住宅改修で余った手すり材を、半年から1年を目安に売却している会社
埼玉県を中心に、東京近郊でもリフォームや新築工事を手がける、ある住宅改修会社の話です。個人宅のバリアフリー工事も多く、介護保険を利用した手すり設置に使う材料が余ることがあります。
同社は、もともと在庫をなるべく持たない方針です。それでも現場ごとの寸法や仕様の違いから、使い切れない材料は発生します。半年から1年ほど保管しても使う見込みがなければ、知人を通じて売却したり、値段が付かないものは引き取ってもらったりしていました。
「売れないものでも引き取ってもらえれば、処分費がかからないので助かります」
一方で、手すり材については別の難しさがありました。
「手すり工事をしている会社はそれほど多くありません。滞留在庫をどうはけさせるかが、常に課題です」
余剰建材の売却では、出品できるかどうかより、その資材を使う買い手が商圏内にいるかどうかが重要です。 とくに用途が限られる専門資材は、一般的な内装材と同じ基準では判断しにくくなります。
登録企業数が多くても、手すり材を買う会社が近くにいなければ売れない問題
建材マッチングサービスを比較するとき、最初に目に入りやすいのは登録企業数です。しかし、売却の可能性を判断する材料としては、登録数だけでは十分ではありません。
今回の会社が確認していたのも、単純な会員数だけではありませんでした。
「埼玉や東京の会社は、どのくらい登録していますか」
「出品している会社が内装屋なのか、どんな工事をしている会社なのかは分かりますか」
「今は、どのような商品が出ていますか」
これらはすべて、自社の資材と買い手の地域・業種・用途が合っているかを見極める質問です。
たとえば、登録企業が多くても、遠方の会社ばかりであれば、長尺の手すり材を直接引き渡すことは難しくなります。内装会社が中心のサービスでも、原状回復工事を主力とする会社と、個人宅のバリアフリー工事を行う会社では、必要とする資材が異なります。
また、登録企業が増えている途中のサービスでは、会員数と実際の取引量が一致しないこともあります。「登録されている」と「現在も商品を探している」は別の状態です。 出品前に、最近の出品数や成約状況まで確認する必要があります。
専門資材は価格よりも、買い手の業種と引き渡せる距離に左右される構造
手すり材のような専門資材は、誰にでも売れる商品ではありません。購入候補になるのは、個人宅の住宅改修、福祉施設の改修、バリアフリー工事などを扱う会社です。
つまり、全国の登録企業数が多くても、自社の施工エリア周辺に該当業種の会社が少なければ、売却にはつながりにくくなります。
さらに、建材には配送の問題があります。小さな部品であれば宅配便を使えますが、長尺物や重量物は送料が高くなり、梱包にも手間がかかります。購入者が見つかっても、送料を含めると新品を仕入れたほうが安いという状況になれば、取引は成立しません。
今回検討した仕組みでは、購入希望者が位置情報から近隣の出品を探し、チャットで条件を確認したうえで、配送または直接引き渡しを選べる形でした。こうした機能は建材売買と相性がありますが、機能があるだけで買い手が見つかるわけではありません。
専門資材の売却では、「誰が使うか」「どこまで運べるか」「現在その買い手が参加しているか」の3点がそろって、初めて取引の可能性が生まれます。
出品商品の傾向も重要です。内装材、シーリング材、洗面化粧台などが多く出品されていても、それだけで手すり材の需要があるとは限りません。現在の商品構成を見ると、そのサービスに集まっている会社の工種や利用目的を推測できます。
無料閲覧と小さなテスト出品で、地域・業種・取引状況を順番に確かめる進め方
余剰建材の売却先は、サービスの知名度だけで決めず、自社の資材が売れる条件を先に定めてから比較すると選びやすくなります。
まず、売りたい資材について次の情報を整理します。
- 品名と用途
- メーカーや型番
- 色、寸法、数量
- 未使用品か、開封済みか
- 保管状態
- 引き渡し可能な地域
- 配送できるサイズか
