前提

施工を外注し、十数名の協力職人と再販向けリノベーションを回す会社

施工を協力業者に任せる会社では、依頼先の選び方が、そのまま現場の品質と工期を左右します。

千葉県のある小規模な建設会社は、中古住宅の再販向けリノベーションを手がけています。月に数件の工事を受け、解体を含む内装工事はすべて外注。十数名の協力職人と現場を回し、社長は管理に専念しています。

今後は複数の現場を並行して進められる体制を整えたいと考えています。ただ、協力業者なら誰でもよいわけではありません。費用が合っても、求める仕上がりに届かなければ、継続して依頼するのは難しくなります。

これまで一人親方にも、社員を抱える会社にも依頼してきました。その経験から浮かんだのは、「会社の規模より、実際に現場へ来る人を見たい」という判断軸でした。

課題

解体業者に頼んだはずが、専門外の社員による施工で工期と仕上がりに支障

専門業者に発注したことと、専門技能を持つ職人が予定どおり施工することは、分けて確認する必要があります。

この会社では、廃材処分と解体を扱う業者に解体工事を依頼したことがありました。依頼先は、解体そのものを外部の職人に任せていました。

ところが、その職人の現場が回らなくなり、予定していた数日間のうち、専門の解体職人が来たのは初日だけ。残りは、依頼先の専門外の社員が作業を進めました。

時間がかかり、解体の仕上がりも期待した状態には届きませんでした。改善を求めると、相手からは解体が専門ではないという説明が返ってきたそうです。

「こちらは解体屋に頼んでいるつもりなんですけど」

この言葉に、発注側の認識とのずれが表れています。専門職人を手配できなかった分の調整があっても、作業に時間がかかり、結果として負担は増えました。

問題は、若手や補助作業員が入ること自体ではありません。誰が何を担当し、どの技能と日数で完了させるのかが、依頼時の想定と違っていたことです。

背景

一人親方の腕だけでも、法人の人数だけでも判断しきれない施工体制

職人個人の腕と、必要な日に同じ品質で施工できる体制は、別の確認項目です。

相談した社長は、一人で仕事を続けている職人の技能を評価していました。一方で、腕のよい職人は自分の現場も持っています。体は一つなので、頼みたい日に必ず来てもらえるとは限りません。

社員が多い会社なら、その制約を補えるようにも見えます。ただし、人数が多くても、依頼する工事を専門にする人が何人いるかは別です。会社として「一式対応できます」と言っていても、実際の施工が外部の職人頼みであれば、その職人の予定によって体制は変わります。

対照的に、継続して依頼している解体業者は、複数の一人親方と普段から一緒に現場を回していました。社長が評価していたのは、雇用形態ではなく、応援で入る人にも解体の技能があることです。

「誰が来ても、差がないんです」

もう一つのずれは、施工経験の捉え方にありました。候補業者の「原状回復の実績」を、再販向けリノベーションの経験とまとめて扱っていたのです。

この会社が求めていたのは、間取り変更などを含み、販売する住宅として仕上げる工事です。賃貸退去後のクロス張り替えなどを中心にしてきた業者とは、工事範囲や想定する手間が異なる可能性があります。

原状回復の品質が低いという話ではありません。賃貸の原状回復経験と、再販向けリノベーション経験は、依頼する工事との適合性を別々に確かめる必要があります。

解決

実際の施工者と再販工事の経験を確認してから候補業者に優先順位を付ける進め方

業者選びは、施工体制と工事経験を具体的に確認し、そのうえで費用や日程をすり合わせる順番が有効です。

最初から一人親方か法人かで絞り切るより、依頼したい工事に対して、誰が施工できるのかを聞く方が判断しやすくなります。確認したいのは、次の点です。

  • 実際に施工するのは、自社の職人か、外部の協力職人か
  • 予定する工事を専門にしている人が、必要な日数を通して入れるか
  • 応援要員にも、その担当作業に必要な技能があるか
  • 予定の職人が入れない場合、誰が代わりに施工するか

これは、外注を使う業者を避けるための確認ではありません。継続して依頼できていた解体業者も、外部の職人と組んでいました。見たいのは、自社施工という看板ではなく、応援を含めて必要な技能がそろう体制です。

次に、施工実績を工事内容まで掘り下げます。「内装工事をしています」「不動産会社の仕事をしています」だけでは、自社の現場と近いかどうかはわかりません。

再販するマンションの工事なのか。賃貸退去後の原状回復なのか。間取り変更を含むのか。候補業者が実際に担当してきた範囲を確かめます。自社からも、依頼したい工事内容と求める仕上がりを伝えます。

募集時の説明も同じです。再販向けの工事なのに「原状回復が中心」と伝えると、相手は別の工事を想定して返事をする可能性があります。そのまま費用の話を進めれば、後から「その仕上がりなら条件が違う」というずれにつながります。

工事の呼び名を合わせるだけでなく、施工範囲と完成時に求める状態を合わせることが大切です。

確認した情報は、声をかける順番に反映します。再販向け工事の経験があり、施工者と応援体制も確認できる業者を優先候補にします。原状回復の実績が中心で、再販工事への対応がまだわからない業者は、追加確認が必要な候補として扱います。

経験が近くても、普段は元請けとして一式を受けている会社なら、協力業者として受けられる範囲や費用が合うかも確認が必要です。実績があることと、自社の発注条件に合うことは同じではありません。

条件をすり合わせて実際に依頼した後は、施工者の技能、所要日数、仕上がりを見て、次に頼む順番を見直します。最初の説明だけで固定せず、現場で確認できた内容を判断に戻す進め方です。

まとめ

リノベーションの品質を守る協力業者選びでは、会社の規模よりも、実際の施工者・応援要員の技能・近い工事の実績が判断の中心になります。

一人親方には、腕がよくても日程の制約があります。法人には、人数がいても専門職人を確保できない場合があります。どちらが優れているかではなく、自社の工事を、必要な日に、求める仕上がりで進められるかを見ることです。

まずは、現在の候補業者について「誰が施工するか」「再販向け工事で何を担当してきたか」を整理してみると、声をかける順番が見えてきます。候補数を増やすだけでなく、安心して頼める順番を持つことが、施工体制を広げる土台になります。

自社のリノベーションに合う協力業者の条件を整理するために

協力業者を探していても、「実績のどこを見ればよいか」「一人親方と法人をどう比較するか」で判断が止まることはあります。まずは、自社が求める施工内容と、外せない条件を言葉にするところから始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。協力業者選びについても、必要な技能や施工体制、候補の優先順位を整理する段階からご相談いただけます。

「うちの場合は、何を確認してから頼めばよいか」という段階でも大丈夫です。 無理にサービスの利用をお勧めすることはありませんので、自社の条件を整理する機会として、お気軽にご相談ください。

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