自社重機と施工実績を持ちながら住宅会社の新規開拓に苦戦する解体会社
既存の発注元では工事を任されていても、新しい住宅会社では施工実績を説明する前に断られることがあります。 首都圏で解体工事を手がける、年商2億円台半ばのある会社も、その状況にありました。
この会社は自社で重機を保有し、解体から運搬まで一貫して対応しています。大手住宅会社の戸建て解体に加え、ビル系の現場を任された実績もありました。管理会社からの内装撤去や、建物の一部を解体する小規模工事も経験しています。
一方、新たな発注元を増やそうと住宅会社を回っても、返ってくるのは「うちはもう決まった業者がいるから」という言葉でした。
「住宅会社はいろいろなところに行きましたよ。ほとんど門前払いですよね」
すでに住宅会社の現場を施工しているだけに、別の住宅会社にも対応できるのではないかと考えるのは自然です。それでも話が進まないときは、施工力をさらに訴える前に、相手が新しい解体業者を受け入れる状態なのか、話すべき窓口に届いているのかを分けて考える必要があります。
「決まった業者がいる」の一言では営業が止まる理由を判断できない状態
見直したいのは訪問件数だけではなく、断られた理由を切り分けられる営業の進め方です。 「決まった業者がいる」という返答だけでは、新規取引そのものが難しいのか、訪ねた担当者では判断できないのか、自社の対応範囲が合っていないのかが分かりません。
この会社の場合、既存の大手住宅会社から一定の工事を受けているため、新規開拓が進まない原因を施工力の不足だけで説明するのは無理があります。ただし、既存取引の実績があれば、ほかの会社でも必ず採用されるわけではありません。新しい発注元には、その会社の受け入れ方針や取引条件があります。
また、接点ができた後にも別の課題がありました。ある不動産仲介会社とは営業担当者を通じた取引があり、戸建ての解体を少数ながら施工しています。しかし、ほかにも見積もりを出した案件はあったものの、「金額が合わなくて流れている」といいます。
ここには、性質の異なる三つの状態があります。
- 新規業者を受け入れておらず、取引の検討に進めない
- 接点はあるものの、扱う工事や担当窓口が限られている
- 見積もりには進めるものの、条件が合わず受注に至らない
「会ってもらえない問題」と「会えても受注できない問題」は、同じ営業施策では解決できません。 紹介で接点を増やすことが有効な場合もあれば、すでに来ている案件と自社が受けたい工事の条件を照合することが先になる場合もあります。
指定業者制と工事の発生経路によって異なる解体工事の入口
解体工事の営業先は、建物の種類だけでなく、どの事業の中で解体が必要になるかによって変わります。 住宅会社への訪問が進まなかったからといって、解体工事全体の新規開拓が難しいと捉える必要はありません。
受け入れ状況を個別に確かめたある住宅会社では、解体工事は指定業者のみを採用し、その時点では新しく入る余地がないという回答でした。少なくともその会社については、実績の伝え方を変えて正面から訪問を重ねても、すぐに取引へ進むのは難しい状況だったといえます。
ただし、これは一社の、その時点で確認できた状況です。住宅会社全体が同じ仕組みで動いているとは限らず、企業や部門ごとの確認が欠かせません。
一方、解体工事が生まれる経路には、住宅会社以外にも次のようなものがあります。
- 不動産仲介・買取に伴う解体:古家付き土地の売却や、買い取った建物の建て直しに伴う戸建て解体
- 建物管理・改修に伴う撤去や解体:管理する建物の内装撤去、部分解体、改修や建て替えに関する相談
- ゼネコンの建て替え工事に伴う解体:ビルやマンションの建て替えに伴い、協力会社へ発注される解体
- 賃貸物件の建て替えに伴う解体:賃貸オーナーが保有するアパートやマンションの建て替えに伴う工事
ここで気をつけたいのは、工事の情報が集まる会社と、実際に発注を判断する窓口が同じとは限らないことです。管理会社が建て替え相談を受けていても、そこから解体工事を直接受けられるかどうかは、別に確かめる必要があります。
相談した会社にも、戸建てだけでなく内装撤去や部分解体の経験がありました。自社の実績を住宅会社向けの戸建て解体だけで捉えず、工事が生まれる経路ごとに見直すことで、検討できる営業先が変わります。
受け入れ状況と対応工事を照合し小規模工事から接点を育てる進め方
営業先を増やす前に、「受け入れの有無」「工事と自社の適合」「担当窓口」の順に確認すると、力をかける先を選びやすくなります。 この会社に対しても、住宅会社への訪問を繰り返すのではなく、不動産仲介会社や管理会社、ゼネコンなど、異なる経路を検討する方針が示されました。
まずは新規取引を検討できる会社かを確かめる
最初に確認したいのは、その会社が新しい解体業者を受け入れているかどうかです。「決まった業者がいる」と言われたときも、指定業者に限定しているのか、新規取引を検討する窓口があるのかを、確認できる範囲で整理します。
