前提

自社サイトと有料求人媒体で募集しても応募がない、地方の少人数の電気工事会社

仕事はあるものの、求人を出しても応募がなく、社員を増やす見通しが立たない。 地方の電気工事会社では、採用にお金をかけ続けるべきか、それとも別の方法を探すべきか、判断に迷う場面があります。

岐阜県を拠点とする、社員7名ほどのある電気工事会社も、その状況にありました。集合住宅や工場、商業施設などの電気工事を手がけていますが、新たな仕事が増えたときに、現在の社員だけで対応するのは厳しいと感じています。

自社サイトで募集し、有料の求人媒体も利用してきました。それでも、応募状況を尋ねると、経営者の答えは「全然来ないです」。採用したい人と出会えないというより、応募そのものが来ていませんでした。

「媒体にお金をかけても、結局、費用対効果がないんですよね」

効果を感じられず、有料の出稿はいったんすべて停止していました。それでも人材が欲しいという思いは変わらず、次に優先したいこととして挙がったのは、採用でした。

一方で、仕事の範囲は地元に限りません。全国に受注があり、「いい人がいたら、そこにも拠点を作りたい」という考えも持っています。つまり、地元の求人を立て直すだけでなく、どの地域で人を採るのかまで含めて考える余地がある会社です。

課題

応募がない理由を分けられないまま止まっている採用活動

見直したいのは媒体の数ではなく、「どこにいる、どんな人に、何を伝えて応募してもらうか」という採用の組み立てです。 応募がないという結果だけでは、次に選ぶべき方法まではわかりません。

この会社では、応募者との条件の不一致や、面接後の辞退が問題になっているわけではありません。応募に至る前の段階で止まっています。そのため、まず整理する対象は、候補者に出会える範囲、求人で伝える内容、情報を届ける経路です。

経営者は、応募がない背景を「地方だから」と捉えていました。地域に働き手がどれだけいるかは、もちろん大切です。ただ、地域の候補者が少ないことと、その候補者に自社が選ばれる理由を伝えられているかは、分けて確認する必要があります。

整理したい問いは、次の3つです。

  • 募集する地域に、採用対象となる人がどの程度いるのか
  • 同じ地域の電気工事求人と比べ、自社の特徴が伝わる内容になっているか
  • 採りたい人に届く募集経路を選べているか

ここを分けずに別の有料媒体へ移っても、同じ内容を違う場所に掲載するだけになりかねません。反対に、出稿を止めたことだけで「もう採用の手がない」と考える必要もありません。応募がない理由を確かめてから、再び費用をかける先を決めることが、次の一手になります。

背景

地域の求人競争と、まだ確かめられていない自社の選ばれる理由

地域の働き手の少なさだけでなく、競合求人の存在と、自社の魅力をどう言葉にするかが重なっています。 地方であれば求人を出す会社も少ないとは限らず、実際に地域を絞って電気工事の求人を検索すると、多数の募集が見つかる状況でした。

ただし、求人の検索件数は、そのまま競合企業数や候補者数を表すものではありません。求人が多いから採用できないと決めるのではなく、候補者がどのような募集と自社を見比べるのかを知る材料として使うことが大切です。

もう一つ、確かめたいのが、現在働いている社員がこの会社を選び、働き続けている理由です。この会社について、その理由が十分に整理されているかどうかは、まだ確認できていませんでした。

長く勤める社員へのインタビューでは、経営者が考える魅力とは違う理由が見つかることがあります。別の支援先でも、社員の話を聞いて初めて、経営者が定着の理由に気づくことがありました。

社員が実際に感じている良さは、求人で何を伝えるかを考える手がかりになります。同時に、働くうえで気になっている点も聞くことで、良い面だけを並べた説明になるのを避けられます。

この会社の場合は、さらに募集地域の問題もありました。「関東に行きたい。ただ、人件費が高いでしょう」という言葉には、候補者の多い地域に可能性を感じながらも、採用後の負担まで考える姿勢が表れています。募集地域を広げる判断は、応募の集まりやすさだけではなく、その場所で仕事と雇用を続けられるかと一緒に考える必要があります。

解決

地域の採用環境と社員の声から、求人内容と募集経路を組み直す進め方

地域の状況を確認し、社員が選んでいる理由を言葉にしてから、媒体や高校訪問、募集地域を選ぶ。 この順番なら、有料出稿を再開する場合にも、以前と何を変えるのかが明確になります。

まず、地域の候補者と競合求人を分けて確認する

最初に確認したいのは、「地元では難しい」という感覚が、どの範囲の話なのかです。募集地域を定めたうえで、採用対象となる人の規模感と、同じ地域に出ている電気工事の求人を確認します。

