前提

内装工事会社でも広がる、AIを試して積算ソフトの必要性を見直す動き

AIで図面を読めたことと、積算ソフトが不要になることは、分けて考えたいところです。 内装工事会社の間でも、経営者自身がAIを試し、積算業務への活用を探る動きが出ています。

「連休に自分でやってみたら、ここまでできる。もうソフトはいらないんじゃない?」

内装向け積算ソフトの提供側には、こうした声が届いています。既存の利用企業がソフトの追加導入を検討した後、経営者自身のAI試用をきっかけに、導入を見送ったケースもありました。

図面を読み込ませて、何らかの結果が返ってくる。自分で試せるだけに、可能性を身近に感じられます。

ただ、その結果が人の積算と合っているか。抜けや誤読を探す手間はどうか。いつもの積算ソフトで使える形になっているか。そこまでは、まだ確かめられていませんでした。

今回の整理も、AIによる自動積算の成功事例ではありません。「できそう」を、実務で使えるかどうか確かめるための出発点です。

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課題

AIが出した数量の確認・修正まで含めた省力化の見えにくさ

導入効果を判断するには、AIの出力時間だけでなく、確認して直す時間まで見る必要があります。 結果がすぐに出ても、その後の作業が減るとは限らないためです。

積算ソフトの提供側にも、こんな問題意識がありました。

「仮にできたとしても、いっぱい直さなきゃいけない」

数量が並んでいるだけでは、正しい箇所と間違っている箇所は分かりません。確認のために図面を見直すなら、最初から拾う場合との比較が必要です。確認や修正にどれだけ時間がかかるかは、実際に試さなければ判断できません。

一方で、最初から積算全体を任せなくても、試す余地はあります。

例えば、図面にある建具の幅や、建具記号に対応する高さです。現在は目視で確認し、ソフトに登録しています。部屋名やCH、つまり天井高も同様です。建具を登録した後は、図面上の該当位置にスタンプのように配置する作業もあります。

こうした登録前の読み取りが減るだけでも、役立つ可能性があります。

「数量まで自動で拾うこと」と「拾う前の準備を軽くすること」を同じ検証にしない。 まずは、この切り分けが判断をしやすくします。

背景

部屋の形を読めても、梁や天井高の拾い分けには残る判断

内装積算には、図形や文字の認識だけでは決まらない拾い方があります。 教材用の平面詳細図を確認する中でも、その違いが具体的に見えてきました。

例えば、壁の数量を拾うときです。建具まわりの細かな凹凸をそのままなぞるのではなく、壁面を通して拾い、開口を後で差し引く考え方が確認されました。線を認識できることと、積算に必要な線を選べることは別です。

天井も、部屋を囲めれば終わりではありません。

教材図面には、キッチンとリビングの間に梁がありました。キッチン、梁下、リビング側で高さが異なります。梁を天井と分けて拾うのか。面積を出す目的で、まとめて扱うのか。必要な数量によって整理が変わります。

「仕様が違う場合は、もちろん分けて拾わないといけない」

梁は施工の手間や材料の歩掛り、単価にも関わります。一方、元請けの数量表と比較するために、その区分に合わせて拾う場合もあります。

そのため、人の積算結果とAIの数量が違っていても、単なる読み間違いとは限りません。拾い方の前提が違う可能性もあります。

さらに、教材図面では一枚にまとまっていた情報が、実際には仕上げ表や建具表に分かれる場合もあります。

検証に必要なのは、図面だけでなく「どの資料を使い、どのルールで、何を出すか」という前提です。 ここが曖昧なままでは、出力の良し悪しも決めにくくなります。

解決

正解のある教材図面から始める、準備作業と数量算出の段階検証

まずは正解データのある教材図面で、対象業務と期待する出力を絞って試す進め方が考えられます。 いきなり全面自動化を目指すより、どこで役立ち、どこに確認が必要かを見つけやすくなります。

今回、検証の入口として挙がったのは、積算の教材図面でした。人が拾った答えも用意されています。ただし、読み取り、CSV化、既存ソフトとの連携はいずれも検証前です。簡単に実現できると決まったわけではありません。

