社長を含め6名で、首都圏の倉庫や店舗の塗装を担う会社
既存の取引先から工事を受けられていても、受注をさらに増やすには協力会社の力が必要な状態です。 首都圏で塗装工事を手がけるある会社では、社長を含め6名の体制で、倉庫、集合住宅、店舗などの施工に対応しています。
一般住宅の塗り替えだけでなく、法人向けの工事が事業の中心です。建設会社から一次請けで受ける工事もあれば、店舗関連の工事会社を通じて依頼される塗装もあります。幅広い建物に対応でき、色や仕上げに細かな要求がある店舗の施工にも強みがあります。
一方で、複数の取引先があっても、工事量は一定ではありません。年によって発注の構成が変わり、長雨などで施工が進まない時期もあります。自社の職人を増やしたいと考えても、その後の仕事を継続して確保できるかが気になります。
この会社が求めていたのは、単に職人の人数を増やすことではありません。受注の変動に対応しながら、必要な現場を任せられる施工体制を広げることでした。
工事を増やすために必要な協力会社が、現場の入場要件で限られる状況
協力会社探しの条件は、塗装ができることに加え、依頼する現場に入場できることです。 この会社では、今の体制のまま工事量を増やすのは難しく、新たな協力会社との接点が必要になっていました。
特に建設会社から受ける工事では、施工する職人の資格や技能者情報の登録状況など、現場側から確認を求められる項目があります。相談では、建設キャリアアップシステムへの登録や、顔写真を使った入場時の確認についても話が出ていました。
ただし、ここは分けて整理したいところです。資格を持っていることと、建設キャリアアップシステムなどに情報を登録していることは、同じではありません。また、ある登録に対応していれば、どの現場でも入場できると決まるわけでもありません。
必要なのは、発注元や現場ごとの条件に照らした確認です。施工力があっても必要な登録に対応できなければ、その現場は依頼しにくくなります。反対に、登録が済んでいても、求める仕上げや工事内容に対応できるか、必要な時期に動けるかは別に確かめる必要があります。
候補の会社数ではなく、「入場要件・対応工事・稼働余力」が合う協力会社を増やすことが、受注拡大につながります。
受注の波で採用に踏み切れず、横のつながりを広げる時間も不足
社員を増やしにくい事情と、協力会社を探す時間の不足が重なり、施工体制の拡大が進みにくくなっています。 人手が必要だと分かっていても、採用や紹介依頼を増やせば解決する、という状況ではありませんでした。
社員の増員については、数年先まで継続的な仕事が見通せるなら検討できる、という考えがありました。しかし実際には、発注量や天候による波があります。忙しい時期だけを基準に人数を増やすことには、慎重になります。
一方、協力会社を増やす方法として考えていたのは、既存の協力会社や職人同士の横のつながりです。信頼できる相手から紹介してもらう方法は取り組みやすいものの、社長自身が時間を割いて関係を広げる必要があります。食事会などで接点をつくる考えもありましたが、多忙ななかで十分には進められていませんでした。
ここには、仕事がなければ協力会社に具体的な依頼をしにくく、協力会社がいなければ仕事を増やしにくい、という関係があります。さらに、必要な資格や登録に対応する会社を探すとなると、確認する手間もかかります。
受注を確定してから協力会社を探すか、施工体制を完成させてから受注を増やすかの二択では、動きにくさが残ります。 受注の見込みと施工できる余力を、並行して確かめる進め方が必要です。
発注元の入場要件を起点に、受注見込みと協力会社の施工余力を並行して確認
先に整理するのは、増やしたい工事に必要な条件です。その条件を共通の確認軸にして、協力会社探しと受注拡大を進めます。 この相談では、倉庫や集合住宅、店舗関連の工事を伸ばしたい意向がありました。どの領域を増やすかによって、探す相手に求める施工内容や入場対応も変わります。
資格と登録を分け、発注元に確認する条件をそろえる
まず、増やしたい工事について、発注元が求める条件を整理します。「大手の現場に対応できる会社」といった括りでは、紹介を頼む相手も候補を絞りにくくなります。
確認項目は、次のように分けると扱いやすくなります。
- 資格の条件:その工事で、どのような資格の保有を求められるか
