前提

社員6名と協力会社4名で現場を回し、年間1〜2名の採用を目指す専門工事会社

ある造成・道路付帯工事会社では、外国人材を含む社員約6名と、継続的に現場へ入る協力会社の職人約4名で施工体制を組んでいます。受注量には余地がある一方、仕事をさらに引き受けるには作業員を増やす必要があり、今後5年ほどで4〜6名を増員したいと考えていました。

これまでの採用は、社員や知人からの紹介が中心です。外国人材についても、以前からつながりのあった団体を通じて受け入れてきました。紹介であれば、候補者の人柄や仕事ぶりを事前に確認しやすいためです。

過去には求人媒体へ月額費用をかけて掲載したこともありました。しかし、求める人材との接点にはつながらず、応募の電話や面接への対応だけが増えてしまいました。その経験から、現在は紹介を受けたうえで確認する採用に戻っています。

この会社の課題は応募数の不足だけではなく、「現場で戦力になる人を採用前にどう見極めるか」が定まっていないことでした。

課題

経験年数を聞くだけでは、現場で本当に動ける人か判断できない採用

求人媒体からの採用が難しい理由として、応募者の「質」が挙げられます。ただ、建設会社が感じる質の問題は、単に経験者か未経験者かという区分では整理しきれません。

この会社の代表も、当初は経験者を希望していました。一方で、採用基準について話を深めると、次のような考えが明確になりました。

「経験があっても、現場で戦力にならないなら、未経験の人に一から教えるほうがいい」

経験年数が長くても、自社が受注する工事や現場の進め方に合わなければ、期待した動きができるとは限りません。反対に、未経験でも社内のやり方を吸収し、練習を重ねられる人であれば、将来の戦力になる可能性があります。

つまり、採用対象を「経験者」に限定するだけでは不十分です。確認すべきなのは、少なくとも次の二つです。

  • 入社後、比較的早い段階から任せられる作業があるか
  • 現時点では未経験でも、自社の教育体制で育てられるか

「経験がある人」ではなく、「自社の現場で戦力化できる人」を採用対象として定義する必要があります。

この定義が曖昧なまま求人媒体へ掲載すると、応募者の経歴を見ても合否を判断できません。結果として面接の負担が増え、「やはり知人紹介のほうが安心だ」という状態に戻りやすくなります。

背景

求人媒体の問題に見えて、実際には見極めと育成がつながっていない状態

紹介採用には、候補者について事前情報を得られる強みがあります。紹介者を通じて仕事ぶりを確認できるため、求人票や面接だけで判断するよりも、入社後の姿を想像しやすくなります。

そのため、紹介に頼ること自体が問題なのではありません。課題になるのは、紹介者の目利きに頼っていた見極めを、求人媒体など別の経路では再現できていないことです。

この会社には、育成の土台があります。社内と協力会社には経験10年、20年というベテランが複数おり、入社後は4名ほどで分担して教えられます。また、現場へ入る前には自社の置き場で練習させる運用も行っていました。

それでも採用経路を広げられなかったのは、育成力がないからではありません。次の三つが一つの流れとして整理されていなかったためです。

  1. どの段階の人なら採用対象にできるのか
  2. 採用前に何を確認すればよいのか
  3. 入社後、誰がどこまで教えるのか

例えば、未経験者を採るのであれば、置き場での練習を前提に採用できます。一定の経験者を採るのであれば、経歴だけでなく、実際に任せる作業の一部を通じて力量を確認する必要があります。

採用経路だけを増やしても、見極めと育成の基準がなければ、応募対応が増えるだけになりかねません。

解決

採用対象、経路、実技選考、現場配属前の練習を一つの流れにする設計

求人媒体を再開する前に、採用から現場配属までを一続きで設計することが重要です。進め方は、大きく四つに分けられます。

1.経験年数ではなく、入社後の育て方から採用対象を決める

最初に決めたいのは、「経験者を採るか、未経験者を採るか」だけではありません。自社の教育体制で、どの段階の人まで受け入れられるかを整理します。

今回のように、ベテラン社員や協力会社による指導と、置き場での事前練習が可能であれば、採用対象を経験者だけに絞る必要はありません。

一方で、年間に何人まで教えられるかは確認が必要です。年間1〜2名を採る計画であれば、次の内容を具体化します。

  • 入社後の指導を担当できるベテランは誰か
  • 置き場でどの程度まで練習させるか
  • どの状態になれば現場へ配属できるか
  • 現場配属後は誰と組ませるか