受け入れの余地がないと分かった先と、担当窓口がまだ分からない先を、同じ「断られた会社」として扱わないことが大切です。前者への訪問を重ねるより、受け入れ状況を確認できる別の会社に営業の力を振り向けるほうが、次の検討につながります。
戸建て・内装撤去・部分解体・ビル解体を分けて考える
次に、自社の施工実績と、営業先から出てくる工事を照合します。戸建て解体の件数を積みたいのか、内装撤去や部分解体から関係をつくりたいのか、ビルの建て替えに伴う工事を狙うのかによって、候補となる会社も窓口も異なります。
相談した会社では、新規の発注元からは「最初は1棟、2棟」と、少数から受ける想定がありました。一方、既存の住宅会社から工事が増える可能性もあり、新規案件をどこまで受けられるかは、まだ読み切れない状況でした。
そのため、取りたい工事だけでなく、今の施工体制で無理なく受けられる工事を基準に、最初の営業先を選ぶことが現実的です。ビル系の工事は一件が大きくなるため、戸建てや小規模工事と同じ感覚で受け入れられるとは限りません。案件ごとに自社の対応範囲との確認が必要です。
会社名だけでなく工事を扱う部門まで確認する
同じ会社でも、工事の種類によって窓口が分かれている場合があります。ある管理会社については、大規模修繕と日常の小さな工事で担当窓口が異なるという情報がありました。
この場合、「管理会社に紹介してもらう」だけでは、営業の入口が十分に定まりません。内装撤去や部分解体を扱うのはどの部門か、その部門で新しい協力会社を検討しているかまで確認して、初めて自社に合う接点かどうかを判断できます。
既存の不動産仲介会社との関係も同様です。一人の営業担当者から工事を受けていることと、ほかの部門でも取引を検討してもらえることは別です。新しい窓口を探す際には、役職の高さだけでなく、自社が対応したい工事を実際に扱っている窓口かどうかを重視したいところです。
小規模工事で評価を得る道筋を検討する
内装撤去や部分解体に対応できる会社であれば、日常的な小規模工事から仕事ぶりを見てもらう方法が候補になります。相談した会社にも経験があるため、まったく新しい施工分野に入るのではなく、すでにできる工事を別の発注経路につなぐ考え方です。
ただし、小さな工事を受ければ、自動的に大きな工事へ進めるわけではありません。まずはその窓口で扱う工事と自社の対応範囲が合うかを確かめ、施工を評価してもらったうえで、ほかの工事を任せてもらえる可能性を探ります。
紹介・取引審査・見積もり・受注を分けて捉える
人脈や顧問による紹介は、飛び込みでは届きにくい窓口との接点づくりや、社内の受け入れ状況の確認に役立つ場合があります。ただし、紹介は取引審査の通過や受注を保証するものではありません。
実際に、取引開始前の審査があるという情報に対して、相談した会社からは「今の取引では、そんな審査はしていない」という認識が示されました。この違いは、その場で一方を正しいと決めるのではなく、取引形態や企業・部門ごとに確認すべき点です。
また、すでに見積もり依頼を受けながら条件が合わない先では、接点を増やすだけでは解決しません。どの工事なら自社の条件と合うのかを見直す必要があります。接点を得ること、取引を認められること、条件が合って受注することは、それぞれ別の段階です。
まとめ
「決まった業者がいる」と断られたときは、施工力の不足と、新規業者を受け入れる入口の問題を切り分けることが出発点です。 既存の施工実績は大切な材料ですが、相手に受け入れの余地がなければ、その実績を評価してもらう段階に進めません。
まずは指定業者制や新規取引の受け入れ状況を確かめ、そのうえで不動産仲介会社、管理会社、ゼネコンなど、工事が生まれる経路から候補先を選び直します。戸建て解体、内装撤去、部分解体、ビルの建て替えを一括りにせず、自社の実績と施工体制に合う窓口を探すことが大切です。
小規模工事から仕事ぶりを評価してもらう進め方も、その選択肢の一つです。訪問先をただ増やすのではなく、どの会社の、どの窓口で、どの工事から関係をつくるかを具体化することが、新規営業を見直す次の一手になります。
自社に合う解体工事の営業先を整理するために
新規開拓を見直したいと思っても、「住宅会社以外なら、どこから当たればよいのか」「今の実績をどの窓口に伝えるべきか」は、自社だけでは整理しにくいところです。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場や組織の事情も踏まえて整理し、実行まで支援しています。解体工事の販路拡大では、施工実績と受け入れ可能な工事を確認しながら、営業先や担当窓口の検討、必要に応じた顧問による接点づくりを支援します。
「うちの場合は、何から整理すればよいか」という段階でもご相談いただけます。 無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、これまでの営業で止まっている点を整理する機会として、お気軽にお声がけください。