複数の現場で冷却塔の定期清掃を担う設備工事会社の悩み
冷却塔を定期的に清掃していても、運転を再開すると内部に残っていたゴミが出てくることがあります。 清掃直後の見た目と、運転を再開した後の状態が必ずしも一致しないところに、仕上がりを確認する難しさがあります。
首都圏で空調設備や配管の工事・洗浄を手がける、ある設備工事会社でも、毎年いくつかの現場で冷却塔を清掃していました。現場によってメーカーや設備の形状が異なり、大きな設備では数日をかけて清掃することもあります。
その担当者から出たのが、「なかなか全部のゴミを取りきれない部分があって、回すとまた内部に残っていたものが出てくるんです」という声でした。
清掃の経験がないわけでも、定期的な手入れをしていないわけでもありません。それでも残る汚れを、どこまで、どの工程で減らせるのか。自社で施工する場合にも、協力会社へ依頼する場合にも共通する確認事項です。
表面のきれいさだけでは判断しにくい充填材内部の残留汚れ
清掃後のゴミを減らすには、表面の汚れが落ちたかだけでなく、内部に残った汚れと、洗浄で落ちたゴミの回収まで確認する必要があります。
冷却塔の清掃を担う施工側からは、「表面がきれいでも、充填材の内部から茶色い水が出てくる」との説明がありました。外から見える部分がきれいになったことと、充填材内部まで洗えていることは、分けて考えたい点です。
また、充填材だけを確認すればよいわけではありません。担当者は「上部水槽から下部水槽まで、充填材やストレーナーも含めて全部やるということですよね」と、清掃範囲を確かめていました。施工側は、水槽に加え、散水管の内部まで洗う対応を説明しています。
ここで整理したいのは、次の二つです。
- 充填材内部や散水管、水槽などに、洗い残しがないか
- 洗浄で落ちたゴミを、すすぎや排水後の回収で取り除けているか
運転再開後に出るゴミを、すべて同じ原因と決めつける必要はありません。ただ、「どこを洗ったか」と「落としたものをどう取り除いたか」を分けると、見直す工程が具体的になります。
「冷却塔清掃」という依頼名だけではそろわない作業範囲
同じ冷却塔清掃でも、内部を洗う範囲や、水をためて排水する工程まで含めるかによって、作業内容は変わります。 担当者が水の入れ替えについて質問したのも、運転後にゴミが出る経験があったからでした。
「一回の清掃で、何回も水を入れ替えたりするんですか?」
これに対し、施工側の回答は、一律に同じ工程を行うというものではありませんでした。徹底した清掃を求められる場合には、一度水をためてから排水し、その際に落ちたゴミも回収する。一方、水をため直す工程を追加しない場合には、ホースでのすすぎを徹底するという説明でした。
つまり、水の入れ替えは、どの現場でも同じ回数を行えばよいという話ではなく、求められる仕上がりに応じて事前に確認する事項です。「徹底的にお願いします」という言葉だけでは、依頼側と施工側が想定する工程まで一致しているとは限りません。
さらに、内部を洗う際には、充填材を傷めない配慮も必要です。施工側では、90度の直噴ノズルを使って充填材内部を洗いながら、水圧を調整していると説明していました。
内部の汚れを落とすことと、充填材を傷めないことは、セットで確認したい施工上の条件です。 汚れが残るからといって、単純に水圧を上げればよいわけではありません。
内部洗浄からすすぎ・ゴミ回収までをそろえる施工前の確認
次の清掃では、前回どのようにゴミが出たかを伝えたうえで、清掃範囲、水圧調整、すすぎ、注水・排水後の回収を施工側とすり合わせる進め方が有効です。 「清掃一式」に含まれる中身を具体的にすることが、品質確認の出発点になります。
清掃範囲は部位ごとに確認する
まずは、「前回は清掃後、運転を再開したときに内部からゴミが出た」と、今回減らしたい事象を共有します。そのうえで、充填材の表面だけでなく、内部、散水管、上部・下部水槽、ストレーナーまで、どこを対象にするのかを確認します。
