少人数と協力会社で受注を回す、年商1億円台の外構工事会社
目の前の仕事が足りないのではなく、順調に回っている今のうちに売上の偏りを減らしたい。 そんな相談です。
奈良県を拠点とする、4名ほどの外構工事会社。外構の設計から施工までを手がけ、実際の施工は協力会社が中心です。年商は1億2,000万円ほど。現在の現場数と職人の体制は、無理なく回っています。
社長の言葉も、「人数の割には、よく回っています」というものでした。急いで現場を探しているわけではありません。協力会社を増やさなければ受注できない状況でもありません。
ただ、少し先の会社の姿を尋ねると、答えは変わりました。
「リスクを減らしていきたいですね」
売上の大半を、ある住宅会社1社からの受注が占めています。足元の受注量と、将来も安定して受注できるかは、別の話です。今回整理したいのは、この先の売上を支える取引先の組み合わせです。
元請けを増やすだけでは、1社に偏る売上構成は変わらない
必要なのは取引先の数ではなく、継続的に売上をつくれる複数の柱です。 接点のある会社が増えても、発注が単発にとどまれば、売上の中心は今の1社に残ります。
この会社にも、主要取引先以外とのつながりはありました。住宅会社の営業担当者から、個別に案件を紹介されることもあります。ただ、主要取引先に並ぶほどの受注の柱にはなっていません。
社長が描いていたのは、2社で半分ずつに分ける形でもありませんでした。
「5割というより、3・3・3・1みたいな感じで分けたい」
おおむね3割ずつを担う主要取引先を3社持ち、残りをその他の受注で構成するイメージです。売上規模も、将来的には2億円前後を見据えています。
ここで分けて考えたいのは、既存取引先の受注額をどう見込むかと、新しい取引先からどれだけ受注したいかです。
既存の受注額を維持したまま総売上を増やすのか。既存の受注が自然に減る可能性も織り込むのか。同じ「依存度を下げる」でも、新規開拓に求める売上は変わります。
最初から比率だけを決めるより、既存取引の見通しと目指す総売上を並べるほうが、次に育てたい柱の大きさを考えやすくなります。
設計・施工一式の採算と、近隣で対応できる距離が開拓の条件
どの住宅会社でもよいわけではなく、自社の仕事の受け方に合う元請けを探しています。 売上分散のためでも、採算の合わない受注や遠方の現場を増やしたいわけではありません。
社長が重視していたのは、設計から施工まで一式で任せてもらえることでした。
「工事だけだと、あまりうまみがないから」
同じ外構工事でも、施工だけを請けるのか、設計を含めて任されるのかで、候補先の評価が変わります。過去には、採算が合わず受注を続けなかった住宅会社もありました。知名度や発注量だけでは、取引を続ける判断はできません。
施工エリアにも条件があります。県内や隣接地域なら対応できても、遠方まで広げたいわけではありません。
「隣接しているところならいいんですけど、どんどん遠いところまで出てくる」
「対応できます」と伝えた範囲が、相手の認識では広がってしまう。社長には、その経験もありました。会社名が候補に入っても、実際の発注エリアが合うかは別に確認する必要があります。
一方、協力会社には追加の現場に対応する余力があるとのことでした。現時点の制約は、施工力不足ではなく、条件の合う新しい受注先との接点です。
開拓方法のイメージもありました。ネットで協力会社の募集状況を調べ、直接電話などで問い合わせる方法です。ただ、営業を担うのは社長自身です。
「時間があるときに、つくっていこうかなという感じです」
開拓の方法がないのではなく、日々の業務と並行して進めるため、着手が後ろに回っている状態です。 だからこそ、手当たり次第に候補を増やすより、先に当たるべき相手を絞る意味があります。
売上構成を決め、設計・施工一式を任せてもらえる元請けから優先する開拓
既存取引の見通し、欲しい受注の条件、接点をつくれる可能性の順に整理すると、開拓先を選びやすくなります。 この会社の場合も、まず必要なのは、候補企業の名前を大量に集めることではありません。
既存受注と、新しい柱に求める売上を分けて考える
最初に、主要取引先から今後どの程度の受注を見込むかを整理します。そのうえで、目指す総売上と、複数社に分散した売上構成を並べます。
社長の「3・3・3・1」というイメージは、整理の出発点になります。ただし、均等な比率をすぐに実現する必要はありません。既存取引をどう見込むかによって、新しい2本の柱に求める受注額も変わります。
今の元請けとの関係を切り替える話ではなく、既存受注を見ながら別の柱を育てる話として考えることが大切です。 分散と売上拡大を一緒に考えれば、開拓の目的も曖昧になりにくくなります。
候補先を、会社名ではなく発注内容で比べる
次に、対象エリアの住宅会社を、自社の受注条件に照らして調べます。この相談で確認すべき軸は、次の4つです。
- 外構の設計から施工まで、一式で任せてもらえるか
- 発注内容に対して、採算が見込めるか
- 実際の現場が、無理なく対応できるエリアにあるか
- 受注が増えたとき、協力会社の施工余力で対応できるか
設計・施工一式の発注が見込め、採算と距離が合う相手を優先します。施工のみの発注が中心なら、この会社では優先順位が下がります。遠方の現場が中心の相手も同様です。
候補先の内容を尋ねられたとき、社長は「内容がわからないからね」と話していました。名前を知っているだけでは判断しにくい。必要なのは、その地域でどんな外構工事を、どの範囲まで発注しているかという情報です。
接点の有無と、受注できる仕事の有無を分けて確認する
開拓の入口は、社長が考えていた募集情報の確認や直接の問い合わせです。住宅会社とのつながりを持つ顧問などを通じて、接点を探る方法も候補になります。
ただし、紹介できる相手がいることと、自社に合う外構工事があることは別です。 対象地域に発注可能な現場があるか。設計・施工一式を任せる余地があるか。その確認と接点づくりをセットで進めたいところです。
社長自身で動く場合も、外部の支援を使う場合も、まずは優先する候補と確認事項をそろえます。外部に任せるなら、募集状況の調査や初回の接点づくりなど、どこまでを担ってもらうかを明確にします。
この会社では、追加受注に対応できるとの見立てでした。その余力を前提に、条件の合う候補へ開拓を進める。受注の見通しが具体化したら、協力会社の対応余力も改めて確認する。営業と施工を切り離さない進め方です。
まとめ
売上の1社依存を減らすには、取引社数を増やすより、継続受注につながる柱を育てることが近道です。
今回の会社は、仕事も施工体制も順調でした。それでも、将来に向けて売上を分散したいという意向がありました。目指していたのは、主要取引先を3社ほど持ち、複数の柱で会社を支える形です。
最初の一手は、既存受注の見通しと目指す売上構成の整理です。そこから、設計・施工一式の発注、採算、対応エリア、施工余力で候補先を絞ります。
「どことつながるか」の前に、「どんな受注なら柱に育てたいか」をそろえる。 それができると、限られた時間の中でも、新規開拓の優先順位を決めやすくなります。
自社に合う元請けと、次の受注の柱を整理するために
売上分散は、営業先だけでなく、受注条件と施工体制を一緒に整理するところから相談できます。 「うちの場合はどの元請けを狙うべきか」「既存受注をどう見込み、何から動けばよいか」という段階でも構いません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。元請け開拓では、目指す売上構成と施工エリアを踏まえ、候補先の整理から接点づくりまで、必要な進め方を一緒に考えます。
支援が必要かどうかも、整理した内容を見ながら判断いただけます。無理な営業はいたしませんので、自社の次の受注の柱を考える整理先として、お気軽にご相談ください。