前提

協力会社の施工余力を生かし、シロアリ工事の受注を増やしたい少人数の会社

施工を任せられる協力会社はいる一方で、案件を取ってくる営業は社長一人。受注先を増やすうえで、営業に使える手が限られていました。

あるシロアリ工事会社は、年商4,000万円前後の規模です。社長と事務担当者を中心に会社を運営しています。自社で施工部隊を抱えるのではなく、各地の協力会社へ工事をつなぐ形です。

主な施工対象は木造の戸建て住宅です。薬剤散布を中心に、床下の湿気対策や基礎補修などにも対応しています。

ただ、当面増やしたいのは、社長自身が内容を把握できるシロアリ工事でした。

「まずは今の協力業者さんのキャパを、ある程度埋められるぐらいの案件が欲しい」

協力会社には、まだ施工の余力があります。新しい工種へ広げるより、まず得意な工事で受注量を増やしたい。そんな現在地です。

課題

売上の大半を二つの取引ルートに頼り、新規開拓も社長一人に集中

必要なのは、単に売上を増やすことではなく、今の取引を続けながら、別の受注ルートを育てることでした。

この会社では、売上の大半が法人向けです。直接の取引先で見ると、二社で全体の4分の3ほどを占めていました。

一つは、薬剤を扱うメーカー・商社を通じたルートです。もう一つは、住宅関連の事業者との提携ルートでした。提携先の顧客に対し、社長自身がシロアリ工事を提案しています。

「一番の取引先でも、できれば売上の3割は超えたくない」

これは、既存先からの依頼を減らしたいという話ではありません。多くの案件を任せてもらえるなら、もちろん受けたい。ただ、その取引が止まったときの影響を考えると、ほかの柱も持っておきたいという思いです。

一方で、新規開拓を増やすにも限界があります。

「量を取りに行こうとすると、自分一人じゃ無理だとなります」

取引先を探す。接点をつくる。工事内容を説明する。その役割が社長に集中しています。企業を探せるサービスを使っても、探して動くのが自分のままでは、営業量を増やしきれないと感じていました。

背景

発注元が複数でも入口は少なく、地場の既存関係には入りにくい状況

依存状況をつかむには、「直接取引している会社」と「その先で工事を発注している会社」を分けて見る必要があります。

メーカー・商社の先には住宅会社があります。提携先の先にも、複数の顧客企業があります。そのため、工事の発注元がすべて同じ会社というわけではありません。

ただし、発注元が分かれていても、案件が入ってくる入口は少数です。直接の取引先との関係が変われば、その先の複数社から来ていた仕事にも影響し得ます。

逆に、直接の取引先だけを数えていても、その先の発注元が一社に集中している状況は見落としかねません。取引先の社数だけでは、受注の偏りを十分に捉えられないのです。

開拓先にも、相性がありました。社長は、地域に根差した住宅会社への営業を重ねてきました。その中で感じたのが、地場の防蟻業者との関係の深さです。

「地場の業者さんとの接点がかなり深くなっているので、広いエリアでやっている私たちは、なかなか入れない」

一方、大きな会社への営業では、担当者との接点を持つまでに時間がかかります。紹介がなければ話が進みにくい場面もありました。

つまり、営業件数だけの問題ではありません。自社の広域対応を必要とする相手を選ぶことと、その相手に合った接点のつくり方が必要でした。

解決

継続発注が見込める住宅会社を絞り、営業実務と紹介ルートを使い分ける進め方

開拓は、依存の整理、候補企業の絞り込み、接点づくりの役割分担の順で考えると進めやすくなります。

直接の取引先と、その先の発注元を分けて整理する

まず、現在の受注ルートを二段に分けて確認します。直接の取引先ごとの売上と、その先の住宅会社などから来ている案件の内訳です。

今回のように、商社経由と提携先経由の仕事があるなら、それぞれの先にどの発注元があるのかを整理します。確認したいのは、「どの入口が止まると、どこまで仕事が減るのか」です。

