住宅改修を中心に、大工仕事の発注先と協力業者を同時に増やしたい建設会社
目指しているのは、売上規模を先に大きくすることではなく、仲間の大工に継続して仕事を出せる体制です。
兵庫県の都市部を拠点に、住宅の改修や木工事を手がける、設立間もない建設会社があります。日常的に動く大工は6人ほど。各専門工事の協力業者とも関係を築きながら、近隣の都市圏を中心に工事を受けています。
現在の仕事は、個人施主から直接受ける住宅改修が中心です。一方で、住宅会社などから、新築の木工事を材料と手間で請け負う仕事もあります。
増やしたいのは、特に大工の協力体制です。ただし、人数だけを集めたいわけではありません。相談者が思い描いているのは、かつての町の材木店のような役割でした。
「ここに来れば、何か大工仕事がある。そういう役割を担えたらと思っています」
そのために必要なのが、木工事を継続して発注してくれる法人取引先の開拓です。
個人施主向けの元請け工事だけでは、大工へ継続発注する件数を増やしにくい状況
個人施主からの受注を増やすことと、大工の稼働を安定させることは、必ずしも同じではありません。
この会社では、個人施主向けの工事で、接客からプランニング、契約までの取りまとめ、全体工程の管理を担っています。協力業者が対応できない範囲は、代表者が補う形です。
相談者からは、「BtoCで元請けになると、こなしていける件数が少なくなる」という言葉がありました。工事を取れても、その前後の対応まで考えると、並行して進められる件数には限りがあります。
大工が足りず、受けられなかった案件もあります。ただ、仕事が余っていて、誰にでもすぐに発注できる状態でもありません。
協力業者を増やせば、継続して出す仕事が必要になります。反対に、仕事だけを先に増やしても、施工する手がなければ引き受けられません。受注先の開拓と施工体制づくりを、片方ずつではなく、釣り合いを見ながら進めることが課題になっています。
大工ごとに得意な仕事が違い、一社からの大量受注だけでは支えにくい稼働
必要なのは、大きな発注元を一社見つけることより、大工の得意分野に合う仕事を複数の取引先から確保することです。
同じ大工でも、住宅の新築を得意とする人、マンションの造作に慣れた人など、これまでの仕事の進め方は異なります。相談者も、得意な範囲から大きく外れた仕事を、無理に頼みたくないと考えていました。
また、法人から受ける仕事には、元請けごとの進め方に慣れる時間も必要です。相談者の経験では、その適応に年単位で時間がかかる場合もありました。発注量が多いという理由だけでは、継続できる取引かどうかは判断しにくいのです。
受注の偏りも避けたいところです。
「一社に委ねるのは、やっぱりリスクが高い。何社かにまたがって受ける仕組みにしたいですね」
さらに、不動産会社とのつながりにも整理が必要でした。これまで多かったのは、購入者を紹介してもらい、その個人施主と直接工事契約を結ぶ形です。不動産会社から直接工事を発注してもらう取引とは、対応範囲が違います。
法人との接点があるかどうかだけでなく、誰が契約相手になり、自社がどこまで担うのかを見る必要があります。
木工事を軸に四つの法人開拓先を分け、対応範囲と施工余力から選ぶ進め方
開拓先は、会社の知名度や発注規模よりも、「どんな仕事を、どこまで任せてもらえるか」で選びます。
相談者が挙げた候補は、住宅会社、不動産売買の会社、賃貸管理会社、メーカー・商社の四つです。いずれも接点を持つ意味はありますが、大工の仕事を安定させるという目的から、優先順位をつけていました。
木工事を増やすなら、まず住宅会社との適合性を確認
木工事を多く扱う住宅会社は、最初に検討したい開拓先です。この会社でも、新築の木工事を請け負う実績があり、その延長で取引先を増やしたい意向でした。
ただし、住宅会社という括りだけで候補を決めるのではありません。木造・鉄骨などの違いに加え、発注される範囲を確認します。木工事だけなのか、内装仕上げまで含むのか。手間請けなのか、一部資材も含めるのか。それによって必要な体制が変わります。
