発注間違いで余った塗料や現場ごとに異なる建材が残る倉庫
余った建材の整理は、在庫を一律に減らすのではなく、自社で再び使えるものと、使う見込みが立たないものを分けることから始まります。
ある防水工事会社では、発注間違いによって一斗缶の塗料や防水関係の資材が余っていました。また、住宅改修を手がける会社からは、手すり工事の材料が滞りがちだという声もありました。余剰建材は、特定の工種だけに限った悩みではありません。
ただ、倉庫に残る材料にも性質の違いがあります。クロスの糊のように現場を問わず使う消耗品は、余っても次の仕事で使えます。一方、防水塗料やクロス、フローリング材、トイレ、洗面化粧台などは、案件ごとに必要な品番や仕様が異なり、そのまま次の工事に回せるとは限りません。
同じ「余った材料」でも、近いうちに使うための保管と、行き先が決まらないままの保管は別です。この違いを押さえると、残すか手放すかを考えやすくなります。
次に使う工事が見えない建材まで保管を続けてしまう状態
問題は材料が余ることだけでなく、次の使い道が見えない在庫について、保管を続ける理由が曖昧になることです。
発注間違いで倉庫に戻った材料も、別の現場で使えれば仕入れが無駄にならずに済みます。そのため、すぐに処分せず残しておく判断には、十分な理由があります。
しかし、住宅設備や内装材は毎回同じものを使うわけではありません。洗面化粧台が余っていても、次の工事で求められる仕様が違えば使えません。クロスや床材も同様です。品物として使えることと、自社の次の案件で使えることの間には差があります。
売却を考えても、一般の買取店では値段がつかず、個人向けの売買サービスでも引き取りにつながらない場合があります。そこで再び倉庫に置くことになれば、使う予定も売る見込みもないまま保管が続きます。
ここで整理したいのは、在庫の有無よりも、その在庫にどの程度具体的な使い道があるかです。「いつか使えるかもしれない」だけでは、保管を終える判断もしにくくなります。
自社で使う価値と他社に売れる価値の違い
余剰建材が動きにくい背景には、現場ごとの仕様の違いと、仕入れ額を回収したいという期待があります。
現場を問わず使う消耗品は、余っても自社で使い切りやすいため、そもそも売却する必要があまりありません。反対に、次に使う機会が読めない設備や仕上げ材ほど、手放す検討の対象になります。余剰在庫として残りやすいのは、必ずしも使いやすい品物ではないということです。
さらに、買ったときの金額が大きいものほど、安く手放す判断は難しくなります。ただ、買い手も建設業者であれば、通常の仕入れ先から購入する選択肢を持っています。メーカーの定価より安いというだけでは、購入する理由にならないこともあります。
一方、一般の買取店で値段がつかないことは、建材としての用途がないことと同じではありません。必要な仕様が合う同業者には、使い道がある可能性があります。材料店との取引口座を持たず、得意先を通じて材料を購入したり、ホームセンターを利用したりしている一人親方なども、購入先の候補になり得ます。ただし、どの品物に需要があるかは、実際に確かめる必要があります。
また、住宅設備では、売値だけでなく運搬や保管の負担も判断に影響します。洗面化粧台やシステムキッチンを持ち帰る輸送費、置き場所、解体の手間を考えると、売却に踏み切れないという声もありました。再流通を考える際には、価格と引き渡しの条件を切り離せません。
再利用の見込みから仕分けし、保管・廃棄・再流通を比較する進め方
判断の順番は、自社で使う見込みを確かめ、そのうえで保管継続・廃棄・業者間での再流通を比べる流れです。 売れそうなものから探すより、まず自社に残す理由を整理したほうが、手放す対象が明確になります。
まずは「使える材料」ではなく「使う見込みのある材料」を残す
仕分けの基準は、品物の種類だけではなく、自社の工事で再利用できる見込みです。確認する内容は、次のように整理できます。
- クロスの糊など、現場を問わず使い、次の仕事でも消費するものか
- 防水塗料、クロス、床材など、品番や仕様が次の工事に合うものか
- トイレや洗面化粧台など、使う案件が見えている設備か
消耗品だからすべて残す、住宅設備だからすべて売る、という分け方ではありません。同じ材料でも、自社の施工内容によって使う見込みは変わります。大切なのは、残す理由を「まだ使える」から「次に使う見込みがある」へ具体化することです。
手放す候補は、仕入れ額の回収だけで判断しない
自社で使う見込みが乏しいものは、保管を続ける場合、廃棄する場合、同業者に売却する場合を比較します。
保管を続ければ、将来使える可能性を残せます。ただし、行き先が決まらない状態も続きます。廃棄すれば保管は終わりますが、ほかの業者が使える可能性もなくなります。再流通なら現金に換えられる可能性がある一方、出品や引き渡しの手間がかかります。
売却の目的は、必ずしも仕入れ額を取り戻したり、利益を上乗せしたりすることではありません。使う見込みのない在庫を、保管し続ける以外の形に変えることです。
仕入れ額は判断材料の一つですが、それだけを売値の基準にすると、買い手がつかず保管が続く場合があります。通常の仕入れ先から買う場合と比べて、相手に購入する理由があるかも確認したいところです。
売値と一緒に、引き渡しの負担を確認する
再流通を試す対象は、一般の買取店での評価だけで決めず、同業者に用途があるかという視点でも見直します。その際は、価格に加えて、取りに来てもらうのか、配送するのか、誰が運搬の負担を持つのかを合わせて確認します。
大型の住宅設備では、売値がついても、解体や運搬の負担が大きければ手放す側にとって見合わないことがあります。反対に、必要な業者が解体して引き取れるなら、再流通を検討しやすくなる場合もあります。
写真を撮って出品する作業自体を負担に感じる声もあるため、すべての在庫を一度に売ろうとする必要はありません。まずは、自社で使う見込みがなく、引き渡しの条件も確認できるものから検討すると、判断を進めやすくなります。
「いくらで売れるか」だけでなく、「どの程度の手間で手放せるか」まで含めて比べることが、再流通を選ぶ判断軸になります。
まとめ
残す在庫と手放す在庫の境目は、購入時の金額や品物の種類ではなく、自社で再利用する見込みです。
現場を問わず使う消耗品と、案件ごとに品番・仕様が異なる防水塗料、クロス、床材、住宅設備では、保管する意味が違います。まずは、次に使う見込みを説明できるものと、行き先が見えないものを分けるところから始められます。
使い道が見えない建材は、一般の買取店で値段がつかなくても、同業者には用途があるかもしれません。仕入れ額の回収だけにこだわらず、保管を続ける負担、廃棄、売却時の価格と引き渡しの手間を比べると、自社に合った選択がしやすくなります。
倉庫に残る建材の整理から始める次の一手
「うちの在庫は何を残すべきか」という段階から、整理を始めることができます。 売却先を探す前に、再利用の見込みと、手放す際の負担を分けて考えるだけでも、次に確認することが見えてきます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。余剰建材についても、単に売却を勧めるのではなく、自社で使う見込みや保管・運搬の負担を踏まえ、何から整理するかを一緒に考えます。
何から手をつけるべきかわからない段階でもご相談いただけます。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、自社の場合の考え方を整理する場としてご活用ください。