採用人数は応募数ではなく、社内と協力会社が無理なく育てられる人数から逆算します。

2.採用経路は「集まりやすさ」ではなく「見極めやすさ」とセットで選ぶ

採用対象が定まると、経路ごとの役割も整理しやすくなります。

  • 知人・社員からの紹介:仕事ぶりや人柄を事前に確認しやすい
  • 求人媒体:紹介だけでは届かない層へ募集を広げやすい
  • 外国人材の受け入れ経路:既存の団体やつながりを活用しながら、育成を前提に採用できる

一つの経路に絞る必要はありません。紹介は継続しながら、求人媒体では未経験者を含む採用対象へ間口を広げるなど、役割を分ける方法があります。

求人媒体についても、最初から大きな費用を投じるのではなく、採用対象と見極め方を固めたうえで小さく始めるほうが判断しやすくなります。見るべき数字も応募数だけではありません。面接に進んだ人数、実技確認を通過した人数、入社後に練習を終えた人数まで追う必要があります。

3.面接だけで決めず、置き場での実技確認を選考に組み込む

「入ってみるまで、どこまで仕事ができるかわからない」という問題に対しては、選考段階で実際の動きを確認できる機会を設けます。

すでに入社後の練習に使っている置き場があるなら、その環境を選考にも活用できます。経験者には、入社後に任せる可能性のある作業の一部を確認します。未経験者には、説明を受けたあとにどのように取り組むかを見ます。

ここで大切なのは、実技試験を難しくすることではありません。確認する内容を採用対象ごとに分け、ベテラン社員や協力会社にも判断へ加わってもらうことです。

代表一人の面接だけで決めず、現場を知る人の目と実際の作業確認を組み合わせることで、紹介採用に近い見極めを再現できます。

4.採用後の練習と現場配属の基準を決める

採用が決まったら、すぐに現場へ入れるのではなく、置き場での練習を挟みます。今回の会社ではすでに行っているため、あとは個人の経験に任せていた指導を共通化していく段階です。

まずは、指導担当者の間で「現場へ出せる状態」をそろえます。経験10年、20年の職人でも、教え方や合格とする水準は異なることがあります。判断基準を共有しておけば、誰が教えても配属判断が大きくずれにくくなります。

そのうえで、採用から配属までを次のようにつなげます。

  1. 採用対象を決める
  2. 紹介、求人媒体、外国人材などの経路を選ぶ
  3. 面接と実技で現場適性を確認する
  4. 置き場でベテランから指導を受ける
  5. 一定の状態になってから現場へ配属する

求人、選考、育成を別々に扱わず、一つの採用工程として設計することが、紹介頼みから抜け出す土台になります。

まとめ

求人媒体で思うような人を採れなかった会社ほど、次の媒体を探す前に、見極めと育成の流れを整理することが大切です。

経験者を募集しても、現場で戦力になるとは限りません。反対に未経験者でも、ベテラン社員や協力会社が教え、現場配属前に練習できるなら、採用対象に含められる可能性があります。

整理する順番は、媒体選びが最初ではありません。

  • 自社で戦力化できる人を定義する
  • 育成できる人数と指導担当者を確認する
  • 採用対象に合う経路を選ぶ
  • 面接に加えて実技で確認する
  • 置き場での練習から現場配属までを決める

欲しい人が採れない状態は、募集方法だけでなく、採用前の見極めと採用後の育成をつなぎ直すことで改善しやすくなります。

自社に合う採用対象と育成体制から整理したい方へ

「経験者を採るべきか、未経験者まで広げるべきか」「紹介以外の採用経路をどう使えばよいか」と迷う場合は、求人を出す前の設計から整理できます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の採用対象の整理、募集経路の選定、選考方法、教育体制、定着までを、現場や組織の状況に合わせて支援しています。採用だけを切り離さず、会社の受注体制や今後の成長も踏まえて、実行できる形へ落とし込みます。

「うちの場合は何から決めるべきか」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、現在の採用方法や教育体制の整理先として気軽にご活用ください。

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