大手取引先への挨拶と書類提出を終え、返事を待つ専門工事会社
大手取引先との接点はできたものの、書類提出後に次の動きが見えなくなっている専門工事会社の相談です。 防水などの改修工事を手がけるこの会社は、顧問の人脈を通じて、大手企業との新たな取引を目指していました。
顧問と一緒に先方へ挨拶に行き、その後は社長自身も、複数の担当者が集まる機会に足を運んでいます。接点がまったくない状態ではなく、顔を合わせ、必要な書類も提出したところまで進んでいました。
一方、先方とのやり取りは主に顧問が担っており、社長の手元には、その後の状況が十分に届いていませんでした。
「今は待ちの段階じゃないですか。相手からのアクションがないので」
大手との取引開始には時間がかかりそうだという認識は、当初から共有されていました。そのため、すぐに仕事にならないこと自体が想定外だったわけではありません。整理したかったのは、時間がかかっている間に、何を確認し、自社は何をしておけばよいのかという点です。
「返事がない」という状況だけでは、社長が次の行動を判断できない状態
開拓に時間がかかることと、進捗や次の行動が見えないことは、分けて考える必要があります。 前者は先方の動きにも左右されますが、後者は顧問との情報共有によって整理できる余地があります。
この会社の社長は、顧問に何をしてほしいかと尋ねられても、具体的な要望を挙げられませんでした。
「どうやっていくのか、僕は分からないので、してほしいことは特にないです」
これは、開拓への関心が薄いという話ではありません。実際に社長は、顧問から案内された挨拶の機会に出向いています。ただ、取引開始までの道筋が見えなければ、追加の訪問が必要なのか、自社で何か準備するのか、それとも本当に待つだけでよいのかを判断しにくくなります。
書類を提出したという事実だけでは、現在どの段階にあり、何が起きれば次へ進むのかまでは分かりません。「顧問が先方に連絡している」という共有も、連絡後の状況や次の確認事項が伴わなければ、社長の行動にはつながりにくいものです。
必要なのは、単に連絡回数を増やすことではなく、「今どこにいて、次に何をするか」を顧問と社長が同じように把握することです。
先方とのやり取りを顧問に任せる一方、社長は指示を待つ関係
顧問が接点づくりを担う体制はできていましたが、その先の進め方を社長とすり合わせる余地が残っていました。
社長は、顧問との関係を次のように話しています。
「言われたことをやればいいかなと思っています。挨拶に行った方がいいと言われれば行くし」
人脈を持つ顧問が訪問のきっかけをつくり、社長が先方へ出向く。この役割分担そのものには、動きやすさがあります。社長自身がつながりを持っていない相手にも、接点をつくれるからです。
ただし、先方からの反応や今後の見通しも顧問側に集まるため、その情報が社長へ戻らなければ、会社として次の手を考えにくくなります。相談の中でも、顧問が把握している情報と、社長が持っている情報には違いがあるのではないか、という点が確認の対象になりました。
ここで大切なのは、顧問が動いていないと決めつけないことです。社長から進捗が見えない状態でも、顧問側ではやり取りが続いている可能性があります。一方で、顧問側にも新しい情報がなく、実際に先方の返答を待っているだけかもしれません。
「動いていない」のか、「動きが共有されていない」のかを確かめる前に、顧問の変更や開拓の打ち切りを判断しないことが、整理の出発点になります。
顧問と現在地と役割をそろえ、別の受注ルートも並行して確認する進め方
まず既存の開拓先の状況を確認し、その結果をもとに、待つ部分と自分たちで動ける部分を分けます。 そのうえで、別の取引先や一次請け企業からの部分受注も、並行して検討する流れが考えられます。
書類提出後の現在地と、話が進む条件を確認する
顧問との確認では、「進捗はどうですか」だけで終わらず、次の点までそろえると、社長が判断しやすくなります。
- 書類提出後、先方からどのような反応があったか
- 現在、誰とのやり取りが続いているか
- 何が確認できれば、次の話に進めるのか
- 次に先方の状況を確認するのは誰か、その時期はいつか
先方から返事がなく、進む条件もまだ分からないのであれば、そのこと自体を共有します。分からない部分を曖昧な見通しで埋めるよりも、「確認済みのこと」と「これから確認すること」を分ける方が、次の行動を決めやすくなります。
