前提

月2〜3件の再販リフォームを1チームで回し、3チーム体制を目指す会社の現在地

千葉県内を中心に、再販物件のリフォームや原状回復工事を請け負う小規模な建設会社があります。1件あたりの工事金額は250万〜300万円前後。小規模工事も含め、月に2〜3件ほどの現場を動かしています。

代表は、もともと内装職人として独立した方です。現場監督の経験もあり、当初は自らクロス工事を仕上げていました。しかし、一式工事の依頼が増えたことで、現在は協力会社への発注と現場管理が中心になっています。

「電話だけで納まりを伝えると、最後に少しニュアンスが違って手直しになる。それなら現場に行ったほうが早いんです」

打ち合わせ、段取り、納まりの確認、手直しへの対応。現場数が増えるほど管理業務も増えるため、代表自身が職人に戻る余裕はありません。一方、施工をすべて外注すると利益が残りにくくなります。

そこで描いているのが、まずは協力会社による施工チームを現在の1チームから3チーム程度まで増やし、仕事量が安定してから自社職人を採用する流れです。

いきなり固定人件費を増やすのではなく、先に受注基盤をつくる。中小建設会社にとって、現実的な拡大の順序です。

課題

仕事を先に取っても協力会社を先に集めても関係が続かない難しさ

この会社が抱えているのは、営業不足だけでも、職人不足だけでもありません。案件と施工能力のどちらか一方を先に増やすと、もう一方とのバランスが崩れる課題です。

案件を先に増やせば、大工や解体業者が足りず、受け切れなくなります。発注元から10件を依頼されても、対応できるのが1〜2件では、残りを断らざるを得ません。一度「対応できます」と伝えた後に断れば、次の相談が来なくなる可能性もあります。

逆に、協力会社を先に集めても、すぐに渡せる現場がなければ関係は続きません。

「協力業者が来ても、現場がないとなると連絡がつかなくなります。次に声をかけても、もう別の現場に入っていることが多いんです」

協力会社も、空くかどうか分からない仕事を待ち続けることはできません。つながった直後に案件を渡せなければ、「それほど仕事がない会社なのだろう」と見られてしまいます。

そのため、営業と協力会社開拓に単純な優先順位はつけられません。新規営業と施工体制づくりは、同じ計画の中で並行して進める必要があります。

背景

既存業者を優先する配分と職種ごとの稼働差が新しいチームづくりを難しくする構造

案件数だけを見ていると、施工体制の不足は正確につかめません。フルリフォームでは、職種ごとに入場する時期と必要日数が違うからです。

この会社の場合、現場全体の工期は2カ月ほどでも、大工工事は2週間程度で終わります。月に1〜2件の受注であれば、1組の大工で間に合う時期があります。しかし、着工時期が重なれば、同じ1組では回せません。

つまり、必要なのは「協力会社が何社あるか」という総数ではなく、次のような職種別の施工能力です。

  • 大工がいつ、何現場に入れるか
  • 解体業者が着工日に合わせられるか
  • 内装や設備を含めた工程がつながるか
  • 再販物件の品質や納まりに対応できるか
  • 是正や手直しを増やさずに任せられるか

また、新しい協力会社とつながっても、実際の配分では付き合いの長い職人を優先しがちです。品質や対応力が分かっているため、これは自然な判断です。

ただし、既存業者だけに現場を割り当て続けると、新規業者には仕事を渡せません。次に連絡したときには予定が埋まり、関係が途切れます。

既存業者への安定発注を守りながら、新規業者に最初の現場を任せる枠を意図的につくらなければ、施工チームは増えていきません。

商圏の広げ方も同じです。この会社には県外からの依頼も来ていますが、現時点では受注を控えています。現地で継続的に動ける協力会社がいないまま受けると、2件目、3件目に対応できないためです。

「1件だけできても、その後に断るなら、最初から受けないほうがいいと思っています」

この判断は慎重すぎるのではなく、取引先からの信用を守るためのものです。新しいエリアへ進む前に、まず既存商圏で繰り返し受注できる施工体制を固めることが優先されます。

