既存の仕事で利益を確保しながら、次の発注元を探す設備工事会社
既存の仕事には困っていない。それでも、将来に向けて別の発注元を持っておきたい。 ある設備工事会社が新規取引を考えた出発点は、こうした状況でした。
主な取引先からの工事で利益は出ています。一方で、一社に依存したままでよいのかという思いもありました。新たな候補として挙がっていたのは、設備関連の発注元から請ける照明のLED化などの改修工事です。
紹介者を通じて責任者に挨拶し、工事の担当部長につないでもらう。別の候補先では、協力会社登録の準備も進める。接点をつくる道筋は見えていました。
ただ、社長自身も既存業務で手いっぱいです。新しい仕事を受ける体制も見極める必要がありました。だからこそ、知りたいのは「誰に会えるか」だけではありません。限られた時間を使って動いた先に、実際の工事があるのかという点でした。
協力会社登録の先にある見積参加と受注が見えない状態
紹介・登録、見積参加、受注は、それぞれ別の段階です。 登録が済んでも、見積依頼が来るかはまだ分かりません。見積に参加できても、受注が決まったわけではありません。
社長の言葉にも、その違いが表れていました。
「登録はしました。登録も終わりました。もちろん、こっちも営業には行くんですけど、実際にそれで仕事が生まれるのか、というところですよね」
紹介や顔つなぎの価値を否定しているわけではありません。自社だけでは持ちにくい接点を得られることは、十分に理解しています。それでも、接点を持った後に何が進むのかが見えなければ、取り組む判断はしづらくなります。
ここで整理したいのは、次の三つです。
- 紹介・登録: 発注元と接点を持ち、取引に必要な手続きを進める段階
- 見積参加: 具体的な案件について、見積依頼を受ける段階
- 受注: 提出した見積などをもとに、工事の発注が決まる段階
「新しい取引先につながった」という説明だけでは、どこまで進んだのかが曖昧です。登録完了を一つの節目にしつつ、その先の見積参加まで確認していく必要があります。
登録期間と「業者が足りない」という説明だけでは読めない案件の確度
登録にかかる時間と、工事を発注したい事情は、分けて確認する必要があります。 この相談では、候補となる会社や窓口によって登録期間の説明が異なり、どの話がどの取引先に当たるのか、認識を合わせきれていませんでした。
そこで社長が気にしたのが、「業者が足りないというのに、なぜ登録には長くかかるのか」という点です。大きな会社なら審査が必要なことは分かります。それでも、すぐにでも発注したい状況なのかは気になります。
この疑問は、案件の確度を考えるうえで大切です。ただし、登録期間が長いことだけで「それほど業者は不足していない」とは言い切れません。反対に、「人手不足だから登録すれば仕事が来る」とも判断できません。
確かめたいのは、登録の所要期間だけでなく、実際の工事につながる情報です。
社長からも、「他の業者さんを紹介したときに、その後どうなったのかでもいい」という言葉がありました。自社に近い会社が、登録後に見積参加や受注まで進んだか。判断に役立つのは、その先の経過です。
なお、別の内装工事会社については、紹介からおよそ2か月で見積参加まで進んだ例が示されていました。ただし、これは受注実績とは区別する必要があります。工種も発注元も違うため、自社でも同じ期間で進むと考える根拠にはなりません。
工事部・積算部への確認を起点に、会社資料と継続フォローをつなぐ進め方
登録後は、工事部・積算部などの担当者から案件状況を聞き、推薦に必要な情報を整え、見積参加までの進み具合を確認します。 挨拶を重ねるだけでなく、次の段階へ進むために足りないものを確かめる動き方です。
最初に、誰が何を確認するかをそろえる
紹介者との関係だけで完結させず、実際に工事や見積に関わる担当者につないでもらうことが出発点です。
責任者への挨拶は接点になります。そのうえで、工事部や積算部の担当者から、現在の案件状況や社内での検討状況を確認します。紹介者に聞くのか、自社で確認するのか、支援担当者が間に入るのかも、あらかじめそろえておきます。
確認の中心は、次の内容です。
- 自社が対応できる工事について、現在どのような案件状況にあるか
- 社内で自社を推薦するには、どのような情報が必要か
- 見積参加へ進むうえで、何がまだ確認できていないか
「登録は済みましたか」から、「見積を依頼する判断に何が必要ですか」へ、確認する内容を一段進めることがポイントです。
会社資料は、相手が推薦しやすい内容に整える
会社資料も、登録書類として提出すれば終わりではありません。担当者から「こういう情報があると推薦しやすい」と聞けたら、その内容に合わせて整えます。
この会社であれば、対応可能と考えていたLED化などの改修工事と、発注元が求める工事が合うかを伝えることが中心になります。自社の情報を一方的に増やすより、相手の判断に必要な情報を過不足なく示すほうが、次の確認につながります。
資料づくりを外部に任せる場合も、制作そのものを成果にせず、発注担当者が求める情報に合っているかまで確認したいところです。
訪問・フォローは、見積参加までの進捗とセットにする
一度紹介してもらった後も、継続的な訪問やフォローは必要です。ただ、訪問回数だけでは受注への距離は分かりません。
定期的なフォローでは、案件状況に変化があったか、求められた情報を渡せたか、見積参加に向けてどこまで進んだかを確認します。必要に応じて紹介者にも同席してもらい、止まっている点を共有します。
進捗を見る基準は、活動量だけでなく「次の段階へ進む条件が確認できたか」です。 見積依頼がまだなくても、必要な情報や相手の状況が分かれば、次に行うことは具体的になります。
実績は、紹介件数ではなく到達した段階で確かめる
外部の紹介や開拓支援を使うなら、同様の会社がその後どうなったかを聞きます。紹介先の数だけでなく、登録までなのか、見積参加までなのか、受注までなのかを分けて確認します。
見積総額が示された場合も、それは受注額ではありません。自社に近い工種や発注元で、どのようなフォローを経て進んだのかを見るほうが、支援内容を判断しやすくなります。
登録期間についても、対象となる会社・窓口、期間の目安、その間に進められることを確認します。期間の長短だけで決めず、待っている間にも受注に向けた準備が進むかを見ることが大切です。
まとめ
協力会社登録は、新規取引の入口です。受注につながるかを考えるには、その先の見積参加まで分けて見る必要があります。
工事部・積算部などの担当者から案件状況を聞く。推薦に必要な情報に合わせて会社資料を整える。継続的に訪問・フォローし、見積参加までの進捗を確認する。この流れがあってこそ、紹介で得た接点を次につなげやすくなります。
「業者が足りない」「登録には時間がかかる」という説明だけでは、案件の確度は判断できません。同様の会社が登録後にどこまで進んだかも確かめながら、自社が動く判断材料をそろえていきたいところです。
協力会社登録の先に向けて、自社の次の一手を整理するために
「紹介先はあるが、受注までの進め方が見えない」という段階から、整理を始められます。 登録の状況、発注担当者との接点、会社資料、見積参加への課題を分けると、次に確認することが見えてきます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断的に整理し、実行まで支援しています。新規取引先の開拓でも、顧問による紹介だけでなく、現場の受け入れ体制を踏まえた進め方や、資料整備、継続的なフォローまで一緒に考えます。
「うちの場合は何から確認すればよいか」という段階でも構いません。無理に支援の利用をお勧めすることはありませんので、今の状況を整理する場としてご相談ください。