社長が考えていた「一社で3割を超えたくない」という目安も、自社の方針を考える材料になります。ただし、どの会社にも共通する基準ではありません。既存の依頼を断って比率を下げるのではなく、別ルートの受注を育てていく考え方です。

企業の大きさより、発注頻度と対応エリアの相性で絞る

この会社が候補にしていたのは、一定の建築棟数がある住宅会社と、中古住宅を扱う買取再販会社です。

住宅会社では、新築だけでなく、引き渡し後の再施工やリフォームに伴う工事も候補になります。社長は、過去に施工した業者以外へ再施工を発注している会社があることにも着目していました。

買取再販会社については、販売前の防蟻施工を自社の運用に組み込んでいる会社を想定していました。すべての会社に共通する決まりではないため、候補ごとに施工の有無や発注条件を確認する必要があります。

対象を絞る判断軸は、次の四つです。

  • 発注頻度:シロアリ工事が単発ではなく、継続して発生するか
  • 既存業者との関係:地場の一社との関係が深いのか、新たに入る余地があるのか
  • 営業・施工エリア:複数地域に展開し、自社の対応範囲と合っているか
  • 自社の対応力:求められる工事内容と件数を、今の協力会社で受けられるか

「大手だから狙う」「小さい会社だから入りやすい」とは限りません。複数エリアで事業を行い、継続的に工事が発生する会社なら、広域の協力会社網が提案の理由になります。

また、社長が求めていたのは、高単価の難しい工事より、対応しやすい工事が継続して回る取引でした。ただ、件数が多ければよいわけでもありません。外注費を踏まえ、利益が残る条件かどうかと合わせて判断したいところです。

営業量を増やす支援と、担当者につながる支援を分ける

候補への働きかけが足りないなら営業実務支援、入り口が見つからないなら業界経験者による接点づくりが検討先になります。

営業実務支援は、対象企業へのアプローチや面談の設定、同席などを担う方法です。候補はあるのに社長が動く時間を取れない場合に、役割を持たせやすくなります。

一方、業界経験者の知見や人脈を使う方法は、通常の営業では担当者に届きにくい相手への接点づくりが中心です。紹介先に、自社が求める工事の発注機会があるかどうかを確かめることが前提になります。紹介がそのまま受注を意味するわけではありません。

外部支援を選ぶ前に、まず候補企業のリストと狙う理由をすり合わせます。そのうえで、誰がアプローチし、誰が工事内容や条件を説明するのかを決めます。探す作業も連絡も社長に残るなら、今回の悩みは解消しにくいためです。

施工の余力がある地域から始めることも大切です。新しい地域を狙う場合は、案件を取る動きと、その地域で施工を受けられる体制の確認を合わせて進めます。受注量だけを先に増やさないための判断です。

まとめ

少数取引先への依存を和らげるには、取引先の数ではなく、案件が入るルートと、その先の発注元を整理することが出発点になります。

シロアリ工事のように、継続して案件が発生する法人を開拓したい場合は、発注頻度、既存業者との関係、対応エリア、自社の施工余力を合わせて見ていきます。

営業を社長一人で担っているなら、外部に何を任せるかも具体化したいところです。アプローチの量を増やしたいのか。担当者への接点が欲しいのか。そこが分かれるだけでも、選ぶ支援は変わります。

既存の大切な取引は続ける。そのうえで、自社が対応できる工事を、別のルートからも受けられるようにする。無理に事業を広げず、得意な工事の受注先を増やす進め方です。

自社に合う受注先と、社長が任せられる営業の整理

「どの会社を狙うか」と「営業のどこを任せるか」を、一緒に整理する段階から相談できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

受注先の開拓では、今の取引構造と施工の対応範囲を確認し、候補企業の選定や営業実務支援、業界経験者による接点づくりなど、必要な進め方を検討します。

「うちの場合は、どこへの依存を減らすとよいのか」「営業を任せたいが、何から切り分ければよいか」。そんな段階でも大丈夫です。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の受注ルートを考える整理先としてご相談ください。

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