前提

設計・施工を手がける少人数の会社で、営業を一人で担う社長

今の仕事は回っていても、新しいハウスメーカーとの接点づくりまで社長一人で進めるのは、時間のやりくりが必要です。

兵庫県に拠点を置く、社員4名ほどの専門工事会社。住宅まわりの外構を中心に、設計から施工まで対応しています。社員は図面の補助を担い、実際の施工は協力会社が中心です。

社長も、必要なときには現場へ出ます。アフター対応もあります。現在の仕事については、人数の割によく回っているという認識です。新しい案件を受ける施工余力もあるといいます。

一方、新規営業の担当を尋ねると、答えは短いものでした。

「全部、僕なんですよ」

既存のハウスメーカーとの取引はあります。ただ、今後に向けて、別の会社ともつながっておきたい。その考えはあっても、開拓の実務を担う人が社内にいない状態です。

課題

ハウスメーカー開拓が「時間があるとき」のまま進みにくい状態

止まっているのは開拓の方針ではなく、候補を調べ、連絡し、面談につなげる実務です。

社長には、進め方のイメージがありました。

「まずネットで、募集しているかどうかを調べる。募集していなくても、直接電話で問い合わせるか、訪問するかですね」

何をすればよいか、まったく分からないわけではありません。候補企業を調べる。協力会社の募集状況を見る。電話や訪問で接点をつくる。流れは考えています。

ただ、実行する時間については、こう話していました。

「時間があるときに、つくっていこうかなという感じです」

ここに、少人数の会社で起きやすい詰まりがあります。新規開拓も社長の仕事です。しかし、目の前の業務に加えて、調査から初回接触まで引き受けることになります。

図面補助を担当する社員はいても、営業担当ではありません。新しい販路をつくる意思があっても、実務の担当が社長のままなら、使える時間も変わりません。

「社長がもっと営業する」だけでなく、「営業のどの部分なら任せられるか」を考える余地があります。

背景

欲しいのは知名度のある取引先ではなく、近隣で設計・施工を一式発注する相手

候補企業の名前が挙がっても、自社に合う仕事を発注する相手かどうかは、別に確かめる必要があります。

この会社が開拓したい理由は、目先の現場不足ではありません。既存取引を維持しながら、取引先の選択肢を増やすためです。

過去には、ハウスメーカーの営業担当者から案件を受けるつながりもありました。ただ、社長が求めているのは、個人との接点だけではありません。ハウスメーカーとの継続的な取引につながる関係です。

受けたい仕事にも、はっきりした希望があります。

「工事だけだと、あまりうまみがないから」

設計から施工まで、一式で関われる案件が対象です。ハウスメーカーとつながれたとしても、施工だけを求められるなら、期待する取引とは違います。

エリアにも条件があります。兵庫県の拠点から行きやすい近隣地域が中心です。

「隣接しているところならいいんですけど、どんどん遠いところまで出てくる」

対応できると伝えた結果、想定より遠い現場の話が来る。この経験も、候補を絞るうえで大切な背景です。

さらに、業界経験者を通じた紹介という選択肢が出ても、確認事項は残ります。橋渡し役が動けることと、その地域で外構工事の発注があることは同じではありません。

開拓先は、会社名だけでなく「対象エリア」「工種」「設計・施工の発注範囲」「発注ニーズ」で見ていく必要があります。

解決

候補調査から面談設定までを分け、発注ニーズに合う接点づくり

社長が決める条件と、任せる実務を分けると、新規開拓を動かす体制が具体的になります。

いきなり営業全体を任せる必要はありません。この会社が考えていた「調べる、連絡する、会う」という流れを、役割ごとに整理するところから始められます。

まずは社長が、開拓先に求める条件を揃える

候補調査を任せる前に、何を探すのかを揃えます。この会社なら、住宅の外構を設計・施工一式で受けられること。拠点から無理なく対応できる地域であること。自社に合う発注の可能性があることです。

「近隣なら対応できる」「外構なら受けられる」だけでは、相手と認識がずれる余地があります。対応したい範囲を先に伝えることで、候補調査や問い合わせの方向を揃えやすくなります。

次に、調査・初回接触・面談設定の担当を分ける

任せる範囲は、次のように分けて検討できます。

  • 候補調査:対象地域のハウスメーカーと、公開されている協力会社の募集情報を調べる
  • 初回接触:電話や訪問で、該当する工種・地域の発注ニーズを確認する
  • 面談設定:条件が合いそうな相手との面談機会をつくる
  • 取引の判断:社長が発注範囲や取引内容を確認し、進めるかを決める

これは、図面補助の社員に営業をそのまま追加するという話ではありません。社内で担える範囲があるか。外部に調査や接触を任せるか。まず、その切り分けです。

候補を調べるだけでも任せる価値はあります。ただ、調査後の電話がすべて社長に残るなら、そこで再び止まる可能性があります。

どこまで任せれば社長の実務が減り、取引判断に時間を使えるかが、委任範囲を決める軸です。

直接アプローチと、業界経験者の橋渡しを比べる

接点づくりには、大きく二つの選択肢があります。

一つは、社長が考えていた直接アプローチです。募集情報を調べ、電話や訪問で問い合わせます。募集の掲載がなくても、対象地域や工種の受け入れ状況を確認する道筋です。

もう一つは、ハウスメーカー出身者など、業界経験者による橋渡しです。対象地域の担当者との接点をつくれる可能性があります。ただし、紹介できる相手や地域、工種は個別に確認する必要があります。

比べたいのは、「紹介があるかどうか」だけではありません。自社が求める発注先につながる方法かどうかです。

直接問い合わせられる候補なら、調査と初回接触を任せる進め方が考えられます。業界経験者に該当する地域・工種の接点があるなら、橋渡しも検討できます。

その際も、接点の有無と発注機会の有無は分けて確認します。電気工事でつながりがある相手でも、外構の発注ニーズがあるとは限りません。

外部支援を選ぶときは、「誰に会えるか」と「どんな仕事の可能性があるか」、そして「どの実務を任せられるか」をセットで確認したいところです。

費用の判断も、この整理の後です。自社だけで進められる範囲と、任せることで動き出す範囲を比べます。紹介や面談の設定を、受注の確約と混同しないことも大切です。

まとめ

忙しい社長のハウスメーカー開拓は、営業意欲を高めるより、条件と担当を分けることから進めやすくなります。

この会社には、設計・施工を一式で受ける力がありました。協力会社にも施工余力があります。一方、新規営業は社長一人の担当でした。

次の一手は、候補企業の募集情報を調べ、電話や訪問で発注ニーズを確かめることです。その実務をどこまで社長が担い、どこから任せるかを整理します。

直接アプローチも、業界経験者による橋渡しも選択肢です。どちらを使う場合も、対象エリアと工種、設計・施工の発注範囲を揃えることが先になります。

「つながれる会社」から一歩進めて、「自社に合う仕事の可能性を確認できる会社」を見ていく。その順番が、限られた営業時間を活かす手がかりになります。

自社のハウスメーカー開拓で、任せられる範囲を整理するために

「うちの場合、どこまで自分で動き、何を任せればよいか」という段階から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

ハウスメーカー開拓では、受けたい工事と対応エリアを揃え、候補調査や初回接触をどこまで任せるかを一緒に考えます。必要に応じて、業界経験者による橋渡しが適しているかも確認します。

開拓先や進め方がまだ決まっていなくても大丈夫です。無理な営業はせず、自社で進める範囲も含めて整理します。

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