住宅改修を中心に、少人数と協力業者で施工体制をつくる建設会社
仕事の相談は来ているものの、大工を確保できず、引き受けられない案件がある。先に整えたいのは、施工を一緒に担う協力業者とのつながりです。
兵庫県の都市部を拠点とする、立ち上げから間もないある建設会社。住宅の改修工事を中心に、新築の木工事も手がけています。日常的に動く大工は数名で、必要に応じて応援を頼む体制です。協力業者とのつながりは、全工種を合わせて二十数社ほどあります。
工事を一式で外へ丸投げするのではなく、自社で全体の工程やお客様とのやり取りを担います。専門工事は各業者に任せ、相手が対応できない範囲を自社で補う考え方です。
ただ、大工の手配がつかず、新築の相談に「少しお待ちください」と伝えることもあります。経営者の言葉は、率直です。
「仕事はあるけれど、なかなか大工さんがつかまらないんです」
ホームページのトップには、赤い枠で大工募集を掲載しています。それでも、待っているだけでは十分な人数につながりません。直接雇用を広げる前に、独立している職人や専門工事会社との協力体制を厚くしたい段階です。
協力業者の総数が増えても、必要な大工を手配できるとは限らない状況
不足しているのは、名簿に載る業者数だけではなく、必要な工事を、必要な時期に頼める相手です。
この会社では、協力業者を百社近い規模まで広げたいと考えていました。建築工事には、大工だけでなく、解体、電気、水道、内装仕上げなど、複数の専門工種が必要だからです。
経営者は、「一つの現場に十社入るとして、五件同時に動けば、それだけ多くの業者が必要になる」と話していました。これは必要社数を一律に決める計算式ではありません。現場が重なったとき、今のつながりだけでは手配が難しくなるという実感です。
同じ大工でも、新築の木工事が得意な人と、マンションの造作に慣れた人では、頼みやすい仕事が違います。得意な仕事から外れる工事を無理に頼めば、双方に負担がかかります。
また、つながっている相手が、いつでも動けるわけではありません。それぞれに既存の取引先や仕事の進め方があります。
「何社知っているか」と「今回の現場を任せられる相手が何社いるか」は、分けて考える必要があります。 大工不足を解消するには、総数の目標を、工種・得意分野・現場の重なり・実際の稼働余力へ落とし込むことが出発点になります。
知人紹介には広がりの限界があり、新しい相手との相性確認にも時間が必要
紹介をやめるのではなく、紹介が生まれる最初の接点を広げることが、協力業者開拓の課題になっています。
これまでの開拓は、知り合いからの紹介が中心でした。長年のつながりがあり、そこから別の職人を紹介してもらうやり方です。ただ、経営者自身が限界も感じています。
「知り合いの知り合いに頼るにしても、最初の母数を大きくしておかないといけない」
そこで、建設業向けのマッチングサービスにも登録しました。新しい業者と出会い、その先の紹介にもつなげたいという考えです。ホームページの募集も続けていますが、それだけで十分だとは捉えていません。
一方で、出会えた相手が、そのまま継続的な協力先になるとも限りません。最初はうまく進んでも、付き合いを重ねるうちに、仕事の進め方が合わなくなることもあるそうです。逆に、以前とは違う良さが見えてくる相手もいます。
「細かい案件からでも、段取りや進め方を徐々に見てもらわないと」
この言葉には、自社が相手を見極めるだけでなく、相手にも自社のやり方を知ってもらう意図があります。
接点を増やすことと、一緒に仕事ができる関係をつくることは、別の段階です。 募集やマッチングは入口であり、その後の小さな工事と日々のやり取りが、協力体制の中身をつくります。
大工を優先し、接点づくりから小規模案件、継続的な紹介へ進める手順
まず大工に絞って不足の中身を整理し、接点を広げ、小規模案件で相性を確認する順番が、この会社の状況に合っています。 全工種を一度に集めるより、案件を受けられない原因になっている工種から進める考え方です。
1.必要な協力業者数を、受けたい工事から考える
最初に整理したいのは、受けられなかった案件と、今後引き受けたい工事です。新築の木工事なのか、住宅改修なのか、マンションの造作なのか。その違いによって、探す大工も変わります。
