前提

神奈川県東部で余剰建材の売買を広げるなか、出品者に対して近隣の買い手が不足している状態

神奈川県東部を中心に、建設会社が余らせた資材を必要な事業者へつなぐ取り組みが進められていました。

約650件に電話をかけ、10件ほどの面談機会を得ています。なかでも反応がよかったのはリフォーム工事会社です。余剰資材を抱えやすく、売り手としてのニーズが見えやすい業種でした。

一方で、出品者の登録だけでは取引は生まれません。出品地点の近くに、その資材を必要とする職人や小規模事業者がいなければ、引き取りまで進まないためです。

「会員になってもらった会社の近隣エリアで、宣伝をしたいんです」

この言葉が示すように、余剰建材の売買では、利用者数の合計よりも地域内の需給が重要です。

余剰建材の取引は、広い地域で出品者を集めるより、出品地点の近くで売り手と買い手をそろえることが出発点になります。

課題

出品者だけを広域で増やしても、現場引き取りに来る買い手がいなければ取引が成立しない問題

建設資材は、一般的な小売商品とは物流条件が異なります。長尺物や重量物も多く、少量の余剰材を宅配便で送るより、買い手が現場や倉庫まで引き取りに行く取引になりやすいからです。

特に倉庫を持たない内装工事会社からは、次のような声が聞かれました。

「余った資材を現場まで取りに来てくれる人は、そう簡単には見つからないですよね」

「トラックに積んだままにしたり、事務所へ持ち帰ったりするのも手間なので、現場で捨てています」

出品作業ができたとしても、近隣に買い手がいなければ資材は動きません。掲載期間が長引けば、保管や移動の負担も残ります。売り手から見ると、「出品するより処分したほうが早い」という判断になりやすい状況です。

広い範囲から出品を集めれば、見かけ上の商品数は増えます。しかし、各地域に出品が点在し、買い手がそこまで移動できなければ成約にはつながりません。

見るべき数字は出品数だけではなく、出品地点から引き取り可能な範囲に買い手が何社いるかです。

背景

ボード類の劣化と運搬の手間が、余剰資材を遠方まで流通させにくくしている事情

商圏を一律に決めにくい理由は、資材ごとに運びやすさと保管可能な期間が異なるためです。

内装工事で使うボードや壁材は、保管場所を取り、状態も変化しやすい資材です。次の現場で使える保証もありません。現場が終わると、その場で処分されることがあります。

「ボードや壁の材料は劣化しやすいんです。次の現場で使うまで置いておくにも場所を取るので、現場で捨てるのは分かります」

これに対して、電線や配管などは、内装材と比べれば保管しやすく、次の現場へ回せる余地があります。倉庫を持つ会社であれば、いったん持ち帰って保管する選択もしやすくなります。

つまり、買い手を探せる範囲は資材によって変わります。

  • ボードや壁材など、かさばりやすく劣化しやすい資材は現場周辺
  • 電線や配管など、比較的保管しやすい資材は近隣市区まで
  • 運搬車両や保管場所を持つ会社が扱う資材は、やや広い範囲

また、売り手になりやすい会社と買い手になりやすい事業者も異なります。リフォーム工事会社には余剰材が出やすい一方、買い手として期待されるのは、一人親方や少人数の職人、小規模事業者です。

こうした事業者はホームページを持っていなかったり、メールを頻繁に確認していなかったりする場合があります。広域の案内を一斉に出すだけでは、出品地点の近くにいる買い手へ情報が届かないこともあります。

商圏は住所だけで決めず、資材の劣化速度、運搬のしやすさ、保管場所の有無を重ねて設定する必要があります。

解決

出品地点を起点に営業と地域広告を集中させ、同じエリア内で売り手と買い手を増やす進め方

最初から広域展開を目指すより、出品が発生した地域を一つの単位として、近隣の買い手を集める進め方が現実的です。

今回のケースでも、神奈川県東部の会社から出品が確認された後、その周辺地域を中心に電話での案内を進める方針が取られました。SNS広告についても、広範囲へ一度に配信するのではなく、出品者がいる地域へ絞る考え方です。

具体的には、次の順序で進めます。

  1. 出品地点と資材の種類を確認する
  2. 現場引き取りが可能な範囲を仮決めする
  3. その範囲にいる職人や小規模事業者へ電話で案内する
  4. 同じ地域にSNS広告を配信する
  5. 問い合わせや引き取り実績を見ながら対象範囲を調整する

重要なのは、商圏を都道府県単位で固定しないことです。同じ県内でも、重量物を引き取りに行くには遠い場合があります。反対に、交通条件がよく、保管しやすい資材であれば、市区をまたいでも取引できる可能性があります。

商圏を決める際は、少なくとも以下を確認すると整理しやすくなります。

  • 資材を普通車や小型トラックで運べるか
  • 積み込みに人手や設備が必要か
  • 雨や湿気による劣化が早いか
  • 出品場所で何日程度保管できるか
  • 買い手が引き取りに行く価値のある量か

売り手と買い手を増やす順序にも工夫が必要です。売り手だけを先に大量に集めるのではなく、出品が出た地域ごとに買い手の開拓を重ねます。そのうえで、一定の取引可能性が見えた隣接地域へ広げます。

「出品者を集めてから買い手を探す」のではなく、「一つの出品を起点に、その近隣で買い手を増やす」小さな商圏づくりが有効です。

まとめ

余剰建材の売買では、登録社数や出品数を広く増やすだけでは十分ではありません。資材の多くは配送より現場・倉庫での引き取りに向いており、売り手と買い手の距離が取引の成否を左右します。

ボード類のように劣化しやすく場所を取る資材は、特に狭い商圏が向いています。電線や配管など、比較的保管しやすい資材は、引き取り可能な範囲を少し広げられます。

出品が確認できたら、その地点を中心に電話や地域広告を集中させます。近隣で買い手を増やし、取引の動きを確認してから隣接地域へ広げる流れです。

余剰建材の商圏づくりでは、広さよりも、同じ地域内で売り手と買い手が出会える密度を優先することが大切です。

自社の資材と地域に合う商圏を整理したい方へ

扱う資材や保管環境によって、適切な商圏は変わります。「自社の場合はどこまでを近隣と考えるべきか」「営業と地域広告をどこへ集中させるべきか」と迷うこともあると思います。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、販路、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。まだ方針が固まっておらず、何から整理すべきか分からない段階でも構いません。状況を伺いながら、無理に営業を進めることなく、次の整理先を一緒に考えます。

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