社員大工の採用を進めながら、協力職人とのつながりも求める建設会社
大工を確保したいとき、社員として迎えたい人と、工事を依頼したい協力職人を分けて考えると、募集の選択肢が広がります。
神奈川県にある建設会社では、新築工事などを担う大工の確保に取り組んでいました。社員大工や見習いの募集を続け、有料掲載に切り替えてからは、ウェブだけでなく電話でも応募が入り始めていました。
ただ、応募が増えたことと、必要な施工体制が整うことは別です。経験や希望を確かめながら、面接の日程を調整している段階でした。
そこで選択肢に上がったのが、社員採用と並行して、業務委託で工事を担う協力職人を募る方法です。会社側からは「本来は、こっちをやりたいんです」という言葉もありました。一方で、社員として確保したい仕事もあります。
社員採用をやめる話ではありません。担ってほしい仕事に合わせて、社員採用と協力職人の募集を並行して進める考え方です。
社員向けの求人だけでは届きにくい、協力職人という募集相手
協力職人との接点を増やすには、社員向け求人とは別に「どんな工事を、どこで、どれくらい継続して頼めるか」を伝える必要があります。
この会社では、社員採用の反応が見え始めたところで、協力職人向けの募集内容をどう作るかが具体的な課題になりました。
社員として働きたい人に向けた情報と、工事を請けたい職人に向けた情報は、同じではありません。協力職人が知りたいのは、自分の経験に合う工事か、現場に通えるか、次の仕事につながる見込みがあるか、といった判断材料です。
ところが、募集を作ろうとすると「大工募集」という言葉は出てきても、過去の施工実績や現場ごとの工期まで、すぐには整理しきれないことがあります。この会社でも、他社の募集例を見ながら、自社なら何を載せられるかを確かめていきました。
必要なのは、募集の対象をただ広げることではありません。社員を希望する人にも、協力先を探す職人にも、それぞれが判断できる情報を届けることです。
リフォーム会社の募集例を、新築工事にそのまま使えない事情
他社の募集で反応があっても、施工領域や一現場の工期が違えば、そのまま自社には当てはまりません。
参考にしたのは、協力大工の募集に複数の反応があった別の建設会社の掲載例でした。そこには、月間の工事件数や、一日の仕事の流れなどが載っていました。
ただ、その内容を確認すると、会社側から「これはリフォームですよね」という指摘がありました。件数の示し方も、仕事の流れも、新築工事を依頼する自社の実態とは違っていたのです。
自社については、「一現場がだいたい数週間で、その後も続けて仕事がある」という趣旨の説明が出ていました。短い工事を何件も回る仕事と、一つの現場を数週間かけて進める仕事では、同じ月間件数でも意味が変わります。
ここに、募集内容を作るうえでの大事な違いがあります。「仕事が多い」という表現よりも、工事内容・件数・工期を組み合わせた説明のほうが、自分が入れる仕事かどうかを判断しやすくなります。
他社の原稿は、載せる項目を知る参考になります。ただし、件数や一日の流れまで借りるのではなく、自社の仕事に置き換える必要があります。
自社の施工実績と工期を整理し、協力職人向けに小さく公開
まずは依頼したい仕事を分け、実績と今後の見通しを整理したうえで、費用をかけずに掲載できる方法から試す進め方が考えられます。
この会社でも、参考原稿を自社向けに修正し、無料掲載から始めて反応を確認する方針になりました。最初から大きく募集するのではなく、自社に合う内容を作ることが出発点です。
社員として担ってほしい仕事と、協力職人に依頼したい仕事を分ける
募集文を書く前に、どの仕事を社員として担ってほしいのか、どの工事なら協力職人に依頼したいのかを確認します。
この会社にも、社員として確保したい仕事がある一方、協力職人との関係を増やしたい意向がありました。どちらか一方に決めるのではなく、募集する仕事ごとに相手を分ける整理です。
判断の起点は「社員が採れないから委託にする」ではなく、「この仕事を、どのような関わり方で担ってほしいか」です。 ここが決まると、社員採用を続ける対象と、協力職人向けに別途募集する対象が明確になります。
職人が判断できる五つの情報をそろえる
協力職人向けの募集では、次の情報を自社の実態に沿って整理します。
- 過去の施工実績:前年度など、期間を明らかにした工事の実績
- 継続的な仕事の見通し:今後どの程度の工事を見込んでいるか
- 現場エリア:どの地域の現場を依頼するのか
- 工事内容:新築かリフォームか、どのような大工工事を担ってほしいか
- 現場ごとの工期:一現場にどれくらいの期間を要する仕事か
過去の実績と、これからの見通しは分けて書きます。実績があることと、将来の仕事が確定していることは同じではないためです。
また、月間件数だけでは伝わりにくい場合は、一現場の工期も添えます。この会社のように、数週間単位で現場が続くのであれば、その仕事のまとまりを伝えることが判断材料になります。
件数を大きく見せるより、職人が自分の仕事の予定と照らし合わせられる内容にすることが重要です。
他社の原稿は項目だけ参考にし、現場を知る人が確認する
参考原稿は、自社と違う部分を直して使います。とくに、工事件数、一現場の工期、一日の流れは確認したい箇所です。
実際のやり取りでも、掲載例の仕事の流れに対し、現場を知る担当者から違いが指摘されていました。原稿が整っているかだけでなく、「うちの現場を表しているか」を確かめる視点が役立ちます。
公開後は、反応の数と中身を確認する
内容がまとまったら、無料掲載など小さく始められる方法で公開します。そのうえで、どのような経験の職人から連絡があったか、依頼したい工事と合うかを確認します。
電話で連絡が来ることもあるため、ウェブ上の応募だけで判断しないことも大切です。連絡を受けた際に、何を見て問い合わせたのかを聞いておけば、接点が生まれた経路も把握できます。
有料で掲載を広げるかどうかは、反応の数だけでなく、依頼したい仕事に合う接点が生まれているかを見て決めます。 反応が少ない場合も、すぐに費用を増やすのではなく、工事内容やエリア、継続性が十分に伝わっているかを見直す順番が考えられます。
まとめ
大工の確保は、社員採用を続けながら、協力職人に向けた募集を別に設けることで、接点を増やせる可能性があります。
そのために整理したいのは、依頼する工事内容、過去の施工実績、今後の仕事の見通し、現場エリア、現場ごとの工期です。新築とリフォームでは仕事のまとまりが違うため、他社の募集例は自社の実態に置き換えて使います。
まずは、社員として担ってほしい仕事と、協力職人に依頼したい仕事を分けること。そのうえで募集内容を小さく公開し、反応を見ながら整えていくことが、次の一手になります。
社員大工と協力職人、募集の分け方を整理したいときに
「うちの場合、どの仕事を社員採用で考え、どの工事を協力職人に依頼するか」という段階から整理できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。大工の確保についても、自社の工事内容や施工実績を踏まえ、誰に何を伝える募集にするかを一緒に考えます。
何から整理すればよいかわからない段階でも、ご相談いただけます。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、自社の募集の進め方を考える機会として、お気軽にお声がけください。