解決

受注見込みと職種別キャパシティを一枚で管理し、営業先と協力会社を同時に開拓する進め方

最初に整えたいのは、売上目標よりも、案件と施工能力を同じ時間軸で確認できる一覧です。

少なくとも、今後1〜2カ月の案件について、次の項目を一枚にまとめます。

  • 現場エリアと工事内容
  • 受注済み、見積提出済み、相談段階などの受注確度
  • 着工予定日と全体工期
  • 大工、解体、内装など職種別の入場時期
  • 必要な人数やチーム数
  • 既存業者の空き状況
  • 新規業者に任せられる工程や現場

見るべき数字は案件数だけではなく、「いつ、どの職種が、何チーム足りないか」です。

たとえば大工の不足が先に起きるなら、協力会社開拓は大工を優先します。一方、翌月の案件見込みが薄いなら、施工会社への声かけと同時に営業先への接触量も増やします。これにより、営業と施工体制を別々に動かさずに済みます。

営業先と協力会社の開拓条件も、同じ商圏・工事特性でそろえます。この会社であれば、まずは県内の再販物件や一式リフォームに絞る形です。

営業先は、会社規模だけで選ぶ必要はありません。継続的に現場が出るか、金額が合うか、現場管理や手直しの負担が過大にならないかを見ます。協力会社については、再販物件への対応経験、仕上がり、納まりへの理解、連絡の取りやすさを確認します。

次に必要なのが、新規業者へ初回案件を速やかに割り当てる仕組みです。協力会社を探し始める時点で、単に「今後お願いしたい」と伝えるだけでは足りません。

  • どの時期に案件が出る見込みか
  • どの職種、エリアを探しているか
  • 最初に任せる可能性がある工程は何か
  • 現地確認や見積もりをいつ行うか

こうした情報をあらかじめ伝え、受注が決まったらすぐに動ける状態をつくります。確定していない案件を約束する必要はありません。見込み段階で率直に共有し、次の連絡時期を決めておくことが大切です。

配分基準も決めておきます。すべてを均等に振り分けるのではなく、次の項目で判断します。

  • 現場の難易度と業者の得意分野が合っているか
  • 希望する工程日に入れるか
  • 品質、価格、連絡対応のバランスはどうか
  • 過去に是正や手直しがどの程度あったか
  • 今後も継続して組める可能性があるか

難易度が高い現場や重要な取引先は既存業者へ任せつつ、管理しやすい現場には新規業者の試行枠を設けます。施工後は品質や対応を記録し、次回の配分に反映します。

既存業者だけを優先するのでも、新規業者へ無理に仕事を回すのでもなく、現場との相性と継続性で配分することが施工チーム拡大の軸になります。

エリアを広げる判断も、依頼の有無だけでは決めません。複数件を継続して受けられる職種別キャパシティがあるか、管理に行ける範囲かを確認します。既存商圏で3チームが安定してから次のエリアを検討するほうが、信用と施工品質を保ちやすくなります。

まとめ

案件を増やしたいのに協力会社が足りない会社では、営業か施工体制のどちらか一方を先に進めても、うまくつながらないことがあります。

必要なのは、受注見込みと職種別キャパシティを同じ表で確認し、足りない案件と足りない施工チームを同時に埋めていく進め方です。

特に押さえておきたいのは、次の4点です。

  • 受注確度と職種別の稼働状況を可視化する
  • 営業先と協力会社を同じ商圏、工事特性で並行開拓する
  • 新規業者へ初回案件を速やかに割り当てる
  • 既存業者と新規業者への配分基準を決める

大きな売上目標がなくても、「毎日安定して仕事があり、頼まれた案件をきちんと施工できる状態」はつくれます。まずは次の1〜2カ月について、案件と大工・解体などの空き状況を並べるところから始めると、次に増やすべき営業先と協力会社が見えやすくなります。

案件と施工体制をどう増やすか、一緒に整理したい方へ

営業先と協力会社の同時開拓は、会社ごとに順序が変わります。工事内容、商圏、現在の職種別キャパシティ、既存業者との関係を整理したうえで、無理なく受けられる案件数を見極めることが出発点です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大や協力会社開拓を、現場体制や原価、採用まで横断して整理し、実行まで支援しています。「うちの場合は営業と協力会社のどちらから動かすべきか」「何から整理すればよいか分からない」という段階でも構いません。

無理にサービスをおすすめすることはありません。ものづくりに集中できる施工体制をつくるための次の整理先として、必要なときにお声がけください。

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