- 登録・入場の条件:技能者情報の登録や入場管理への対応として、何が必要か
- 施工の条件:依頼する建物や塗装、仕上げに対応できるか
- 稼働の条件:必要な時期に、どの程度の施工余力があるか
資格や登録の具体的な要件は、発注元に確認します。既存の現場で求められている対応を、そのまますべての現場に共通する条件として扱わないことも大切です。
候補先についても、「登録済み」という回答だけで判断せず、依頼予定の現場が求める範囲に対応しているかを確認します。資格の有無、登録状況、施工できる内容、動ける時期を分けて把握することが、候補を絞る土台になります。
既存協力会社への紹介依頼と、候補先への直接の開拓を使い分ける
横のつながりを使う場合は、探している条件を具体的に伝えることから始めます。塗装会社を広く紹介してもらうのではなく、対応してほしい工事と必要な入場条件を共有すれば、紹介先との認識をそろえやすくなります。
また、関係を広げる方法を食事会などの機会だけに限る必要はありません。まず既存の協力会社に条件を伝えて、該当する会社との接点を確認するところから進められます。
既存のつながりだけで候補が見つからない場合は、条件に合いそうな会社を絞り、電話や問い合わせフォームなどで直接接点をつくる方法もあります。社長の時間が限られるなら、候補の抽出や最初の連絡に外部の支援を使うことも選択肢です。
その際も、接点をつくった件数だけで進捗を判断するのではなく、依頼予定の工事に合う会社が見つかったかを見ます。費用や社内で対応できる時間も踏まえ、無理なく続けられる範囲を決めたいところです。
受注が決まる前から接点を持ち、具体化した段階で稼働を照合する
協力会社との接点づくりと、工事を依頼できる状態の確認は分けて考えます。 仕事がまだ確定していない段階でも、対応工事や登録状況を確認し、候補との関係をつくることはできます。ただし、接点ができたことを、必要な時期の人手が確保できたことと同じには扱いません。
受注の見込みが具体化してきたら、工事内容と時期をもとに、自社の施工余力と候補先の稼働余力を照合します。依頼したい現場の入場要件も、この段階で改めて確認します。
販路開拓も同じ見通しに合わせます。施工体制が足りないからと接点づくりを止めるのではなく、増えそうな工事に対して、どの部分を自社で担い、どの部分に協力会社が必要なのかを並行して整理する進め方です。
採用は、一時的な忙しさではなく継続する工事量を基準に考える
社員を増やす判断は、協力会社開拓とは分けて置きます。この会社が慎重だった理由は、人を増やしたくないからではなく、受注の波があるからでした。
協力会社との体制を広げながら、継続して受けられる工事がどの程度あるかを確認します。そのうえで、自社で継続的に担う仕事が見えてきた段階で、採用を検討する順序が考えられます。
協力会社は受注変動への対応、採用は継続的に担う仕事への備えとして考えると、増員の判断を整理しやすくなります。 忙しい時期の不足人数だけでなく、その仕事が今後も続く見通しを判断軸にします。
まとめ
協力会社を増やす出発点は、会社探しそのものではなく、増やしたい工事と現場の入場要件を明らかにすることです。 資格保有と情報登録を分け、対応できる工事と稼働余力まで確認することで、実際の依頼につながる候補を絞れます。
既存協力会社のつながりを活かしつつ、必要に応じて直接の開拓も組み合わせます。社長が多忙な場合ほど、先に確認条件をそろえておくことが、限られた時間で進める助けになります。
受注の見込みと施工余力は並行して確認し、継続する工事量が見えてから採用を考えます。受注か人手か、どちらか一方を先に完成させようとするより、両方の見通しを合わせながら広げていく進め方です。
協力会社探しを、増やしたい工事の整理から
どの工事を増やしたいのか、そのためにどの条件の協力会社が必要なのかを整理するところから、ご相談いただけます。 「今の協力会社だけで足りるのか」「採用より先に外部の施工体制を広げるべきか」といった段階でも構いません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社開拓についても、受注の見込みや社内の施工体制と合わせて、取り組む順序を考えます。
無理な営業は行いません。現在の工事量や使える時間、ご予算も踏まえ、うちの場合は何から始めるとよいかを一緒に整理します。