前提

仕事は確保できていても、夏場の受注を断る設備工事会社の採用

欲しいのは、大幅な増員ではなく、今ある仕事を一緒に担える経験者があと1人です。

石川県にある、年商9,000万円ほどの設備工事会社。空調設備を中心に、さまざまな建物の工事を手がけています。メーカーから直接受ける仕事があり、人が増えても仕事量には困らない状況です。

経営者の言葉も、明快でした。

「仕事があるので、人が欲しい」

夏場には、人手が足りずに工事を断ることもありました。ただし、年間を通じて受注を断り続けているわけではありません。まずは目の前の仕事に対応しながら、少しずつ体制を厚くしたい。そのための採用です。

「とりあえず、あと1人ですね。電気工事の経験者であれば」

採用にはすでに費用をかけています。外部サービスを利用し、採用サイトも整備済みです。過去には採用につながったこともあります。それでも、足元の反響は十分ではありませんでした。

課題

採用サイトと追加出稿があっても、欲しい経験者からの反応が少ない状況

見直したいのは広告費の多寡だけでなく、必要な経験を持つ人に、働く姿が伝わっているかです。

採用サイトの反響を尋ねると、返ってきたのは「うーん、ダメですね」という率直な言葉でした。追加の広告出稿にも取り組んでいます。何もしていないから応募が来ない、という話ではありません。

こうしたときは、さらに露出を増やすか、別の媒体に変えるかを考えたくなります。もちろん、それが必要な場合もあります。ただ、今ある情報だけでは、どこを変えるべきかは決めきれません。

たとえば「電気工事の経験者」という条件だけでは、採用したい人の姿にはまだ幅があります。会社の主力は空調設備の工事です。そこで必要な電気工事の経験と、応募を考える人が持つ経験が重なるか。その確認が必要です。

採用サイトがあることと、求める人が応募を判断できることは、分けて考えたいところです。応募数を増やす前に、「どんな経験のある人に、何を任せたいのか」をそろえることが、見直しの出発点になります。

背景

目の前の工事をこなす中で、募集方法が一つのサービスに集中

工事への対応を優先する中で、採用したい人の条件や伝える内容を掘り下げる余地が残っていました。

この会社は、先に大きな組織拡大の計画を立てているわけではありません。

「目の前の仕事をこなして、それに伴って規模もちょっとずつ大きくなっているだけ」

数年先を見ても、増員のイメージは1〜2人ほどです。大量の応募を集めることより、必要な仕事を担える人と出会うことが大切な採用です。

一方、採用活動は主に一つの外部サービスに任せていました。追加の出稿も、その延長で進めています。任せ先があることは助けになります。ただし、それだけで「欲しい経験者が普段どこで求人を探すのか」「その人が何を知れば応募を考えるのか」まで確認できているとは限りません。

募集時期については、経営者なりの考えもありました。

「ボーナスをもらって辞める人を考えると、11月ぐらいから出す方がいいのかな」

時期を選ぶ視点はあります。次に必要なのは、その時期に向けて、誰に何を伝えるかを整えることです。媒体、原稿、出稿時期を別々に選ぶのではなく、採りたい1人を中心につなぎ直す余地があります。

解決

求める経験から、社員の声・採用ページ・媒体・募集時期を順に見直す方法

新しい広告を足す前に、求める経験、働く魅力、伝える原稿、届ける場所の順で整理すると、次の投資を選びやすくなります。

まずは「電気工事の経験者」を、任せたい仕事まで具体化

最初に整理したいのは、入社した人に担当してほしい工事と業務です。

この会社であれば、空調設備の工事を中心とした仕事の中で、どの電気工事経験が必要なのかを確認します。「経験者なら幅広く会いたい」という考えを残しつつも、採用の判断に必要な条件は言葉にしておきたいところです。

