前提

採用と新規開拓を進めたい一方、外部支援の窓口も社長が担う少人数の建設会社

採用や営業の外部支援は、依頼先を見つけるだけでなく、依頼した後の仕事を誰が担うかまで決めて初めて活用しやすくなります。

関東で取引先の開拓を考えている、ある少人数の建設会社では、採用と営業の両方を進める必要がありました。社員の年齢が上がるなかで新しい人を迎えたい一方、既存顧客の組織や運営体制にも変化があり、取引先を増やすことも課題になっていました。

ただ、採用や新規開拓を専任で担当する社員はいません。外部の会社とやり取りし、方針を決め、その後の対応を進める窓口は社長です。社長は主要顧客との付き合いや日々の業務も担っており、新しい取り組みだけに時間を使える状況ではありませんでした。

外部の力を借りることに消極的なわけではなく、過去には求人広告も取引先の紹介も利用しています。それでも、支援を受けた後の実務が社長に残り、十分に活かしきれなかった経験がありました。

この会社で整理すべきことは、採用や営業の手段をさらに増やすことよりも、社長しか窓口がいない状態で、支援を受けた後まで仕事が進む分担をつくることでした。

課題

求人広告を出しても紹介を受けても、その後の対応が社長の手元で止まる状態

外部支援の入口はあっても、その先の実行を社長が引き受ける形では、取り組みを続けにくくなります。

過去に求人広告を利用した際、この会社は採用担当者を置かず、社長が窓口になりました。当初は自分で対応できると考えていたものの、実際にはやりきれず、期待した形で活用できませんでした。

取引先の紹介でも、接点はできたものの、名刺交換の先に進むためのフォローが手薄になりました。紹介そのものだけでなく、社長自身が動けなかったことも、振り返りのなかで挙げられています。

採用と営業は別の仕事ですが、ここで起きていることは共通しています。求人の掲載や相手先との接点づくりまでは外部が支援しても、その後の対応を社内で受け持つ人がいないのです。

相談者は、その難しさを「結局、私が中心になってやると、その辺が手薄になってしまう」と表現していました。

この状況で広告や紹介を追加しても、社長が対応する仕事も一緒に増えます。支援を選ぶ際には、何を提供してもらえるかに加えて、依頼した結果、自社にどの実務が残るのかを見る必要があります。

背景

主要顧客への対応と新しい取り組みが、同じ社長に集まる業務構造

支援を活かしきれなかった背景には、社長の意欲よりも、日常業務と新しい取り組みが一人に集中する構造があります。

社長には、主要顧客との関係を保つ仕事があります。それと並行して、新規開拓では狙う企業やエリアを考え、採用では求人の内容や応募者について判断しなければなりません。採用や営業に取り組みたい気持ちがあっても、日々の対応と同じ時間のなかで進めるには限界があります。

一方で、この会社には、別の担当者が採用実務を集中的に担い、実際に採用につながった経験もありました。これは、外部支援の有無だけでなく、実務を動かす人がいるかどうかが重要だったことを示しています。ただし、採用できたことと、その後の定着は別のため、実務を任せればすべて解決するという話ではありません。

また、相談時点では、グループ内で共同営業を進める体制がようやく整いつつありました。既存の協力先がいる場合、さらに外部支援を加える前に、すでに誰が何を担っているかを確認する必要もあります。

ここで分けたいのは、方針や人選について判断する仕事と、決まった方針に沿って対応を進める仕事です。社長が判断を担うことと、すべての連絡・作成・接触を自分で行うことは、同じではありません。 この区別ができると、専任担当者を置けない会社でも、外部に任せられる範囲が見えてきます。

解決

求人原稿から応募対応、営業先への接触から初回面談までを工程別に分担

外部支援は「採用を頼む」「営業を頼む」とまとめず、工程ごとに社長・外部・現場の役割を切り分けて選びます。 大切なのは、外部が動く範囲だけでなく、自社が仕事を受け取る地点まで明確にすることです。

助言が必要なのか、実務を担う人が必要なのかを分ける

助言を中心とする支援は、方針や進め方を整理するために役立ちます。ただし、提案を受けた後に実行する人は、自社側で確保する必要があります。

実務を担う支援では、求人原稿の作成や応募対応、営業先への接触などを外部に任せられます。一方、実務代行であっても、狙う相手や方針は自社で決める前提の支援もあります。

