前提

住宅改修を担い、大工を中心に少人数の協力業者を増やす建設会社

協力業者を増やす目的は、連絡先を集めることではなく、案件ごとに必要な職人が集まり、施工を進められる体制をつくることです。

兵庫県の都市部を拠点に、住宅の改修工事などを請け負う、ある小規模な建設会社では、大工を最優先に協力業者とのつながりを広げていました。自社が建築一式を請け負い、大工、電気、水道、塗装などの専門工種を手配・調整する立場です。

求めていたのは、工事全体を一括で任せる会社だけではありません。一人親方や、数人で活動する事業者と直接関係を築き、工事の内容に合わせてチームを組む考え方でした。

「一番欲しいのは大工さんです。ただ、電気、水道、左官、塗装、屋根、内装まで、建物に関わる業者さんは必要になります」

協力業者を探せるサービスなどを通じて問い合わせは日々届き、つながる相手の数も増えていました。一方で、複数の現場を並行して進めるためには、その人数をどう施工体制に結びつけるかを考える必要がありました。

ここで分けておきたいのは、仕事を依頼してくれる発注元と、施工を担う協力業者です。同社が増やしたいのは両方ですが、施工体制を考える際の中心は、後者の職人・専門工事事業者との関係です。

まず、どんな会社か知りたい方へ

会社紹介資料

何をしている会社で、どんなご支援をしてきたのかを1つにまとめています。

会社紹介資料 1ページ
課題

協力業者の数が増えても、必要な工程に入れる職人が揃うとは限らない状況

「何社とつながっているか」と「必要な時期に何現場を動かせるか」は、別の数字です。

同社では、将来的に十件近い現場を並行して動かすことを視野に入れていました。改修工事では、一つの現場にも十前後の工種・事業者が関わるという感覚があります。そこから必要な協力業者の規模を考えていましたが、単純に現場数と業者数を掛け合わせればよいわけではありません。

「一人、二人でやっている方は、今の現場が終わらないと、次には入れませんので」

少人数の事業者の場合、複数現場への同時対応が難しいことがあります。同じ大工でも、すぐに入れる人と、現在の工事を終えてからでなければ動けない人がいます。電気や水道の協力業者が増えていても、大工が必要な工程で手配できなければ、予定どおりに現場を進める体制にはなりません。

さらに、対応できる仕事と、積極的に受けたい仕事も同じとは限りません。

「こういう部分は得意だけれど、こういった仕事はあまり受けたくないんだな、ということも、付き合う中で徐々に見えてきます」

登録上は同じ工種でも、経験や得意分野、希望する仕事には違いがあります。つまり、協力業者が足りるかどうかは、総数ではなく、必要な工種・工程と、各社の稼働時期・得意分野が合うかどうかで判断する必要があります。

背景

一人親方の得意分野や動ける時期は、継続した付き合いの中で見えるもの

少人数の協力業者との施工体制は、一度集めて完成するものではなく、仕事を通じて互いの理解を深めながら育てていくものです。

同社が一人親方や少人数の事業者との関係を重視していた背景には、実際に施工を担う職人との距離を近くしたいという考えがありました。組織として工事を受ける会社でも、その先では少人数の職人が施工している場合があります。それなら、自社が手配・調整を担い、職人と直接協力できる関係を広げたいという発想です。

「同じ組織に属していなくてもいいんです。うちで手配するわけですから」

電気工事であれば、少人数の事業者が複数組協力することで、まとまった人数の施工チームをつくれると考えていました。ただし、これは人数を足せば自動的に成立する話ではありません。それぞれが動ける時期を合わせ、自社が調整することが前提になります。

また、各社には自社の仕事や取引先の事情があります。付き合いが密になる時期もあれば、そうでない時期もあるため、特定の相手がいつでも対応できるとは考えていませんでした。

「業者さんがいっぱいいるから、もういいです、という穴埋め的な考え方はしていません」

この言葉には、協力業者を単なる欠員補充の相手として見ていない姿勢が表れています。関係を続ける中で得意な仕事を知り、相手に合う仕事を頼めるようになることが、施工体制の実質的な厚みにつながります。

もう一つの背景は、職人が継続して働ける仕事の必要性です。改修工事を増やしたくても、案件ごとに条件が異なる仕事だけでは、集まった大工の経験や希望に十分合わない場合があります。同社が仕様や施工ルールの揃った新築工事も受けたいと考えていたのは、大工と継続的に協力できる機会を用意するためでした。

解決

大工を優先し、工種・工程と働ける機会を合わせたチームづくり

施工体制づくりは、「不足する工種を見極める」「各社が入れる工程を確かめる」「継続して頼める仕事を用意する」を、つなげて進めることが大切です。

同社の考え方から見えてくるのは、協力業者の募集を止めるのではなく、集め方と組み方を具体化する方向です。

大工を優先しながら、建物全体に必要な工種を整理する

優先順位をつける際は、協力業者の総数よりも、予定する工事で不足する工種を見ます。同社では大工が最優先でしたが、建築一式を請け負う以上、大工だけで工事は完結しません。

