前提

東海エリアの営業拠点で、対象27社への訪問状況を整理し直している段階

東海エリアに営業拠点を置く、ある建設関連会社では、既存取引先への営業活動を見直すため、優先度の低い顧客群として管理していた約30社弱を抽出しました。

ところが、顧客リストと営業活動履歴を照合すると、訪問記録を確認できたのは約20社でした。残る数社は、少なくとも手元のデータ上では一度も訪問していない可能性があります。訪問済みの会社にも、半年ほど接点がなく、過去の訪問回数が1回だけという取引先がありました。

一方で、一部の営業担当者は同じ顧客を繰り返し訪問していました。社内からは、次のような声も出ています。

「親しいところには顔を出している。ただ、営業所としては、関係の薄いところにも入っていってほしい」

問題は、営業担当者が顧客を訪問していないことではありません。担当者の経験や関係性に訪問先の選定を任せた結果、接点のある顧客に活動が偏り、休眠顧客や未訪問企業が見えなくなっていることです。

この状態を変えるには、単に「訪問件数を増やそう」と呼びかけるのではなく、誰が、どの会社に、いつ、何回接点を持ったのかを確認できる土台が必要です。

課題

訪問件数だけでは、親しい顧客への偏りと未訪問企業の放置を見分けられない状態

営業活動を訪問件数だけで見ると、一定数を訪問している担当者は活発に動いているように見えます。しかし、同じ顧客を繰り返し訪問していても件数は積み上がります。

そのため、件数だけでは次の違いを判別できません。

  • 幅広い顧客と接点を持っている
  • 親しい数社を高頻度で訪問している
  • しばらく訪問していない顧客へ再接触している
  • 過去に一度も訪問していない会社を開拓している

今回、活動履歴を確認した際にも、ある担当者の名前が多く記録されていました。当初は「この担当者はよく訪問している」と受け取れましたが、その担当者が対象顧客を多く割り当てられている可能性もあり、履歴だけでは評価を確定できませんでした。

営業担当者ごとの訪問件数は、担当顧客数や顧客構成とセットで見なければ、行動量にも偏りにも見える数字です。

また、既に商品やサービスを導入している企業、今回の活動対象から除外すべき企業、未導入企業が別々のリストで管理されていると、母数そのものが曖昧になります。実際に対象企業数が22社なのか27社なのかという確認が発生し、活動を始める前にリストの突き合わせが必要になっていました。

営業所に「休眠顧客へ電話してほしい」と依頼しても、対象リスト、最終訪問日、過去の接点相手が分からなければ、担当者は動きやすい既知の顧客から着手します。これは個人の意欲だけでなく、営業管理の設計によって起きる偏りです。

背景

顧客マスターと活動履歴が分かれ、訪問先を担当者の記憶で選んでいた営業管理

訪問先が固定化する背景には、営業担当者にとって親しい顧客のほうが訪問しやすいという事情があります。相手の担当者が分かり、過去の話題も把握しているため、連絡や訪問の心理的な負担が小さいからです。

反対に、長期間接点のない顧客や関係の薄い顧客へ連絡するには、少なくとも次の情報が必要です。

  • 最後に訪問した時期
  • 過去の訪問回数
  • 自社の誰が訪問したか
  • 取引先の誰と接点があったか
  • 商品やサービスの導入状況
  • 今回の営業対象に含めるか

今回も、営業活動履歴には最終訪問日、訪問回数、訪問した担当者などの情報がありました。しかし、その履歴が営業対象リストと一体になっておらず、別ファイルとして保存されていました。

さらに、顧客名だけで照合しようとすると、表記やコメントの違いによって正確に一致しないことがあります。実際に、顧客名として使う列が複数あり、社名以外のコメントが含まれたデータもありました。そのため、目視ではなく取引先コードを使って機械的に突き合わせる必要が出ています。

顧客マスターと活動履歴が分かれていると、会社には情報があっても、営業担当者が訪問先を決める場面では使えません。結果として、記憶にある会社、関係の良い会社、連絡しやすい会社が優先されます。

リストの版が複数残っていたことも、判断を難しくしていました。古いリストと修正版が混在すると、誰がどのデータを見ているのか分からなくなり、「対象企業が入っていない」「導入済み企業が除外されている」といった確認が繰り返されます。

休眠顧客の掘り起こしは、電話の仕方を考える前に、全顧客を一つの母集団として把握できる状態をつくることが出発点になります。

解決

顧客コードで活動履歴を統合し、最終訪問日と担当顧客構成から優先順位を決める運用

最初に整えたいのは、既存顧客、導入済み企業、未訪問企業、今回の対象外企業を含むマスターリストです。最初から対象外企業を削除するのではなく、全社を残したうえで「今回アプローチするか」を判定する列を設けます。

