今回の工事案件は、官庁施設の改修工事が中心です。公表資料では、次の3件が示されています。

工事名

工事種別

入札方式

工事場所

発注規模

入札予定時期・状況

経済産業省総合庁舎厚生棟改修(R8)建築その他工事

建築工事

一般競争入札方式

東京都千代田区霞が関

3億4,000万円以上9億円未満

第3四半期、公告中、申請書提出期限 R8.10.19

衆議院第二別館改修(26)機械設備その他工事

暖冷房衛生設備工事

一般競争入札方式

東京都千代田区永田町

2億3,000万円以上3億円未満

第3四半期、公告中、申請書提出期限 R8.10.6

外務省飯倉別館改修(R8)エレベーター設備工事

機械設備工事

随意契約

東京都港区麻布台

7,000万円以上1億円未満

第3四半期、令和8年10月予定

中小建設業の目線では、まず見るべきは自社の工種・等級・施工体制と照らして、直接参加できる案件か、協力会社として関与できる案件かです。

特に、公告中の2件は申請書提出期限が示されています。衆議院第二別館改修は令和8年10月6日、経済産業省総合庁舎厚生棟改修は令和8年10月19日が申請書提出期限とされています。関心がある会社は、必ずPPIや入札説明書で正式情報を確認する必要があります。

建設コンサルタント業務等は1件、新規案件として調査業務が掲載

建設コンサルタント業務等では、次の1件が掲載されています。

業務名

入札方式

履行期間

業務概要

入札予定時期

外務省飯倉別館改修(26)調査業務

一般競争入札方式

約4ヶ月

エレベーター設備改修に係る建築基準法等の適合調査

第3四半期以降

この業務は、外務省飯倉別館のエレベーター設備改修に関連する調査業務です。工事そのものではありませんが、改修工事の前段階にある調査・設計・適合確認の動きは、その後の工事発注を読むうえでも重要な情報です。

官庁営繕案件では、調査、設計、工事が連続して動くことがあります。もちろん、今回の資料だけで将来の発注内容を断定することはできません。ただし、関連する施設・設備・工種に強みを持つ会社にとっては、早めに情報を拾っておく意味があります。

注目したいのは「余裕期間制度」の活用

今回の工事案件では、複数の案件で余裕期間制度の活用が示されています。

経済産業省総合庁舎厚生棟改修、衆議院第二別館改修では、余裕期間制度の任意着手方式が記載されています。また、外務省飯倉別館改修のエレベーター設備工事では、フレックス方式が記載されています。

これは中小建設業にとって、単なる制度情報ではありません。技術者不足、協力会社の繁忙、資材・機器の手配期間を考えると、「いつ契約するか」だけでなく「いつ現場を始められるか」を含めて受注判断する時代になっています。

余裕期間制度がある案件では、着手時期に一定の調整余地が生まれる場合があります。ただし、実際の条件は案件ごとの公告資料や入札説明書で確認する必要があります。経営判断としては、次のような視点が大切です。

  • 主任技術者・監理技術者を無理なく配置できるか
  • 協力会社の確保時期と工期が合うか
  • 設備機器や資材の納期を踏まえて施工計画が組めるか
  • 他案件との重なりで現場管理が薄くならないか

公共工事は、受注できれば売上の柱になります。一方で、社内体制に合わない案件を無理に取りにいくと、利益や品質、安全面に負荷がかかります。発注見通しは「取りにいく案件を選ぶための情報」として使うことが重要です。

発注見通しは「営業予定表」として使う

今回の発表は、制度改正や補助金のように新しいルールを示すものではありません。しかし、公共工事に関わる会社にとっては、かなり実務的な情報です。

発注見通しを見るときは、案件名や金額だけでなく、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 自社の工種・許可・実績に合うか
  2. 発注規模が自社の受注レンジに合うか
  3. 技術者配置が可能か
  4. 申請書・技術資料の準備期間が足りるか
  5. 元請で狙うか、協力会社として関わるか
  6. 余裕期間制度を前提に工程を組めるか

特に中小建設業では、営業担当だけで判断すると、現場側の技術者配置や協力会社調整が後追いになりがちです。反対に、現場目線だけで見ると、入札参加の準備が間に合わないこともあります。

そのため、発注見通しが出た段階で、経営・営業・工事部門が同じ情報を見て、受注方針を早めにそろえることが大切です。

メール配信サービスも確認しておきたい

今回の資料では、官庁営繕工事・業務への入札参加を検討する方向けに、発注情報のメール配信サービスも案内されています。

配信される情報は、原則として入札公告日または公示日に、次の内容とされています。

  • 工事名称または業務名称
  • 工事種別・工事の等級区分・施工場所、または業務種別
  • 技術資料または参加表明書の提出締切日

公共工事の情報収集は、担当者の経験や勘に依存しやすい領域です。しかし、情報の拾い漏れはそのまま機会損失になります。入札参加を継続的に検討する会社は、PPIの確認とあわせて、メール配信の活用も社内ルールにしておくとよいでしょう。

なお、正式な内容は入札情報サービス(PPI)で確認する必要があります。メールはあくまで気づくための仕組みとして使い、最終確認はPPIと公告資料で行うのが基本です。

中小建設業が今回の発表から考えるべきこと

今回の発注見通しは、件数としては工事3件、業務1件です。ただし、都心の官庁施設改修であり、建築、暖冷房衛生設備、機械設備、エレベーター設備、調査業務と、関係する専門領域は複数あります。

中小建設業にとって重要なのは、「自社が直接入札できるか」だけで終わらせないことです。

公共工事では、元請として参加する道だけでなく、専門工事会社として協力会社に入る道もあります。設備、内装、電気、機械、搬送設備、調査・点検など、自社の強みがどこで関係するかを見極めることで、営業の打ち手は広がります。

また、発注見通しは随時更新されるとされています。一度見て終わりではなく、定期的に確認する前提で、社内の情報収集体制をつくることが受注力の差になります。

公共工事は、情報を早く拾い、早く判断し、早く準備した会社が有利になります。今回の公表をきっかけに、年度後半の案件選定、技術者配置、協力会社との関係づくりを見直しておきたいところです。

自社に合う公共工事の見極めを整理する

発注見通しを見ても、「この規模は自社で狙えるのか」「協力会社として動くべきか」「技術者配置に無理がないか」といった判断は、会社ごとの体制によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。公共工事への向き合い方も、営業だけでなく、利益管理、人員配置、協力会社戦略とつなげて考えることが大切です。

「うちの場合はどの案件を追うべきか」「発注情報の見方を社内でそろえたい」といった段階でも構いません。無理な営業はいたしませんので、まずは自社の状況整理の場としてご活用ください。

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