月80棟ほどの住宅施工をさらに増やすための協力会社拡充
施工棟数を増やすには、協力会社との接点づくりだけでなく、新しく入る会社を現場で支える体制も必要です。 その両方をどう組み合わせるかが、ある住宅会社の相談の中心にありました。
同社は関東で住宅を供給しており、千葉県内の担当エリアでは月80棟ほどの施工を、月110棟程度まで伸ばしたいと考えていました。新築工事は工種ごとに分離して発注しており、なかでも電気・給排水を担う協力会社を増やしたい状況です。所在地と棟数は、特定を避けるため一部調整しています。
協力会社の開拓担当者は、建設業向けのマッチングサービスなどを使い、すでに候補先への働きかけを進めていました。建売住宅の施工経験がある会社には広く門戸を開き、可能性があれば話を聞く方針です。
一方で、新しく出会う会社が、最初から自社の施工水準に完全に合うとは限りません。担当者は、その点を次のように捉えていました。
「棟数を伸ばしたいエリアでは、最初の品質を整えることは先行投資だと思っています」
これは、品質を問わず受け入れるという話ではありません。受け入れ時点で確保する水準と、受け入れ後に現場で改善する部分を分けて考える姿勢です。
協力会社を増やす判断と施工品質を守る判断の両立
新しい協力会社を受け入れる際は、「自社と完全に同じ施工ができるか」だけでなく、「何が満たされれば一緒に改善していけるか」を判断する必要があります。 最初から完全な一致を求めれば候補は狭まりますが、受け入れ条件を曖昧にしたまま増やすと、現場で何を直すべきかが見えにくくなります。
担当者の発言には、受け入れを考えるうえでの三つの軸がありました。
- 大きな漏水事故など、重大な不具合を防ぐための施工ができること
- 最低限必要な施工水準を満たしていること
- 何かあったときに、きちんと報告してくれること
「ある程度、最低限はやってくれる。何かあったときも、ちゃんと報告してくれる会社であれば」という言葉からは、仕上がりだけでなく、不具合に向き合う姿勢まで見ていることがわかります。
ここで分けておきたいのは、報告を受けて現場で改善できる施工上の差と、安心して仕事を任せる前提そのものに関わる問題は、同じ扱いにしないことです。
たとえば、報告があることを理由に、重大事故につながる施工を容認するわけではありません。また、「最低限」の意味が開拓担当者と現場監督で違えば、受け入れた後に認識のずれが生まれます。協力会社を増やす判断には、どこから先は現場フォローで対応するのかという、社内の共通認識が欠かせません。
初期の品質改善を担う現場監督と関係をつなぐ開拓担当者
同社が受け入れの間口を広げていた背景には、現場監督が品質を改善し、開拓担当者も関係調整を続けるという考えがありました。 新しい会社を現場に紹介したところで、開拓担当者の役割が終わるわけではありません。
担当者は、受け入れ後の品質について「それを良くするのが現場監督の仕事だと思っています」と話していました。同時に、自分の役割についても、次のように述べています。
「監督とより良い関係を続けるために、間を取り持つことは必ずします」
この二つは、セットで捉える必要があります。監督による施工面の働きかけだけでなく、その働きかけが協力会社に伝わり、関係が続くように開拓担当者も支えるという構造です。
候補先を選ぶ際には、建売住宅の施工経験や、同じような住宅会社との取引実績も確認していました。仕事の進め方が近い会社を探すことは、受け入れ後のすり合わせを考えるうえでの手がかりになります。ただし、取引実績があることと、自社の現場で求める水準を満たせることは別です。
過去の施工実績は候補を見つける材料であり、受け入れ基準や現場フォローの代わりにはなりません。 実績を入り口にしながら、実際に任せる工種と必要な施工水準を照らし合わせることが大切です。
譲れない受け入れ基準と監督・開拓担当者のフォローの切り分け
協力会社を育てながら施工体制を広げるには、受け入れ基準、改善する範囲、支える役割を一緒に整理します。 「最初は多めに見る」という方針だけで進めず、何を許容し、何を許容しないのかを明確にすることが出発点です。
重大事故の防止・最低限の施工・報告姿勢を受け入れの軸にする