また、次に状況を確認する時期は、受注の期限とは別です。取引開始の時期を約束できなくても、いつ状況を確かめ、社長へ共有するかは相談できます。「先方から連絡が来たら動く」だけにせず、確認の予定までそろえることがポイントです。
自社で準備することと、顧問に任せることを分ける
社長が知りたいのは、先方の事情だけではありません。「それで、自分は何をすればよいのか」まで分かって、初めて動ける状態になります。
この会社では、顧問が接点や訪問の機会をつくり、社長が挨拶に出向く形がすでにありました。その流れを踏まえ、顧問には先方への状況確認や次の接点の調整を、社長には必要な訪問や自社側の準備を、それぞれ誰が担うか確認します。
追加で準備する事項があるなら、何が必要で、いつまでに対応するのかを具体化します。反対に、現時点で自社側の追加対応が不要なら、その認識を明確にしておきます。
「社長は今、動かなくてよい」という判断も、理由と次の確認時期が共有されていれば、意味のある待機になります。 何をすべきか分からず止まっている状態とは、ここが違います。
大手の開拓を待つことと、別の仕事を探すことを切り離す
既存の開拓先を追い続けるとしても、新しい仕事の入口まで一つに絞る必要はありません。この会社でも、大手との取引開始を目指す一方で、別のつながりから屋上防水の仕事が進みつつありました。
さらに、顧問が接点を持つ一次請け企業の仕事を、一部受ける選択肢も確認されました。社長の意向は明快でした。
「新しい仕事につながるなら、安くなければ大丈夫です」
ここから分かるのは、大手と直接取引する形だけが目的ではなかったということです。受注形態を限定するより、条件の合う新しい仕事につなげたいという考えでした。
そのため、大手との直接取引は継続して目指しつつ、条件の合う一次請け企業からの部分受注も検討するという整理ができます。顧問には紹介できる相手や仕事の有無を確認し、社長はその条件で受けたいかを判断します。部分受注なら必ずよい、あるいは直接取引なら必ずよいと決めるのではなく、自社の希望と提示される条件を照らして考えます。
状況を確認してから、別の開拓先や顧問を検討する
既存の開拓先について、顧問が引き続き働きかける必要があるのか、当面は先方の返答を待つ段階なのかによって、次の力のかけ方は変わります。
この相談では、まず現在の顧問に状況と今後の予定を確認し、それと並行して、社長が関心を持つ別の取引先へのつながりを調べる方向になりました。候補には大手企業だけでなく、改修工事との接点がありそうな不動産会社なども挙がっています。
顧問の継続や変更を先に決めるのではなく、「今の開拓に必要な働きかけ」と「別の開拓に必要なつながり」を確認してから判断する順番です。 現在のつながりを大切にすることと、別の可能性を探すことは、両立できます。
まとめ
新規開拓の「先方の返事待ち」は、開拓そのものの長期化と、顧問・社長間の情報の差に分けて整理することが大切です。 書類提出後に仕事へつながっていなくても、それだけで開拓が失敗したとは判断できません。一方、長期戦だからといって、進捗や次の行動まで見えないままにする必要もありません。
顧問と確認したいのは、現在の交渉段階、話が進む条件、自社で準備する事項、そして顧問と社長それぞれの役割です。分からない点は次の確認事項として残し、いつ共有するかまでそろえます。
そのうえで、大手との直接取引を待ちながら、別の取引先や一次請け企業からの部分受注も検討します。待つ先は残しても、動ける先まで止めないことが、次の受注に向けた現実的な進め方です。
顧問と進める新規開拓の現在地を整理したいときに
「顧問には動いてもらっているが、今どこまで進んでいるのか分からない」「別の取引先も探したいが、何から確認すればよいか迷っている」。その段階から、状況を整理することはできます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。新規開拓についても、顧問との情報共有や役割分担、目指す取引先、並行して検討する受注ルートを、自社の事情に合わせて一緒に考えます。
まずは「うちの場合、何を確認すれば次に動けるか」という整理からで構いません。 無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、気負わずご相談ください。