前提

販売・購買・在庫のシステムがあっても、資材の識別が残る倉庫管理

在庫を管理するシステムがあることと、倉庫で資材を読み取って入出庫を記録できることは、別の課題です。

ある建材会社では、内装資材などを複数の拠点で扱い、一部の商品は自社の製造部門でつくっています。販売・購買・在庫を管理する基幹システムもあり、社内では業務用アプリの開発も進めていました。

デジタル活用に手をつけていない会社ではありません。それでも、倉庫の省人化を考えると、設備の手前で止まってしまう問題がありました。扱う商品の、およそ3分の2にバーコードが付いていないのです。

倉庫で働く人材の確保は、この会社にとっても課題です。作業負担を減らすため、機械設備への投資は必要だと考えています。一方で、商品ごとの利益には幅があり、薄利多売の側面もあります。設備を入れればよい、とは簡単に決められない状況でした。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ
課題

読み取るコードがないままでは進まない入出庫管理の省人化

設備を選ぶ前に必要なのは、「何を手がかりに商品を識別するか」を決めることです。

担当者の言葉に、その難しさが表れていました。

「バーコードすら付いていない。何を読めばいいんだ、という状況なんです」

読み取り設備を導入しても、商品側に読み取る情報がなければ、その設備だけで入出庫管理が効率化するわけではありません。バーコードのない商品をどう識別するか、という作業が残ります。

では、自社ですべての商品にコードを付ければよいのでしょうか。そこにも、一つひとつ付与する作業負担があります。読み取り作業が短くなっても、その前に必要な作業が大きく増えれば、省人化の効果は小さくなります。

この悩みは、単に「バーコードがない」という問題ではありません。商品を識別するために増える手間まで含めて、倉庫全体の負担を減らせるかという問題です。

背景

メーカー対応を待ちにくく、画像認識の精度だけでも決められない事情

メーカーへの依頼、自社でのコード付与、画像認識のいずれにも、そのままでは解消できない条件がありました。

この会社では、国内の資材メーカーにバーコード対応を求めても、需要が少ないとして対応してもらえないことがありました。仕入れを担う部門も、メーカー側の事情を把握しています。依頼すればすぐに変わる状況ではありません。

一方で、メーカー側の対応が広がるのを待っているだけでは、自社の改善も進みません。そこで担当者が口にしたのが、「まずは自社から」という方向でした。自社の製造部門で扱う商品から、コード付与を進める動きが出ていました。

画像認識も検討の対象です。ただ、認識率の数字だけでは判断できません。担当者は、仮に98%の精度だったとしても、「100件中2件間違ったら、まずいでしょう」と話していました。これは特定の製品の実測値ではなく、求める正確性を考えるための例です。

自動で識別できる割合が高くても、誤認識がそのまま入出庫の記録に反映されるなら、安心して任せられません。確認が必要なら、その作業も残ります。

必要なのは、高い認識率だけではなく、誤りを防ぐ確認作業まで含めて成り立つ運用です。 そして、その運用にかかる費用を、商品の利益や取扱量に照らして判断する必要があります。

解決

自社でコードを付けられる商品から始める段階的な設備選び

すべての商品を一度に自動化するより、自社で識別の仕組みを整えられる範囲から、効果を確かめて広げる進め方が現実的です。

この会社で動き始めていた、自社製造品からコード付与を進める方針は、その出発点になります。メーカー側の変更を待つ商品と、自社で対応を進められる商品を分けることで、改善できる範囲が見えてきます。

まずはコード対応できる商品の範囲を整理する

対象商品は、「コードが付いているか」だけでなく、「誰が付与の仕組みを変えられるか」で分けると整理しやすくなります。

  • すでにバーコードがあり、活用を検討できる商品
  • 自社製造品など、自社でコード付与を進められる商品
  • 仕入れ品で、自社での付与負担やメーカー対応を確認する必要がある商品

ここで決めたいのは、最初にどこまでを対象にするかです。全商品への対応を開始条件にすると、動かせる部分まで止まってしまいます。

「全商品にコードが付いてから」ではなく、「自社で対応できる商品では、どれだけ負担を減らせるか」から考えます。

読み取りだけでなく、付与と確認の手間も比べる

対象を絞ったら、コードを付ける作業と、読み取った結果を確認する作業まで含めて、運用負担を確かめます。

整理する項目は、次の四つです。

  • 対象商品の範囲と取扱量
  • コード付与にかかる手間
  • 読み取り後にも必要な確認の内容と手間
  • 入出庫管理で減らせる作業と時間

画像認識を検討する場合も、同じ見方が必要です。「何%認識できるか」に加え、「誤認識をどう確認するか」「確認を含めても作業が軽くなるか」を確かめます。

機械の認識精度と、入出庫記録として必要な正確性を分けて考えることが、設備選びの判断軸になります。

負担の差と回収の見込みを見てから設備を選ぶ

投資の比較では、設備によって減る作業だけを数えないことが大切です。コード付与や確認など、新たに必要になる作業も差し引いて考えます。

そのうえで、対象商品の取扱量に対して、どの程度の負担軽減が見込めるかを整理します。設備費や運用費に見合う効果があるか。回収までの見通しを持てるか。薄利の商品を多く扱う会社ほど、ここを設備の機能と切り離さずに検討したいところです。

対象を限定した段階で効果が見えれば、次に広げる商品の判断もしやすくなります。反対に、コード付与の手間が大きい範囲は、無理に同じ方法へ揃える必要はありません。

対象商品、運用負担、必要な精度、回収の見込みを先に整理し、その条件に合う設備を選ぶ。 この順番なら、設備導入そのものを目的にせずに済みます。

まとめ

バーコードのない建築資材の省人化は、設備の性能より先に、商品をどう識別するかを整理するところから始まります。

メーカーへの依頼だけでは進みにくい。自社で付けるにも手間がかかる。画像認識にも、誤りをどう防ぐかという課題が残る。この三つを踏まえると、全商品を一度に変えるより、自社で対応できる商品から進める方針が見えてきます。

最初の一歩は、コードを活用できる商品の範囲を分けることです。その範囲で、付与や確認の手間を含めても負担が減るかを確かめます。必要な正確性と投資回収の見込みが揃ってから、設備を比較する。そうすることで、自社の倉庫に合った省人化を段階的に進めやすくなります。

倉庫設備を選ぶ前に整理したい、自社で変えられる商品の範囲

「うちの商品では、どこからコード対応を始められるのか」「付与や確認の手間を含めると、投資に見合うのか」。設備の比較に進む前に、こうした条件を整理したい段階でもご相談いただけます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社をはじめとする建設企業の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。倉庫の省人化についても、現場の負担と費用対効果を整理するところから、一緒に次の進め方を考えます。

導入する設備が決まっていなくても、何から整理すべきかという段階から相談できます。 無理にサービスの利用や導入を勧めることはありませんので、自社の場合を整理する機会としてご活用ください。

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