営業先のリスト作成から外注しても、見積依頼がほとんどなかった専門工事会社
営業代行で面談の機会はできていても、見積依頼につながらない場合は、アポイントの取り方だけでなく、営業先を選ぶ基準まで見直す必要があります。
防水などの改修工事を手がける、ある専門工事会社では、過去に営業先の選定、リスト作成、電話でのアポイント獲得までを外部に任せていました。先方との面談に向かうのは社長自身です。
ところが、活動を続けても、期待していた見積依頼にはほとんど結びつきませんでした。
「面談はあるんですけど、見積もりはほぼないですね。だったら自分でやります、となったんです」
社長は、自分で営業した方が成果につながると感じ、外注をやめています。ただ、この経験を「建設業では営業代行が合わない」とまとめてしまうと、見直せる部分が見えにくくなります。
注目したいのは、外注先が面談の機会をつくった後に、社長が訪問先として適切かどうかを判断していた点です。面談件数の手前に、営業先の適否を確かめる工程が残っていました。
アポイント獲得後に残っていた、社長による訪問先の選び直し
営業先の適否を判断する基準が、リスト作成の段階で十分に反映されていたかが、最初の確認点です。
この会社では、外注先から面談の打診を受けると、社長が相手企業を調べ、実際に会いに行くかを判断していました。
「面談が取れましたが、どうしますか、と連絡が来て、僕がその会社を調べるんです」
会社を調べた結果、訪問を見送ることもありました。つまり、外注先にとってはアポイント獲得まで進んだ相手でも、社長から見ると、営業先として合わないケースが含まれていたということです。
社長は当初から「こういう会社に営業してほしい」という希望を伝えていました。それでも、「あまりはまらなかった」と振り返っています。希望を伝えていなかったのではなく、伝えた条件と、社長が実際に営業先を選ぶ際の判断との間に、ずれが残っていたと考えられます。
もちろん、見積依頼が来なかった原因を、リストだけで断定することはできません。ただ、社長が面談前に対象企業を選び直していた事実は、電話の件数を増やすより先に確認したい点です。
「会ってくれる会社」と「自社に見積もりを依頼する可能性がある会社」は、同じとは限りません。 この違いを整理せずにアポイント数だけを追っても、社長が営業先を選び直す状態は変わりにくくなります。
「大手とつながりたい」だけでは伝わらない、改修工事の発注先としての適合
社長が見ていたのは企業の知名度や規模だけでなく、その会社の事業と、自社の工事がつながる可能性でした。
開拓したい企業を尋ねると、社長からは大手建設会社に加え、不動産会社や地域で改修工事を扱う会社も挙がりました。特に関心を持っていたのは、管理物件が多く、現場でその会社名の看板を見かけるような不動産会社です。
「自分たちの管理物件の改修工事をやっているようなんです」
ここには、単に「不動産会社だから営業したい」という以上の判断があります。物件を管理していること、改修工事との接点がありそうなことを見て、自社が関われる可能性を考えていたのです。ただし、実際の工事の発注方法までは確認できていないため、営業先の候補としての見立てと、確認済みの事実は分けて扱う必要があります。
また、社長は大手企業との取引も望んでおり、地域の会社に絞りたいわけではありませんでした。取引の立場についても、一次請けだけに限定するのではなく、採算が合う仕事であれば検討する意向でした。
つまり、「大手か中小か」「建設会社か不動産会社か」といった区分だけでは、狙いたい相手を十分に表せません。
企業規模、事業内容、取引先や工事との関わり方を、自社が提供できる施工と照らし合わせることが、営業先選定の中心になります。 社長自身の営業の方が成果につながったという経験を活かすなら、何を見て相手を選んでいたのかを、外注先と共有できる形にすることが出発点です。
社長の選定基準を先に共有し、面談で分かったずれをリストに反映する進め方
見直しは、営業先の条件を事前にそろえ、面談に同席して適合を確かめ、その結果でリストを修正する順番で進めます。 最初のリストを完成形とせず、実際の対話から精度を上げていく考え方です。
まずは、社長が「会いたい」と判断する理由をそろえる
営業代行を始める前、または再開する前に、社長が開拓したい企業と、過去に訪問を見送った企業を並べ、それぞれの理由を確認します。企業名の一覧を渡すだけでなく、なぜ対象になるのか、なぜ対象から外れるのかまで共有することが大切です。