母集団から不要な顧客を消すのではなく、全顧客を残して対象・対象外を管理すると、未訪問企業の抜け漏れを確認しやすくなります。

そのうえで、顧客マスターと活動履歴を取引先コードで統合します。少なくとも、次の項目を一つの一覧で見られるようにします。

  • 取引先コード
  • 正式な取引先名
  • 担当営業所・営業担当者
  • 最終訪問日
  • 一定期間内の訪問回数
  • 自社側で接点のある担当者
  • 取引先側で接点のある担当者
  • 商品・サービスの導入状況
  • 今回のアプローチ対象かどうか

次に、最終訪問日と訪問回数をもとに、営業対象の優先順位を付けます。たとえば「一度も訪問していない」「訪問は1回だけ」「半年以上接点がない」といった区分です。

優先順位は一つの数字だけで決めず、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 導入済みなどの理由で、今回の案内が不要な企業を分ける
  2. 活動履歴のない未訪問企業を抽出する
  3. 最終訪問日が古い企業を抽出する
  4. 訪問回数が少ない企業を確認する
  5. 過去の接点相手を確認し、誰が連絡するか決める

活動履歴に取引先側の接点相手が残っていれば、電話先も決めやすくなります。過去に訪問した自社担当者が分かれば、その担当者から連絡するのか、現在の担当者へ引き継ぐのかも判断できます。

ただし、抽出した休眠顧客を一律に訪問対象とする必要はありません。導入状況や過去の接点を確認し、電話、訪問、対象外のどれにするかを営業所で決めます。データは担当者を管理するためではなく、限られた営業時間をどこに配分するか決めるために使うものです。

評価についても、単純な訪問件数だけで判断しないことが重要です。担当者ごとに、次のような構成差があるためです。

  • 担当顧客の総数
  • 休眠顧客や未訪問企業の数
  • 既存の関係が深い顧客の割合
  • 今回の営業対象となる顧客の割合

ある担当者の訪問回数が多くても、対象顧客そのものを多く持っている可能性があります。反対に、訪問件数が少なくても、未訪問企業への初回接点を着実につくっている場合があります。

そこで、件数に加えて「担当顧客のうち何社と接点を持てたか」「休眠顧客を何社再開できたか」「未訪問企業へ何社アプローチしたか」を見ます。

営業行動を見るときは、訪問の量だけでなく、顧客の広がりと接点の空白が埋まったかを確認することが大切です。

運用開始後は、アポイントの獲得有無まで記録します。月内など一定の期限を置き、対象企業数、架電数、接続数、アポイント数を営業会議で確認できれば、休眠顧客への活動を継続的に改善できます。

同時に、リストの最新版を一つに絞り、更新担当者と更新時期を決めます。古い版を残したまま運用すると、再び対象件数が合わなくなるためです。日々の修正と一定時点での一括更新を分けておくと、現場の負担も抑えやすくなります。

まとめ

営業担当者が親しい取引先ばかり訪問する状況は、本人の姿勢だけで起きるものではありません。顧客マスターと活動履歴が分かれ、休眠顧客や未訪問企業が見えない状態では、担当者は連絡しやすい相手を選びやすくなります。

休眠顧客を掘り起こす第一歩は、全顧客を載せたマスターに活動履歴を統合し、最終訪問日、訪問回数、接点相手、導入状況を同じ画面で確認できるようにすることです。

そのうえで、未訪問、長期未接点、訪問回数の少ない企業を抽出し、誰がどこへ連絡するかを決めます。評価するときは訪問件数だけではなく、担当顧客の構成や、接点を持てた顧客の広がりまで見る必要があります。

リストが整えば、担当者へ精神論で働きかけなくても、次に連絡すべき顧客が明確になります。まずは一つの営業所や顧客区分に絞り、顧客マスターと活動履歴を突き合わせるところから始めると進めやすいでしょう。

休眠顧客の掘り起こし方を、自社の営業データから整理するために

「顧客リストはあるが、誰がどこへ行っているのか分からない」「活動履歴は残っているものの、営業判断に使えていない」という会社は少なくありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大や営業管理をはじめ、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して課題を整理し、実行まで支援しています。

休眠顧客をどう区分するか、どのデータから整えるかなど、まだ具体策が決まっていない段階でも構いません。自社の場合は何から整理すべきかを一緒に確認し、営業担当者が動きやすい管理方法へ落とし込みます。無理にサービスをご案内することはありませんので、状況整理の場としてご活用ください。

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