確認の目的は、すべての現場で同じ作業を求めることではありません。その設備で必要な範囲と、実際に依頼する範囲を一致させることです。 「内部まで洗う」という説明についても、充填材内部を指すのか、散水管内部も含むのかまで聞けると、認識をそろえやすくなります。
水圧は強さよりも、充填材を傷めず内部を洗えるかで確認する
充填材内部に残った汚れへの対応として、水圧の調整方法を確認します。施工例では90度の直噴ノズルが使われていましたが、同じ道具を使うことだけを依頼条件にするのではなく、内部への洗浄と充填材の保護をどう両立するのかを聞くことが大切です。
水圧の数値だけで仕上がりを判断するのではなく、「充填材を傷めないよう調整するか」「表面だけでなく内部も洗うか」という施工内容を確認する方が、今回の悩みに直接つながります。
すすぎと、注水・排水後のゴミ回収を分けて相談する
洗浄後は、ホースでのすすぎをどこまで行うかを確認します。さらに、運転再開後のゴミが気になっている現場では、水をためてから排水し、その後に落ちたゴミを回収する工程まで依頼するかを相談します。
水を入れ替えることだけでなく、排水後に残ったゴミを回収するところまでが確認事項です。 施工側の説明でも、注水・排水と、その後の回収は一続きの対応として挙げられていました。
一方で、すべての現場に繰り返しの水の入れ替えが必要だと決めることもできません。今回の説明から、適切な回数を一律に示すことはできないため、前回の残留状況と今回求める仕上がりを伝え、工程の追加が必要かを施工前に確認するのがよいでしょう。
外注時は、見た目だけでなく実施した工程も確認する
清掃を外注する場合は、作業後に「きれいになりましたか」と聞くだけでなく、事前に合意した範囲と工程が実施されたかを確認します。
確認事項は、次のように絞れます。
- 充填材内部、散水管、水槽、ストレーナーのうち、どこまで清掃したか
- 充填材を傷めないために、水圧を調整して施工したか
- 洗浄後のすすぎを行ったか
- 注水・排水を行う依頼だった場合、その後に落ちたゴミも回収したか
表面の仕上がりを見ることは大切ですが、それだけでは内部の清掃範囲までは分かりません。外注品質は、見える仕上がりと、合意した工程の実施状況を合わせて確認する考え方が役立ちます。
まとめ
冷却塔を清掃しても運転再開後にゴミが出るときは、充填材内部などの洗浄範囲と、洗浄後のすすぎ・回収工程を分けて見直すことが第一歩です。
表面がきれいでも、充填材内部から汚れた水が出る場合があります。内部を洗う際には水圧を調整し、充填材を傷めない配慮も欠かせません。そのうえで、求める仕上がりに応じて、注水・排水後に落ちたゴミの回収まで含めるかを決めます。
次の依頼では、「前回は運転するとゴミが出たので、内部の洗浄範囲と、すすぎ・回収の方法を確認したい」と伝えるところから始められます。清掃回数を増やすかどうかを考える前に、一回の清掃に含める工程をそろえることが、具体的な改善につながります。
冷却塔清掃の依頼範囲を整理するところから
「うちの現場では、どこまで依頼すればよいか」という段階から、施工範囲や協力会社への確認事項を整理できます。 自社施工と外注のどちらであっても、求める仕上がりを作業内容に落とし込むことが大切です。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を現場の実情から横断的に整理し、実行まで支援しています。冷却塔清掃についても、運転再開後に残るゴミの悩みや、外注時に何を確認すべきかといった、現場品質の整理からご相談いただけます。
何から整理すべきかが決まっていなくても構いません。無理にサービスの利用をおすすめすることはありませんので、自社の場合の進め方を考える場としてご活用ください。