- いつまでに手放したいか
そのうえで、候補となるサービスを次の順番で確認します。
1.自社エリアに実働する買い手がいるか
全国の登録企業数ではなく、都道府県や近隣エリアまで絞った企業数を確認します。位置情報検索がある場合は、自社倉庫から無理なく直接引き渡せる範囲で検索してみます。
見るべきなのは登録数だけではありません。直近でログインや購入、問い合わせなどの動きがあるかも、可能な範囲で確認します。
総登録数より、自社から運べる範囲にいる買い手の数を見ることが先です。
2.参加企業の業種と工事内容が見えるか
会社プロフィールから、内装、設備、住宅改修、福祉施設改修などの業種を確認できるかを見ます。手すり材であれば、「建築会社がいるか」ではなく、バリアフリー工事や住宅改修を扱う会社がいるかまで確認したいところです。
プロフィールで分からなければ、運営会社に、対象業種の利用企業がどの程度いるかを聞く方法もあります。
3.実際の取引状況を確認できるか
サービス開始から日が浅い場合、登録企業がいても売買がまだ活発ではないことがあります。最近の成約件数、問い合わせの発生状況、売れやすいカテゴリーなどを確認します。
成約件数が公開されていない場合でも、出品日時や売り切れ表示、更新頻度を見れば、ある程度の動きは読み取れます。
会員数だけでなく、最近どの資材が動いたかを確認すると、利用実態が見えやすくなります。
4.出品商品の傾向が自社資材と近いか
無料で閲覧できる場合は、すぐに出品する前に商品一覧を見ます。自社と同じ資材がなくても、近い用途の商品があるか、その商品に問い合わせが付いているかを確認します。
手すり材なら、バリアフリー部材、住宅設備、福祉施設向け建材などの出品や購入者がいるかが判断材料になります。
5.配送と直接引き渡しの両方に対応できるか
建材は送料が取引の成否を左右します。次の点を確認しておくと、成約後の行き違いを減らせます。
- 出品時に配送と直接引き渡しを選べるか
- 送料を誰が負担するか
- 引き渡し場所をどこまで公開するか
- 購入前にチャットで日時や車両条件を相談できるか
- 長尺物や重量物を扱えるか
大型・長尺の建材では、近隣企業への直接引き渡しができるかどうかが、価格以上に重要になる場合があります。
確認後は、在庫を一度にすべて出すのではなく、代表的な資材を少量だけ出品します。閲覧数、問い合わせ内容、値下げ要望、引き渡し可能な地域を見れば、そのサービスとの相性を判断できます。
反応がなければ、価格だけを下げるのではなく、買い手となる業種がいないのか、地域が合わないのか、配送条件が厳しいのかを切り分けます。小さく試し、売れない理由を分解してから継続利用を決めることが、余計な出品作業を増やさない進め方です。
まとめ
余剰建材のマッチングサービスは、登録企業数だけで選ぶものではありません。とくに手すり材のような専門資材では、買い手の業種と地域が合うかどうかが取引を左右します。
確認したいポイントは次の5つです。
- 自社エリアに買い手がいるか
- 必要とする業種が参加しているか
- 実際に取引が動いているか
- 出品商品の傾向が自社資材と近いか
- 配送と直接引き渡しを使い分けられるか
売却先選びの軸は、サービス全体の大きさではなく、自社の資材と需要が具体的に重なるかどうかです。 無料閲覧が可能なら、まず買い手と出品傾向を確認し、少量のテスト出品から始めると判断しやすくなります。
自社の余剰建材に合う売却方法を整理したい方へ
余剰建材の処分方法は、資材の種類、保管期限、商圏、配送条件によって変わります。「どのサービスが合うのか」「売却と引き取りをどう使い分けるべきか」といった段階から整理することも可能です。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行を支援しています。建材マッチングサービスの活用を含め、ものづくりに集中できる運用を一緒に考えます。
まだ方針が決まっていない段階でも問題ありません。状況を伺ったうえで整理し、無理にサービスを勧めることはありません。