したがって、専任担当者がいない会社では、単に「代行してくれるか」だけでは不十分です。方針を一緒に整理する範囲と、実際に手を動かす範囲を、別々に確認することが選ぶ際の判断軸になります。

採用は、社長の承認と日々の応募対応を分ける

相談のなかでは、求人媒体の選定を一緒に考え、原稿の作成・修正、応募対応、面接対応まで外部が担う支援方法が示されていました。この分け方なら、社長がすべての採用実務を抱える形を変えられます。

役割を整理する際には、次の工程で確認すると具体的になります。

  • 社長と外部で整理すること: どのような人を採りたいか、どの求人媒体を使うか
  • 外部に任せる実務: 求人原稿の作成・修正、応募者への対応、面接対応のうち任せられる範囲
  • 自社に残す判断: 求人内容の承認、媒体利用の決定、採用するかどうかの判断

外部が面接対応まで担う場合も、採用の判断まで任せることとは分けて考えます。相談者自身も、人については最終的に自社で判断する必要があると認識していました。

求人広告を出した後の対応で行き詰まった経験があるなら、媒体選びだけでなく、応募対応まで支援範囲に含まれるかが重要です。掲載までの支援と、掲載後も動く支援では、社長に残る負担が変わります。

営業は、初回面談の先を受け持つ人まで決める

営業では、狙う企業やエリアを社長と外部で詰めたうえで、外部が電話などで接触し、面談を設定する方法が示されていました。社長が出られない場合には、外部が初回面談まで担い、その後を自社に渡す形です。

一方、見積もりなどは、社長や社内の担当者が受け持つ範囲として説明されています。初回面談まで任せられても、見積もりや技術的な対応を引き受ける人がいなければ、次の工程で止まる可能性があります。

このため、外部に接触を依頼する前に、話が進んだ際に誰へ渡すのかを確認しておきます。社長が受けるのか、現場の担当者につなぐのかを決め、その担当者が受け持てる範囲に合わせて進めることが、紹介後のフォローを手薄にしないための整理になります。

また、面談を設定できた会社が、必ずしも自社の希望する取引先とは限りません。支援事例では、接触を始めてから、仕事内容が重なりすぎる会社や発注量が合わない会社を見直していました。外部から上がる相手先に対して、自社が合う・合わないを伝える役割は残ります。

接触する件数だけでなく、自社に合う相手か、その先の対応を引き受けられるかを合わせて見ることが必要です。

既存の協力体制で担える範囲を確かめ、足りない工程を補う

グループ会社などとすでに取り組みを始めているなら、その動きを置き換える前に、どこまで実務を担ってもらえるかを確認します。この相談でも、共同営業を数か月進めたうえで、内部でできることと難しいことを見極める方向が話されていました。

その際、受注の有無だけで判断せず、接触や面談、その後の対応が実際に誰の手で進んだかを確認すると、外部に補ってほしい工程が明確になります。

専任担当者を一人置くか、すべて社長が行うかの二択ではありません。社長は方針と判断を担い、外部は任せた範囲の実務を進め、現場担当者は専門的な対応を引き受けるという分担を考えられます。

まとめ

社長しか窓口がいない建設会社では、外部支援の活用を「手段選び」ではなく「実行の分担」から考えることが出発点です。

求人広告や取引先紹介を活かしきれなかった経験があっても、外部支援が自社に合わないと決まったわけではありません。支援が終わる地点と、自社が引き受ける地点の間に、担い手のいない実務が残っていた可能性があります。

まずは、採用なら原稿作成・修正と応募対応、営業なら接触と初回面談、その後の見積もりについて、誰が担うかを整理します。既存の協力先で進められる工程は活かし、社長に集中している実務を補う範囲を見定めると、必要な支援を選びやすくなります。

社長の判断は残しながら、社長がすべてを動かす状態を変えること。 その分担が、専任担当者のいない会社でも採用・営業を続けるための土台になります。

採用・営業で社長に残っている実務の整理から

外部に何を頼むかが決まっていなくても、いま誰が何を担っているかを整理するところから相談できます。 「求人を出した後まで対応できない」「紹介先へのフォローが続かない」「うちの場合はどこを任せればよいのか」といった段階でも構いません。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用・営業についても、助言が必要な部分と実務を担う人が必要な部分を分け、社長や現場に残す役割を一緒に考えます。

無理にサービスの利用を勧めることはありません。既存の協力先との役割分担も含め、次の整理先としてご相談ください。

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