確認する軸は、次のように整理できます。
- 企業規模:狙いたい規模はどの範囲か。その規模の会社から、自社に見積依頼が来る可能性をどう見ているか
- 事業内容:改修工事や管理物件など、自社の施工につながる事業を扱っているか
- 取引先・工事との関わり方:どのような相手から仕事を受け、どのように工事を外部へ依頼しているか
- 自社の強みとの適合:相手が必要とする工事に対し、自社が対応できる内容や強みが合っているか
この会社の場合は、管理物件の改修工事との接点が、一つの選定理由になります。一方で、大手企業も対象に含めたいという意向があるため、不動産会社だけに絞るのは適切ではありません。
条件を細かくする目的は、対象をむやみに減らすことではなく、社長と外注先が同じ理由で営業先を選べるようにすることです。 分からない部分は分からないまま区別し、面談で確認する内容につなげます。
面談への同席を、リストを見直す機会にする
外注先がアポイント獲得だけを担当し、その後の面談内容を把握できなければ、相手が合わなかった理由もつかみにくくなります。初期の面談に同席する意味は、社長の代わりに話すことだけではありません。
実際に示されていた進め方は、社長が自社の説明をする場に同席し、相手企業の事業や、自社の強みとの適合を確認するものでした。そこで「この規模の会社からは見積依頼につながりにくい」「そもそも狙っていた相手とは違った」と分かった理由を拾い、リストの精査に使います。
大切なのは、「今回は駄目だった」で終えないことです。企業規模が合わなかったのか、扱う事業が想定と違ったのか、自社の施工を必要とする接点が見つからなかったのか。確認できた理由を、次の対象企業の選び方へ戻します。
面談は、その一社から仕事を得るための場であると同時に、次に営業する会社の条件を確かめる場でもあります。 社長の感覚を外注先が理解するには、実際のやり取りを一緒に捉える機会が役立ちます。
アポイント数と見積依頼の間を分けて確認する
営業活動の検証では、アポイント獲得、面談実施、見積依頼を分けて確認します。これらをまとめて「何件取れたか」と扱うと、どこで進まなくなったのかが分かりません。
アポイントは取れていても社長が訪問を見送っているなら、まず営業先の選定条件を見直します。実際に面談をしているのに見積依頼が来ないなら、同席して把握した相手の事業内容や、自社との適合を振り返ります。
見積依頼への進み方を見る際も、件数だけで良し悪しを決めるのではなく、どのような企業から依頼が来たのかを確かめます。そこに共通点があれば、次のリストを精査する手がかりになります。
営業代行の評価は、アポイント数だけでなく、実際に会えたか、見積依頼まで進んだか、その結果が次の営業先選定に反映されているかまで含めて行います。
まとめ
面談はできても見積依頼につながらないときは、社長が面談後や訪問前に行っている適否の判断を、営業先の選定段階へ戻すことが見直しの起点です。
今回の専門工事会社では、リスト作成から外注していても、アポイント獲得後に社長が相手企業を調べ直していました。そこには、外注先の選定と社長の判断をそろえる余地がありました。
まず、狙う企業の規模、事業内容、取引先や工事との関わり方を、自社の強みと照らして共有します。そのうえで、面談への同席で分かった不適合の理由をリストに反映し、アポイントから面談、見積依頼への進み方を確認していきます。
「自分でやった方が取れる」という経験は、外注を諦める理由だけではありません。社長自身が成果につなげてきた営業先の選び方を、外注先と共有するための材料にもなります。
見積依頼につながる営業先を整理したい方へ
営業代行を見直したいと思っても、「任せ方の問題なのか、営業先が違うのか、まだ整理できていない」という段階もあると思います。まずは、これまで会った企業、訪問を見送った理由、見積依頼につながった相手を振り返るところから始められます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。営業についても、自社の施工や強みを踏まえた営業先の選定、面談後の振り返り、見積依頼につながる活動の見直しを一緒に考えます。
「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも、ご相談いただけます。 無理にサービスの利用を勧めることはありませんので、今の営業活動を整理する先としてお声がけください。