既存の協力先について、次の項目を並べると、不足が具体的になります。
- 対応できる工種と得意な施工分野
- 対応しやすいエリア
- 同時に動く現場に対して、頼める人数や体制
- 既存の仕事を踏まえた稼働余力
見るべきなのは、全工種を合計した登録数ではありません。受けたい工事ごとに、動ける相手が足りているかを確認することです。 同じ大工が複数の現場を担える場合もあれば、工程が重なって別の応援が必要になる場合もあります。現場数だけで社数を決めず、工事の内容と時期を合わせて考えます。
2.紹介を残しながら、マッチングで新しい接点を広げる
経営者が優先したい工種は、明確に大工でした。「大工のコミュニティができれば、電気や水道のつながりも広がりやすい」という、これまでの経験があるためです。
開拓先を大工に絞り、対応エリアと得意分野を合わせて、マッチングサービスで接点を増やします。ホームページも、単に「募集しています」と示すだけでなく、どのような木工事を扱い、どのように協力して進める会社なのかを伝える役割として捉えます。
ホームページは自社の考え方を伝える場所、マッチングは新しい相手に出会う入口、紹介は関係を広げる経路です。 どれか一つに頼り切るのではなく、それぞれの役割をつなげることがポイントです。
3.得意分野に合う小規模案件で、双方の進め方を確かめる
新しい相手には、得意な仕事に合う小規模案件から関わってもらう進め方が考えられます。いきなり大きな現場を任せるより、自社と相手の段取りを確かめやすいためです。
確認するのは、施工だけではありません。工程の進め方、情報のやり取り、相手が担える管理の範囲も含みます。この会社では、全体工程とお客様対応は自社が担い、各業者ができない部分を補っています。新しい相手とも、その分担を合わせる必要があります。
一度の工事で良し悪しを決め切るより、双方が無理なく進められる範囲を確かめ、次に頼める仕事を明確にします。 得意分野や仕事のスタイルを尊重することが、継続の土台になります。
4.仕事がない時期も関係を切らず、紹介につなげる
経営者は、「毎日仕事を出せなくても、グループとしてつながっていたい」と話していました。協力業者を増やしても、すべての相手に常時発注できるわけではないからです。
継続的にコミュニケーションを取り、得意な仕事や稼働状況を把握しておくことが大切です。そのうえで、一緒に仕事を進められる相手から、知り合いの大工や他工種の業者へつながりを広げていきます。
ただし、実際に出せる仕事以上の約束はしないことも判断軸です。この会社も、案件が無制限にあるとは考えていません。協力先を増やすペースと、実際に頼める工事の量を合わせながら、関係を育てていきます。
まとめ
大工不足への次の一手は、協力業者の総数を追うことではなく、受けたい工事に合う相手との接点を増やし、実際の仕事で関係を確かめることです。
知人紹介には、これまで積み重ねた信頼があります。その強みは残せます。ただ、紹介だけで広がりにくくなったら、マッチングサービスなどで最初の接点を増やす必要があります。
まずは既存の協力先を、得意分野と稼働余力で整理します。次に、不足する大工へ開拓を絞ります。小規模案件で段取りや施工の相性を確かめ、継続的なやり取りと紹介へつなげます。
目指すのは、大きな名簿ではありません。「この工事なら、この相手に相談できる」と考えられる協力体制です。
自社に必要な大工と協力体制を整理するために
「何社増やすか」より先に、「どの仕事を受けるために、どんな大工が必要か」を整理するところから相談できます。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を現場の事情と合わせて整理し、実行まで支援しています。協力業者の開拓でも、必要な工種や得意分野、対応エリアを整理し、候補先へのアプローチや打ち合わせまで一緒に進めます。
「うちの場合は何から整理すればいいか」「紹介以外の接点をどう増やすか」という段階でも大丈夫です。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、今の協力体制と、受けたい工事についてお聞かせください。