まず、開拓担当者と現場監督の間で、前述の三つの軸を確認します。特に「最低限の施工水準」は、言葉だけで共有したつもりにならず、任せたい工種に照らして認識をそろえたい部分です。
電気と給排水では、確認すべき施工内容が異なります。担当者が挙げた大きな漏水事故も、給排水工事を任せるうえでの具体的な懸念でした。すべてを一律に「多少の品質差」とまとめるのではなく、重大事故の防止に関わる部分と、監督の働きかけによって自社の水準に近づける部分を分けて考えます。
また、不具合が起きた際の報告姿勢も、施工能力とは別の軸として扱います。不具合を把握できてこそ改善に向き合えるため、報告してくれることは、受け入れ後の育成を成立させる前提です。
この整理によって、受け入れの判断を「経験があるから大丈夫」「人手が必要だから仕方ない」という印象だけに寄せずに済みます。
現場で改善する事項と、それを担える範囲を確認する
次に、受け入れ基準を満たす候補について、現場で何を改善する必要があるかを整理します。大切なのは、改善できる部分があること自体を不採用の理由にするのでも、監督に任せれば何とかなると考えるのでもないことです。
判断の軸は、必要な品質改善に対して、現場監督が実際にフォローできるかどうかです。同じ施工上の差であっても、フォローを前提に受け入れられる場合と、その体制を整えてから受け入れる場合があります。
同社の「初期の品質改善は先行投資」という考え方も、現場で支えることが前提です。新しい協力会社の数だけでなく、受け入れた会社に向き合える範囲を見ながら進めることで、品質を無条件に妥協せずに間口を広げられます。
開拓担当者も監督と協力会社の関係を支え続ける
受け入れ後は、施工の改善を担う監督と、関係を調整する開拓担当者の役割を分けつつ、つながりを保ちます。
監督には、現場で必要な施工水準に近づける役割があります。一方、開拓担当者には、監督と協力会社がより良い関係を続けられるよう、間を取り持つ役割があります。どちらか一方に寄せるのではなく、施工面と関係面の両方から支える形です。
その際、関係を保つために必要な品質要求を曖昧にしないことも大切です。開拓担当者が間に入る目的は、指摘をなくすことではなく、必要な改善に向き合える関係をつなぐことです。
受け入れを考えるときは、次の順に整理すると、自社の状況に当てはめやすくなります。
- 任せたい工種について、重大事故の防止と最低限の施工水準を確認する
- 不具合があった際に、きちんと報告し合える相手かを確認する
- 受け入れ後に改善する事項と、監督がフォローできる範囲を整理する
- 開拓担当者が受け入れ後も関係調整を担うことを共有する
新しい協力会社を探すことと、受け入れ体制を整えることを別々にせず、同じ取り組みとして進めることが要点です。
まとめ
協力会社を増やす際の品質不安は、受け入れ時に譲れない事項と、受け入れ後に改善する事項を分けることで整理できます。
今回の相談では、大きな漏水事故などの防止、最低限の施工水準、不具合があった際の報告姿勢が、受け入れ判断の軸になっていました。そのうえで、現場監督が品質改善を担い、開拓担当者も監督と協力会社の関係を支える考えが示されていました。
最初から自社に完全に合う会社だけを探すのでも、施工体制を増やすために品質を無条件に妥協するのでもありません。守るべき基準を確保し、フォローできる範囲で受け入れ、一緒に施工水準を高めていくことが、次の一手になります。
自社に合う協力会社の受け入れ方を整理するために
「どこまでを受け入れ条件にし、どこからを現場フォローで改善するか」が曖昧な段階でも、整理するところから相談できます。 候補先の開拓を増やすべきなのか、先に監督と開拓担当者の役割をそろえるべきなのかによって、取り組みの順番は変わります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力会社の拡充についても、自社が求める施工水準と、受け入れ後に支えられる体制を照らし合わせながら、進め方を一緒に考えます。
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