  • どの工事経験が、今の仕事に生かせるのか
  • 入社後、まず何を任せたいのか
  • どこまで対応できれば、受けられる工事を増やせるのか

ここをそろえると、求人原稿で伝える内容も、応募があったときの確認事項もつながります。条件を細かく増やすことが目的ではありません。必要な経験と、入社後に期待する役割を対応させることが目的です。

社員インタビューで、実際に働く魅力を整理

次は、すでに働いている社員の声を確かめます。会社側が伝えたいことだけでなく、働く側がどう受け止めているかを知るためです。

入社を決めた理由、担当している仕事、経験を生かせている点。こうした内容を聞き、求人で伝えられる事実を拾っていきます。

メーカーから直接仕事を受けていることや、幅広い建物に対応していることも、この会社の具体的な特徴です。ただ、それを並べるだけで応募につながるとは限りません。社員がその仕事のどこに魅力を感じているかまで確認できると、伝え方を考えやすくなります。

働く魅力は、新しい言葉で飾るより、社員が実感している事実から整理する方が、自社らしい原稿になります。

作り直す前に、既存の採用ページと求人原稿を点検

採用サイトは、すでにあるものを見直すところから始められます。反響が少ないからといって、すぐに全面的な作り直しが必要とは限りません。

確認したいのは、先ほど整理した「必要な経験」「任せたい業務」「社員が感じる魅力」が、ページと求人原稿に表れているかです。

電気工事の経験者を募集していても、実際の仕事との関係が読み取れなければ、応募する側は自分に合うかを判断しにくくなります。空調設備を中心とする会社で、どのように電気工事の経験を生かせるのか。そこを読み手がつかめる内容に整えます。

対象人材の情報収集先に合わせて媒体を選択

原稿の軸ができたら、届ける場所を見直します。媒体の知名度や掲載枠の大きさだけで選ぶのではなく、採りたい経験者がどこで仕事の情報を得ているかを確認します。

既存サービスの担当者とも、単なる反響の増減ではなく、求める経験に合う人との接点があるかを確かめたいところです。そのうえで、今の媒体を継続するか、原稿を直すか、別の手法を検討するかを選びます。

判断軸は「何件応募が来たか」だけでなく、「必要な工事経験を持つ人と接点ができたか」です。

賞与後の転職を想定し、出稿前に内容を準備

賞与を受け取った後の転職を想定し、11月ごろから募集を強めるという考え方も、検討の一つになります。ただし、その時期なら採れると決まっているわけではありません。

先に社員の声を集め、採用ページと原稿を整えておく。そのうえで、対象者の動きを見ながら出稿時期を選びます。時期を変えるだけでなく、伝える内容も準備しておくことが大切です。

まとめ

経験者をあと1人採りたいときは、広告の露出を増やす前に、その1人に届く内容と場所を確かめたいところです。

仕事があり、採用サイトもあり、追加出稿にも取り組んでいる。それでも応募が来ないなら、採用活動を一からやり直すのではなく、今ある取り組みをつなぎ直す方法があります。

まず、必要な工事経験と任せたい業務を整理します。次に、社員の声から働く魅力を確認します。それを既存のページと求人原稿に反映し、対象人材の情報収集先に合わせて媒体を選びます。募集時期は、その準備と合わせて考えます。

応募の総数だけでなく、必要な経験を持つ人と出会えているか。この軸を持つと、次に直す場所や、費用をかける先を判断しやすくなります。

あと1人の採用に向けて、今ある募集の整理から

「うちの場合、原稿と媒体のどちらから見直すべきか」という段階から、整理を始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。経験者採用では、任せたい仕事の整理から、社員の声を踏まえた採用ページの見直し、募集方法の検討まで、会社の状況に合わせて一緒に考えます。

すでに利用している採用サービスやページがあっても構いません。まずは、それらをどう生かすかを整理するところからです。無理にサービスの導入をお勧めすることはありませんので、何から手をつけるか迷っている段階でもご相談ください。

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