防水工事の依頼が増える一方、今の人員で受けられる現場を選ぶ段階
仕事の依頼があることと、今の体制で受けられることは別です。 首都圏で防水工事を手がける、ある少人数の専門工事会社にも、その判断が必要な依頼が届いていました。
相手からは「仕事はいっぱいある」と声がかかっています。ただ、提示された資料は工事項目が極端に少なく、普段なら載っている内容まで見当たりません。さらに、紹介される現場には、自社から通うには遠い場所も含まれていました。
相談者の受け止めは、「やれないわけではないけれど、そこまで無理して行く必要はない」というものでした。依頼そのものを否定しているのではありません。現在の人員を踏まえて、受ける理由があるかを見極めようとしていたのです。
省略された工事項目と遠方の現場では、受注後の動きが見通せない状態
受けにくさの中心は、施工範囲が分からないことと、移動を含めて人員を回せるか判断しにくいことです。
資料を見た相談者からは、「ほかにも入っていなければいけない部分が、入っていないように見える」という言葉がありました。項目が少ないだけでは、記載を短くしているのか、依頼する工事から外しているのかが分かりません。
ここが曖昧なままでは、必要な作業量も人員も読み切れません。提示された条件を見ても、それがどこまでの施工を前提にしているのか、判断が止まってしまいます。
遠方の現場も同様です。施工自体は対応できても、日々の往復を含めて考えると、今の人数では受けにくいことがあります。工事ができるかだけでなく、既存現場と両立して通えるかまでが、受注判断の範囲です。
依頼元の「これでやってほしい」と自社の施工判断にある前提のずれ
依頼元が慣れている発注の仕方でも、新しく受ける側には確認が必要です。
相談者は、相手の依頼について、見積もりを一から取るというより、これまでのやり方で「これでやってほしい」と提示される感覚だと話していました。依頼元の中では通じている省略表現でも、自社には施工範囲が伝わっていない可能性があります。
そのため、項目が少ないことだけで、依頼元の良し悪しを決める必要はありません。まずは、何を省略しているのかを確かめる余地があります。相談者も「現場に行ってみないと分からない」と考え、現地を確認する予定でした。
一方、場所が遠いという事情は、資料の説明が増えれば解消するものではありません。人がもう少しいれば考え方が変わるとしても、受けるのは現在の体制です。
確認すれば判断できる情報不足と、今の体制には合わない対応条件を分けることが、整理の出発点になります。
施工範囲を確かめ、移動と人員を重ねて受注可否を分ける手順
最初から受けるか断るかの二択にせず、「追加確認する案件」と「対応条件が合わない案件」に切り分けます。 確認の順番をそろえると、依頼の多さに引っ張られずに判断しやすくなります。
1.省略された項目が施工範囲に含まれるかを確認する
まず、提示された見積内訳と、普段自社が確認している工事項目を照らし合わせます。抜けて見える部分は、含まれるのか、別の工事として扱うのかを依頼元に確かめます。
聞き方は、「この項目が見当たりませんが、今回の施工範囲に含まれますか」と具体的にすると、認識を合わせやすくなります。資料全体を詳しくしてもらうことより、自社がどこからどこまで施工するのかを明らかにすることが目的です。
2.資料で分からない部分を現地調査で確かめる
現地調査は、資料だけでは判断できない内容を確認する機会です。訪問前に、省略されている項目と施工範囲の疑問を整理しておきます。
現地を見た後は、依頼元が想定している範囲と、自社が必要と考える作業にずれがないかを確認します。範囲が定まらない段階では、受注判断を保留し、必要な確認を続ける扱いにします。
3.移動負担と必要人員を、既存現場に重ねて見る
施工範囲が見えたら、必要な人数と日数を整理します。そのうえで、現場までの往復を含めて、今の人員で対応できるかを見ます。
確認する点は、次の三つに絞れます。
- 現場まで継続して通えるか
- 必要な人数と日数を確保できるか
- その人員を振り向けても、既存現場の対応に無理が出ないか
距離だけで一律に決める必要はありません。ただし、施工時間だけなら対応できても、移動を含めると回らない案件は、今の体制では受けにくい案件です。 将来人が増えた場合と、現在受けられるかは分けて考えます。
4.追加確認で進める案件と、見送る案件を分ける
工事項目の省略が主な問題なら、説明や現地調査によって判断できる可能性があります。これは、追加確認する案件です。
一方、施工範囲が明らかになっても、遠方への移動や必要人員が自社の対応条件に合わなければ、見送る判断になります。情報が足りないから保留するのか、条件が合わないから見送るのか。ここを分ければ、依頼元にも理由を伝えやすくなります。
「仕事がたくさんある」ではなく、「この現場を今の体制で無理なく施工できる」を受注の基準にします。
まとめ
受注前にそろえたいのは、見積内訳、施工範囲、現地の状況、移動負担、必要人員と既存現場への影響です。
省略された資料には、まず確認で対応します。遠方の現場や人員の制約には、自社の対応条件を当てはめます。この二つを混ぜないことで、確認すれば受けられる仕事まで断らずに済み、体制に合わない仕事を無理に抱えることも避けやすくなります。
依頼が増えたときこそ、件数だけでなく、今の人数で施工を続けられる条件をそろえることが、次の受注を選ぶ土台になります。
自社で受けられる現場の条件を整理したいときに
「うちの場合、どこまでなら受けられるか」を整理する段階から、相談できます。 対応する地域、依頼時に確認したい施工範囲、今の人員で回せる現場の条件を言葉にすると、受注判断の基準も見えやすくなります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。受注の相談でも、依頼を増やすことだけでなく、現在の現場体制に合う仕事の選び方から一緒に考えます。
何から整理すべきか決まっていなくても構いません。無理な営業はいたしませんので、自社の対応条件を見直すきっかけとしてご相談ください。