最初の開拓先は、今いる大工が得意とする仕事と、実際の発注範囲が重なる会社を優先します。 内装仕上げまで受けられる体制があるなら、クロスなどの協力業者の仕事にもつなげられます。
不動産会社は、一式工事を担える範囲で検討
不動産売買の会社には、建築のことをまとめて任せたいという需要がある、と相談者は感じていました。この会社には、工事だけでなく、顧客対応や契約まで取りまとめてきた経験があります。
その強みを活かせる一方、一式工事になれば、木工事以外の調整や全体管理も必要です。個人施主向け工事で抱えていた負担が、法人取引になっただけでなくなるわけではありません。
確認したいのは、購入者の紹介なのか、法人からの直接発注なのかという違いです。そのうえで、接客やプランニングまで求められるのかを揃えます。
不動産会社の開拓は、受注できるかだけでなく、一式工事を取りまとめる余力があるかで判断します。
賃貸管理会社、メーカー・商社は、実際に出る工事を確かめる対象
賃貸管理会社は、賃貸物件に関する改修の依頼先として候補になります。この会社にも、管理会社や物件オーナーから工事を受けてきた経験がありました。ここでも、木工事がどれだけ含まれるのか、一式での対応が必要なのかを確認することが出発点です。
メーカー・商社からも、木工事や設備工事の依頼を受ける可能性があります。ただし、資材の仕入先として付き合うことと、工事を発注してもらうことは別です。
四つの候補を一律に追うのではなく、まず木工事の発注が見込める住宅会社を軸に置く。そのうえで、一式対応の余力や既存の経験に合わせて、ほかの候補を検討する順番が考えられます。
一社への集中を避け、協力業者の確保と並行して進める
開拓の進め方は、今ある施工余力から逆算します。関係のある大工が何人いるかだけではなく、実際に動ける人と、その人が得意とする工事を確認することが先です。
候補先との対話では、次の点を揃えていきます。
- 発注される仕事は、木工事のみか、内装仕上げや一式工事まで含むか
- 手間だけか、材料も含めた対応か
- 現場のエリアと、継続して依頼される仕事の量が自社に合うか
- 元請け側と自社側で、顧客対応や現場管理をどう分担するか
新たな協力業者とは、小さな案件から段取りや進め方を確かめたい、という意向もありました。その確認と法人開拓を並行させれば、実際に対応できる範囲に合わせて受注を広げられます。
一社の大量発注を前提にせず、複数社から、自社が無理なく対応できる量を受けることが基本です。 取引先の数だけを増やすのではなく、仕事の内容と施工余力が釣り合う関係を積み重ねていきます。
まとめ
大工の稼働を支える法人営業は、売上を増やすためだけではなく、協力業者へ続けて仕事を出せる状態をつくる取り組みです。
個人施主向けの元請け工事には、接客やプランニング、全体管理が伴います。その件数を増やすだけでは、大工の仕事を安定して確保できるとは限りません。
まずは木工事を発注する住宅会社を軸に、自社の得意分野との適合性を確かめます。不動産会社、賃貸管理会社、メーカー・商社は、実際の発注範囲と、自社が担える管理の範囲から検討します。
そのうえで、一社に偏らず、施工する仲間の確保と受注先の開拓を並行して進めます。「何社増やすか」の前に、「今いる大工へ、どんな仕事を続けて出したいか」を揃えることが、次の一手につながります。
自社の大工仕事に合う取引先を整理したいときに
法人開拓は、営業先の一覧をつくる前の、対応範囲の整理から相談できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。大工仕事の確保であれば、得意な施工領域、協力業者の稼働余力、元請けとして担える範囲を踏まえて、開拓先と進め方を一緒に考えます。
「住宅会社と不動産会社のどちらから動くべきか」「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、状況を整理するところからご相談ください。