電気、水道、ガス、左官、塗装、屋根・板金、クロス、タイル、サッシ、畳・襖まで、工事内容に応じた専門工種が必要です。まず自社が受ける工事に照らし、どの工種との関係を厚くしたいのかを分けて考えると、募集の優先順位が明確になります。

相手を選ぶときも、法人か個人か、建築一式の許可があるかだけでは判断しきれません。同社も、一人で活動しながら建築一式の許可を持つ事業者を、一律に対象外にする考えではありませんでした。確認したいのは会社の看板よりも、実際にどの専門工事を、何人で担える相手なのかです。

必要な協力業者数を、現場数ではなく工程から考える

必要数を考えるには、現場の予定と各社の対応条件を重ねる必要があります。整理する観点は、次のようになります。

  • その工事には、どの工種が必要になるか
  • 各工種に、いつ入ってもらう必要があるか
  • 現在の現場が終わるまで動けないか、掛け持ちが可能か
  • 得意な工事と、受けたい工事が合っているか
  • 自社の施工エリアで継続して対応できるか

掛け持ちできる相手が多ければ、同じ協力業者と複数現場を進められる余地があります。一方、一つの現場を終えるまで次に移れない相手が中心なら、工程が重なる分だけ別のチームとの関係が必要になります。

したがって、目標とする協力業者数は、最初から固定するよりも、予定する工事と相手の動き方に照らして見直すほうが実態に合います。「何社いれば足りるか」より先に、「どの工程で、誰の手が重なるか」を確かめることが出発点です。

少人数の事業者を組み合わせ、自社が手配・調整を担う

少人数の協力業者を中心にする場合は、自社が工種をまたいで手配・調整する役割を持つことが前提です。同社のように、同じ組織に所属していない職人同士でも、案件に合わせて協力する形は考えられます。

ただし、常に少人数の事業者だけで組むことを目的にする必要はありません。同社も、大きな案件では、組織として対応できる工事会社の力が必要な場面を認めていました。

判断軸は、会社の大小ではなく、工事内容に対して必要な人数と時期を揃え、自社で調整できるかどうかです。日常的な工事では少人数の相手との関係を生かし、案件によっては組織力のある会社にも協力を求める、という考え方です。

経験に合う新築工事も、継続して協力できる機会として考える

大工との関係を続けるには、人数を集めるだけでなく、経験に合う仕事を用意できるかも重要です。同社は、仕様や管理上のルールが一定程度揃った住宅の新築工事に、その役割を見ていました。

「単価は低くても、手が慣れて効率を見込みやすい、という意味ではいいかなと思っています」

これは、新築なら誰でもできる、という意味ではありません。工場加工された部材を使う工事や、ボード張りなど担当範囲が明確な仕事と、和室の造作など高い技能が求められる仕事では、合う職人が異なります。工事の仕様と必要な経験を確かめ、無理なく担当できる仕事を組み合わせることが要点です。

また、仕事量を用意するために、一社から大量に受注する考えでもありませんでした。「一社への依存度が高くなるのは避けたい」と、発注元を分散する意向も示しています。

新築工事の受注は、単純な売上拡大ではなく、協力する大工が継続して働ける機会をつくる選択肢として考えられます。 単価だけでなく、仕事の進めやすさや職人の経験との相性も含めて判断することが大切です。

まとめ

現場を回せる施工体制の厚みは、協力業者の総数ではなく、必要な工種・工程に合う相手と、継続して協力できる関係がどれだけあるかで決まります。

大工を優先して増やしつつ、建物全体に必要な専門工種を整理する。そのうえで、各社の稼働時期や掛け持ちの可否、得意分野を確かめ、自社が手配・調整を担って案件ごとにチームを組む。この順序で考えると、次に増やしたい相手が具体的になります。

相手を知るには、実際の付き合いも必要です。募集を続けることと、すでにつながった職人への理解を深めることは、どちらか一方ではありません。経験に合う新築工事など、継続して頼める仕事も合わせて考えることで、連絡先のつながりを施工体制へ育てていけます。

自社に必要な大工・専門工種と施工体制の整理

「協力業者をもっと増やすべきか、今いる相手との組み方を見直すべきか」という段階から、整理を始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力業者との体制づくりでも、予定する工事、足りない工種、自社が担う手配・調整、継続して用意したい仕事をつなげて考えます。

「うちの場合は何から整理すればよいか」というご相談でも構いません。無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、自社の次の一手を考える整理先としてご相談ください。

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