競合求人は、件数だけではなく、どんな人を募集し、何を働く魅力として伝えているかまで見ます。そのうえで自社の求人を読み直すと、他社と同じ説明にとどまっている部分や、自社では伝えていなかった特徴を確認しやすくなります。

ここで、地域の候補者数が限られるのであれば募集範囲を検討し、候補者はいても自社を選ぶ理由が伝わっていなければ求人内容を見直す、というように判断を分けます。地域の分析は、採用の難しさを確認するためではなく、どこを変えるかを決めるために行います。

長く働く社員に、入社と定着の理由を聞く

求人の訴求内容は、経営者の考えだけで作らず、社員の実感から確かめます。特に、長く働いている社員へのインタビューが手がかりになります。

聞きたいのは、次のようなことです。

  • 入社するとき、何が決め手になったのか
  • 今もこの会社で働き続けているのはなぜか
  • 働くなかで良いと感じる点と、気になっている点は何か

求人に使う強みは、立派な言葉を新しく作るのではなく、社員が実際に選んできた理由から拾います。 入社のきっかけと、長く働く理由が違うのであれば、両方を分けて整理します。

その内容を、自社サイトや求人原稿に反映します。社員一人の言葉をそのまま会社全体の特徴とせず、会社として実際に説明できる内容かを確かめながら言語化することが大切です。

媒体選定と高校訪問を、採りたい人に合わせて考える

募集経路は、伝える内容と採用対象が整理できてから選びます。有料媒体を再開するにしても、「以前より掲載先を増やす」ではなく、地域と対象者に合う経路かどうかが判断軸です。

高校生の採用も視野に入るのであれば、高校訪問も選択肢になります。実際に、高校訪問へ同行し、会社の魅力を伝える取り組みも行われていました。

ただし、高校訪問は、有料媒体で応募がなかった会社すべてに同じように当てはまる方法ではありません。まず、高校生を採用対象に含めるのかを決め、その人たちに自社の仕事や働く魅力を届ける経路として検討します。

媒体か高校訪問かを先に選ぶのではなく、誰を採りたいかに合わせて接点を選ぶことが基本です。

地元以外で採るなら、受注と維持費を一緒に見る

この会社のように地元以外にも仕事がある場合、受注地域での採用や拠点化は検討対象になります。ただし、「人が多い地域なら採れるはず」という理由だけで広げず、次の点を並べて判断します。

  • その地域に、どの程度の仕事があるのか
  • 採用後も仕事量を確保できる見通しがあるか
  • 想定する人件費を負担できるか
  • 拠点を置く場合、家賃などの維持費を含めて続けられるか

関東での採用を考える場合も、都心部だけでなく周辺地域を含めて比較する余地があります。ただし、周辺なら必ず費用を抑えられると決めず、候補地域ごとの条件を確認します。

「いい人がいたら拠点を作りたい」という構想を具体化するには、人材の確保と、その人が働く仕事量、会社が負担する費用を一組で見ることが欠かせません。地元の採用を見直すことと、受注地域での採用を考えることは、どちらか一方に急いで決めず、比較できる形に整理すると進めやすくなります。

まとめ

求人を出しても応募がないときは、媒体を増やす前に、地域・訴求内容・募集経路の3つを見直すことが出発点です。 応募がないという結果だけでは、地域の候補者が少ないのか、自社の特徴が伝わっていないのか、届け方が合っていないのかは分かれません。

まず地域の候補者と競合求人を確認し、次に長く働く社員から、入社した理由と働き続ける理由を聞きます。その内容をもとに求人を整え、媒体や高校訪問などの接点を選び直します。

地元以外にも受注があるなら、その地域での採用も選択肢です。ただし、人件費や拠点維持の負担まで含め、雇用を続けられる仕事量と合わせて判断します。

有料出稿を止めたところからでも、採用の進め方は整理できます。次に費用をかける前に、「誰に、何を伝え、どこで出会うのか」を具体的にすることが、採用活動を再び動かす一歩になります。

応募が来ない理由と、次に試す募集方法の整理

「地元で募集を続けるべきか」「求人内容から変えるべきか」「受注のある地域でも人を採れるのか」。自社だけでは判断しにくい段階でも、状況を並べてみることで、先に確かめることが見えてきます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場や組織の事情も踏まえて整理し、実行まで支援しています。採用では、地域の採用環境や社員の声をもとに、求人の訴求内容、募集経路、募集地域の見直しを一緒に進めます。

何から整理すべきかわからない段階でも、ご相談いただけます。 無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、まずは自社の採用状況を整理する機会としてお声がけください。

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