まずは部屋名・天井高・建具寸法の読み取りを区切る

最初の候補は、目視で確認して登録している情報です。

  • 部屋名と、その部屋に対応する天井高
  • 建具記号と、それに対応する幅・高さ
  • 読み取った情報のCSV一覧化

ここでは、文字を読み取れたかだけでなく、対応関係も確認します。天井高の数字が合っていても、別の部屋に結び付いていれば、そのまま登録には使えません。

仕上げ表や建具表が別になっている図面では、それらも検証資料に含めます。最初の教材で確認できた範囲と、別資料の参照が必要な範囲は分けて扱います。

数量算出は、拾う範囲とルールを決めてから照合する

数量まで試すなら、まずは教材内の一室など、対象を限定します。対話でも、天井の部屋の囲いができるかを入口にする方針が挙がりました。

その際は、仕上げ面のどこを拾うのか。梁を分けるのか。天井高の異なる部分をどう扱うのか。人が拾った答えと同じ条件をそろえます。

人の積算結果との照合では、数量の差だけでなく、誤読・抜け・拾い分けの違いを確かめます。 数字だけを合わせるより、修正が必要になった理由を整理した方が、次に任せる範囲を決めやすくなります。

読み取りから修正までの時間で比較する

効果測定では、通常の手作業と、AIを使った場合の作業時間を比べます。

AI側は、図面の読み込みや出力だけで区切りません。結果の照合、誤読や抜けの確認、修正まで含めます。既存ソフトで使うことが目的なら、取り込みに必要な作業も含めます。

確認・修正が多ければ、対象を数量算出から準備作業に戻す判断もできます。反対に、部屋名や建具寸法の整理で手間が減るなら、そこを先に活用する選択肢があります。

判断軸は「AIが何かを出せたか」ではなく、「必要な精度に整えるまでの総作業時間が減ったか」です。

CSV化と既存ソフトへの取り込みは別に確かめる

CSVができても、それだけで連携が完了するわけではありません。既存ソフトの部屋マスターなど、取り込み先の形式に合わせる必要があります。既存のマスターにない項目をどう扱うかも、確認が必要です。

今回対象となったソフトはWindows用でした。実際の取り込みまで試すには、その動作環境も必要になります。

AIがソフトを操作する案や、マスターを自動で照合・追加する案も挙がりました。ただし、これらも未検証の仮説です。まずは読み取り結果を確認し、次に取り込み、その先に自動操作を置く方が、検証の範囲を整理できます。

試した後には、積算の判断ができる人と結果を見直す時間も確保します。

「これはこうだよね、という時間を取らないと進まない」

この確認の場まで含めて準備することが、小さな試行を次の判断につなげます。

まとめ

AIで積算ソフトが不要になるかは、図面を読み込めた段階では判断できません。 数量の正確さだけでなく、確認・修正、既存ソフトへの取り込みまで確かめる必要があります。

内装工事では、梁を分けるか、天井高の違いをどう扱うかなど、拾い方の判断も残ります。まずは正解のある教材図面で条件をそろえ、人の結果と照合するところから始められます。

全面自動化だけを目標にする必要はありません。部屋名、天井高、建具寸法の読み取りやCSV化から、既存ソフトと組み合わせる道もあります。

準備作業と数量算出を切り分け、修正時間まで含めて効果を見る。 その結果をもとに任せる範囲を決めれば、自社に合う使い方を考えやすくなります。

自社の積算でAIに任せる範囲を整理したい方へ

「うちの積算なら、どの作業から試せるか」という段階から整理できます。 使っている図面、目視で登録している情報、積算ソフトとの受け渡しを並べると、検証する対象が見えてきます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。積算のAI活用についても、現状の業務整理や、導入効果を確かめるための進め方からご相談いただけます。

何から整理すべきか決まっていなくても構いません。無理に導入や契約をおすすめすることはありませんので、自社の場合を考える整理先として、お気軽にご相談ください。

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