前提

既存取引先からの依頼を断っている、社員6名規模の専門工事会社

仕事の引き合いはあるのに、施工する人が足りない。受注を増やす前に、受けられる体制を整えたいという相談です。

愛知県に拠点を置く、社員6名規模の専門工事会社。法人向けの設備関連工事を手がけています。事務担当者以外は現場に出ており、社長自身も施工に入っています。対応する現場は地元だけではありません。依頼に応じて全国へ出向いています。

「今、結局断っている仕事もあって。人が増えれば、現場の数も増えるという体感はあります」

既存取引先から、さらに仕事を受けられる手応えがあります。数年単位で先の工事予定が見えている案件もあります。ただ、自社の人員ではすべてを引き受けられません。

現在は、ほぼ自社施工で回しています。一方で、協力先とのつながりもあり、人数にすると15名ほどです。外部に頼む先がまったくないわけではありません。

それでも、優先したいのは社員の確保です。自社施工を中心に利益を残したい。そのうえで、採用が進まなければ協力会社にも依頼していく。そんな体制づくりを考えています。

課題

自社施工で利益を確保したくても、採用待ちでは目の前の仕事を受けられない状況

社員採用と協力会社の活用は、どちらか一方を選ぶ話ではなく、役割と時間軸を分けて考えたい課題です。

「人がいないと、やっぱり成り立たないので。人の優先順位は高いですね」

社長の考えは明確です。ただ、採用を優先すると決めても、必要な時期に入社してもらえるとは限りません。目の前の工事は、採用が決まるまで待ってくれるとは限らないからです。

そこで選択肢になるのが、協力会社への依頼です。

「人が集まらず、物件が増えるとなったら、協力業者さんを使ってこなしていくしかないと思っています」

協力会社に頼めば、受けられる仕事を増やせる可能性があります。ただし、外注費も発生します。受注額だけを見て増やしても、自社に残る利益が想定より小さくなれば、目指す成長とはずれてしまいます。

また、施工を頼むことと、自社の管理負担が減ることは別です。誰に何を任せるかが曖昧なままでは、人が増えても判断や調整は社長に残ります。

受注できるかだけでなく、利益を残し、管理まで回せるか。この両方で体制を選ぶ必要があります。

背景

知人中心の採用から募集を広げる一方、採用対象はまだ絞り切れていない段階

自社施工を増やしたい方針はあるものの、採用の進め方と、入社後に任せたい役割は整理の途中にあります。

これまでの社員は、もともとの知り合いや友人の紹介が中心でした。地元の求人誌にも掲載しましたが、思うような採用にはつながりませんでした。そこで、最近になって採用活動に力を入れ始めています。

社長は現場に出ながら、採用も担当しています。つながりのある人を迎える採用から、まだ知らない応募者を迎える採用へ。少しずつ動き方を変えているところです。

採用対象については、年齢などで強く線を引いていません。

「経験がある方が、やっぱり即戦力にはなり得るかなと思います」

経験者が望ましい。ただ、未経験者を対象外にしているわけではありません。今の仕事を続けながら、ほかの社員も含めて教える余力はあると捉えています。

ここは大切な前提です。人手不足でも、未経験者を教える余力まで失っているとは限りません。即戦力が必要な仕事と、育てながら任せられる仕事を分ければ、採用対象を考えやすくなります。

社長には、まず社員や関わってくれる人への還元を厚くしたいという思いもあります。そのためにも、単に受注量を増やすのではなく、利益が残る施工体制をつくりたいのです。

解決

直近の工事は協力会社、中長期の施工力は採用として分ける体制づくり

まずは不足している仕事量を確かめ、直近の案件への対応と、継続的な増員を別々に判断する進め方が考えられます。

協力会社を使うことは、社員採用を諦めることではありません。反対に、採用を進めているからといって、目の前の工事まで自社だけで抱える必要もありません。

仕事量と自社の施工余力を先にそろえる

最初に確認したいのは、「人が増えれば受けられる仕事」が、いつ、どの程度あるかです。

数年先まで工事の予定が見えていることは、増員を考える材料になります。ただし、先の予定があることと、自社への発注量や時期が確定していることは分けて見たいところです。

整理する軸は、次の4つです。

  • 継続的な仕事量:一時的な依頼か、増員後も継続して見込める仕事か
  • 自社の施工余力:今の社員でどこまで対応でき、どの時期に不足するか
  • 外注後に残る利益:協力会社へ依頼しても、必要な利益を確保できるか
  • 管理負担:施工を頼んだあと、自社に残る判断や調整を誰が担うか

これらを合わせて見ると、社員として確保したい施工力と、協力会社に補ってもらいたい仕事を分けやすくなります。

協力会社の人数ではなく、その案件を任せられるかを確認する

直近の工事では、既存の協力先に依頼できるかを確かめることが現実的です。ただ、つながりがある人数を、そのまま使える施工人員とは数えないほうが判断しやすくなります。

必要な時期に対応できるか。対象の工事を任せられるか。全国対応の案件なら、その場所まで対応できるか。案件ごとに確認したい点です。

そのうえで、外注費を織り込んだ利益と、自社側に残る管理負担を見ます。協力会社を活用する基準は、人数を確保できることだけでなく、利益と管理の両面で引き受けられることです。

自社施工が中心だった会社ほど、施工を外に任せた場合の役割分担を、受注前にそろえておく意味があります。

経験者と未経験者は、任せたい役割から順序を決める

中長期の採用では、「経験者が来てくれたら」という希望を、任せたい仕事に置き換えてみます。

すぐに施工を任せられる人が必要なら、経験者を優先する理由がはっきりします。一方、既存社員が教えながら仕事を進められるなら、未経験者も候補に入ります。

この会社は、未経験者を教える余力があると捉えています。ただし、採用人数が増えても同じ余力があるかは、別に確認したいところです。誰が教えるか。その人が施工と教育を両立できるか。そこまで見て、迎える人数と順序を決めます。

直近の不足を埋める人と、これから自社の施工力になる人を分ければ、経験者だけを待つ必要があるのかも判断できます。

協力会社で目の前の案件を補いながら、自社で継続して担いたい仕事に合わせて採用する。仕事量と教育余力を見ながら、増員の順序を見直していく形です。

まとめ

人手不足で仕事を断っている会社では、採用と協力会社を対立する選択肢にせず、直近の受注と中長期の施工力に分けて考えることが出発点になります。

既存取引先からの依頼があるなら、まず、その仕事がいつ、どれだけ続くのかを確認します。自社で対応できる範囲を重ねれば、不足する時期と施工力が見えてきます。

直近の案件は、協力会社へ頼んだ後の利益と管理負担で判断する。採用は、継続して任せたい仕事と、未経験者を教えられる余力から対象と順序を決める。この分け方なら、自社施工を大切にしながら、外部の力も生かしやすくなります。

すべての依頼を受けることより、無理なく施工でき、利益を残せる体制にすること。その積み重ねが、社員への還元にもつながっていきます。

自社採用と協力会社の役割を整理したい方へ

「うちの場合、先に採用すべきか、協力会社への依頼を増やすべきか」という段階から整理できます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。

人手不足の相談でも、募集の方法だけではなく、今ある仕事量、自社の施工余力、外注後に残したい利益を合わせて考えます。必要に応じて、採用活動や協力会社の開拓を進める順序も整理します。

何から整理すればよいかわからなくても大丈夫です。無理にサービスをお勧めすることはありませんので、現在の受注と人員の状況をお聞かせください。

お問い合わせはこちら