月に数件の再販向け改修を担う会社の発注元開拓
再販向けの工事を増やすには、不動産会社全般ではなく、物件を買い取り、改修工事を発注する会社との接点が必要です。
千葉県のある小規模な改修工事会社では、中古住宅の再販に向けた内装改修を月に2〜3件ほど受注していました。取引先は数社です。施工は協力業者に依頼し、社長は現場管理を中心に担っています。
既存の取引に加えて、新たな発注元を増やしたい。そこで候補になったのが、中古マンションや戸建てを買い取り、リフォームやリノベーションをして販売する不動産会社でした。
自社で仕入れた物件に改修を行い、その工事を外部へ発注する会社であれば、次の物件でも声をかけてもらえる可能性があります。ただし、「再販物件を販売している」という情報だけでは、その会社が工事の発注元なのかまではわかりません。
再販物件を売る会社と工事を発注する会社の取り違え
再販物件の広告に名前が出ていても、その会社が自社で買い取りや工事発注をしているとは限りません。
候補企業を確認する中で、社長がある不動産会社の名前に気づきました。以前、自分でも営業したことがある近隣の会社です。
「そこは自社で買い取って、リノベーションして再販する会社ではないです。仲介だけですね」
その会社は、ポータルサイトに物件を掲載し、販売現場にも自社名ののぼりを出していました。外から見ると、再販事業を行っているように見えます。
ところが、社長が過去に連絡した際には、自社で物件は買わず、販売の仲介を行う会社だと説明されたそうです。工事業者とのつながりもないという回答でした。
この相手に施工内容を詳しく説明しても、直接の工事受注にはつながりにくいでしょう。問題は営業の熱量や提案内容よりも前にあります。「物件を売っている会社」を、「その物件の工事を頼む会社」と捉えてしまっていたことです。
ホームページと企業データでは見えにくい工事発注の実態
ホームページや企業データの事業分類は、候補を探す材料であって、発注元であることの確認ではありません。
対象外とわかった会社は、ホームページの情報に加え、企業データ上で不動産仲介・買取再販・リフォームを展開する会社として分類されていました。そのため、営業候補に含まれていたのです。
ただ、その記載からは、自社でどの事業を実際に行っているのか、どこまで工事発注に関わっているのかを判断しきれませんでした。販売している物件が、別の会社によって買い取られ、改修された物件である可能性もあります。
社長からは、ほかの候補についても「名前を知らなければ、実際にどういう会社かわからない」という声が出ました。知っている一社に対象外が混じっていれば、未接触の候補にも同じ疑問が残ります。
一方で、候補リストに未確認の会社が含まれること自体は、開拓の途中では起こり得ます。整理したいのは、リストの位置づけです。公開情報から抽出した「候補」と、直接確認した「発注元」を分けることで、次に連絡すべき相手が見えやすくなります。
自社買取・改修の実施・工事発注への関与を直接確認する手順
営業先を見極めるには、公開情報で候補を拾い、直接確認で発注元を絞り、その結果をリストへ戻す順番が有効です。
最初から公開情報だけで完全に選別しようとするより、確認すべき点を揃えておく方が進めやすくなります。確認の軸は、次の三つです。
- 自社で中古マンションや戸建てを買い取っているか
- 買い取った物件にリフォームやリノベーションを実施しているか
- その工事を自社で発注しているか、工事業者の選定に関わっているか
「買取再販をしていますか」という一問だけで終えず、買い取りから工事発注までを分けて確認するのがポイントです。再販物件を扱っていることと、施工会社に仕事を依頼する立場であることは、別だからです。
連絡時には、公開情報を確定事項として伝えるのではなく、「中古住宅の買取再販を行っていると拝見しましたが、自社で買い取り、改修工事も発注されていますか」と実態を確かめる聞き方にします。施工の説明を重ねる前に、相手が発注に関わる会社かを揃えます。
回答を得たら、候補を「発注への関与を確認できた会社」「まだ確認が必要な会社」「今回の直接受注の対象外」に分けて管理します。過去の営業で仲介のみとわかった会社も、その理由とともに反映します。
対象外とわかった情報も、次の営業先を選ぶための大切な材料です。 社長の記憶だけに残さずリストへ戻せば、同じ会社を再び有望候補として扱うことを避けられます。外部に開拓を依頼する場合も、こうした情報を先に共有しておくと、確認の精度を上げやすくなります。
また、この会社では、既存の不動産関係者や材料を扱う問屋から、再販工事を必要とする会社を紹介してもらう接点もありました。紹介がありがたいのは、単に会社名がわかるからではありません。相手が再販を行い、施工店を必要としているという具体的な情報があるからです。
新規開拓でも、目指すべきはこの情報の具体性です。ただし、発注元であることが確認できても、受注が決まるわけではありません。その先には工事条件や担当者との相性の確認があります。まずは営業対象としての適合を確かめ、取引として合うかどうかは次の段階で判断します。
開拓の進み具合を見る際も、候補リストの総件数だけではなく、実際に工事を発注する会社と、何社接点を持てたかを重視すると、活動の手応えを捉えやすくなります。
まとめ
買取再販向けの営業では、「販売しているか」ではなく、「自社で買い取り、改修工事の発注に関わっているか」が営業先を選ぶ基準です。
ホームページや企業データは、候補を広げるために役立ちます。ただし、発注元かどうかは直接確認して初めて絞り込めます。
まずは手元のリストを、確認済み・未確認・対象外に分けてみることです。過去に「仲介のみ」と回答された情報も戻します。そのうえで、自社買取、改修の実施、工事発注への関与を順に確かめます。
リストを大きくすることより、工事を頼む立場の会社との接点を増やすこと。その軸を揃えると、次の営業先を選びやすくなります。
買取再販の発注元リストを整理したいときに
「うちの営業先は、実際に工事を発注する会社なのか」という整理からでも相談できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を現場の事情も踏まえて整理し、実行まで支援しています。販路開拓では、候補企業の抽出だけでなく、発注元を見極める確認項目や、過去の営業情報を活かしたリストの見直しから一緒に考えます。
「不動産会社への連絡はしているが、受注につながらない」「何から営業先を絞ればよいかわからない」という段階でも大丈夫です。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、自社の場合の整理先として気軽にご相談ください。