前提

大型施設の空調清掃と、件数の少ない冷却塔清掃を担う専門工事会社

空調メンテナンスの人手不足は、年間の仕事量だけでなく、同じ時期にどの作業が重なるかで考える必要があります。

首都圏の大型施設を中心に、業務用エアコンの清掃や空調機の整備、配管工事・洗浄などを手がける、ある専門工事会社でも、この重なりが悩みになっていました。冷却塔も定期的に清掃していますが、主力の空調関連業務に比べると、年間の件数は限られています。

担当者が忙しい時期として挙げたのは、年度末と、冷房シーズン前の4〜6月でした。

「ショッピングセンターだと台数もかなり多いので、現場が重なって人が足りないことは結構あります」

大型施設のエアコン清掃に人員が必要な時期に、冷却塔の定期作業も入ります。さらに、設備の部材交換に合わせて「ついでに清掃もしてほしい」といった依頼が入ることもありました。

外部の力を借りていない会社ではありません。普段から決まった協力会社と付き合いがあり、作業内容に応じて、自社の社員と外部の作業者を組み合わせています。そのうえで、冷却塔清掃をどこまで自社で担い、どこから専門会社に任せるかが、次の整理どころになっていました。

課題

冷却塔清掃の件数は少なくても、繁忙期には複数人の確保が必要

年に数件の作業でも、繁忙期に複数人を確保する必要があれば、主力業務の施工体制を圧迫します。

冷却塔清掃は、件数が少ないから負担も小さいとは限りません。清掃を専門にする会社からは、高圧洗浄を行う際に、現場によっては3〜4人を集める必要があるという説明がありました。これはすべての冷却塔に当てはまる人数ではありませんが、少ない案件数と、人員を組む負担が別の問題であることはわかります。

相談企業には、大型施設の定期清掃を数日かけて行う現場もあります。その期間に空調清掃が重なると、冷却塔に配置する人を増やすだけでは、ほかの現場の人員調整が残ります。

ここで分けたいのは、「作業する人が足りない」のか、それとも「その作業の段取りまで自社で持つ余裕がない」のかです。

自社で手順や施工範囲を把握していて、必要な人数だけが足りないなら、応援要員を追加する方法が合います。一方、久しぶりの作業で手順を確認し、必要人数を組み、清掃する範囲も調整する必要があるなら、人だけを増やしても、自社に残る負担は小さくなりません。

応援を呼ぶか、一式を任せるかは、人数不足だけでなく、自社に残る段取りの量で判断するのがポイントです。

背景

空調まわりを広く受ける会社ほど、頻度の低い作業も依頼される構造

顧客の空調まわりを幅広く支える強みが、頻度の低い冷却塔作業まで引き受ける背景にありました。

担当者は、自社の仕事の受け方を「空気と水まわりは全般的に、何でもやるというスタイルです」と説明していました。エアコン清掃だけでなく、その先につながる空調機や配管も扱っているため、関連設備の相談が入るのは自然な流れです。

ただ、幅広く対応できることと、すべての作業を同じ頻度で経験していることは別です。冷却塔については「定期でしかやっていない」「そんなに多くはない」という言葉が繰り返されていました。

清掃の仕上がりについても、具体的な確認がありました。

「なかなか全部のごみを取りきれない部分があって、回すと内部に残っていたものが出てくるんです」

そこで担当者は、上部水槽から下部水槽、充填材、ストレーナーまで清掃するのか、水を入れ替える作業も行うのかを確認しています。関心は、単に何人来てもらえるかではなく、どこまで、どのように清掃してもらえるかに向いていました。

また、商業施設の屋上で作業した際には、周囲への飛散を防ぐために養生を行った経験もありました。一方、委託先候補の説明は、洗浄後に床へ飛散したものを清掃する方法が中心で、同じ養生まで対応できるかは、今後の確認事項として残りました。

冷却塔清掃の経験が豊富でも、自社の現場で必要な養生や周辺作業まで任せられるとは限りません。 この違いを先に確認することが、無理のない分担につながります。

解決

得意分野・作業頻度・必要人数から、応援と一式委託の分担を決める

まず自社に残したい仕事を決め、そのうえで冷却塔清掃のどこまでを外部に任せるかを整理すると、判断しやすくなります。

この会社であれば、主力はエアコン清掃や空調機、配管に関する作業です。繁忙期の人員をそこに配置したいなら、冷却塔を自社で施工できるかどうかだけでなく、同時期の空調清掃にどれだけ人を残せるかまで見ておく必要があります。

応援要員と一式委託を、同じ外注として扱わない

整理する軸は、自社の得意分野、作業頻度、必要人数の3つです。

  • 自社が得意で、手順も把握している作業は、不足人数を補う応援を検討します。
  • 件数が少なく、毎回手順の確認や人員確保が必要な作業は、専門会社への一式委託を検討します。
  • 清掃以外に養生や部材交換が伴う作業は、専門会社の対応範囲を確認してから分担を決めます。

年に数件だから必ず外注する、という決め方ではありません。頻度が低くても、慣れた社員で無理なく対応できる現場なら、自社施工が合う場合もあります。逆に、施工できる現場であっても、大型施設のエアコン清掃と重なって複数人を動かす必要があるなら、一式委託を検討する意味があります。

判断の中心は、その仕事を外に出すことで、主力業務の施工体制にどれだけ余裕を戻せるかです。

「冷却塔清掃一式」に含まれる範囲を具体的に確認する

一式委託を考える際には、清掃という名称だけで話を進めず、今回の対話で確認されていた内容を整理しておくと、認識をそろえやすくなります。

確認したいのは、次のような点です。

  • 対応地域に、実際の施工エリアが含まれるか
  • 冷却塔の型式や大きさ、台数に対応できるか
  • 上部・下部水槽、充填材、ストレーナーのどこまで清掃するか
  • 内部に残ったごみへの対応や、水の入れ替えをどこまで行うか
  • 周囲への飛散防止の養生と、作業後の周辺清掃を誰が担うか
  • 清掃に加えて部材交換などがある場合、どこまで対応できるか

特に養生は、「作業後に周囲を清掃すること」と「作業中に飛散させないようにすること」を分けて確認したいところです。相談企業が必要としていたのは後者を含む対応でしたが、委託先候補の通常の作業方法とは違いがありました。

一式委託でも、自社に残る作業があるなら、その人数と段取りを含めて分担を考える必要があります。 清掃部分だけを任せられるのか、養生まで含めて任せられるのかで、自社が確保すべき人員は変わります。

定期現場を起点に、相談できる状態をつくる

最初の整理先としては、内容を把握しやすい定期現場が候補になります。担当者も、定期で行っている現場について相談する意向を示していました。

ただ、予定表に「冷却塔」としか書かれておらず、何を行う現場か、その場ではわからないものもありました。日程だけでなく、清掃なのか、部材交換を伴うのか、養生が必要なのかを確認してから相談すれば、委託先も対応の可否を判断しやすくなります。

そのうえで、案件が出た際に直接連絡できる窓口を決め、双方の予定を調整できる状態にしておきます。突発的な依頼もある業務だからこそ、仕事が重なってから委託先の対応範囲を調べるより、あらかじめ確認しておくことに意味があります。

なお、この段階で委託の実施や効果まで確認できているわけではありません。まずは対応地域と施工範囲をすり合わせ、具体的な現場で相談を進める方針です。

まとめ

繁忙期の人手不足を整理する際は、「あと何人必要か」と「どの作業を自社で持ち続けるか」を分けて考えると、選択肢が広がります。

冷却塔清掃は、年間の件数が少なくても、複数人の確保や手順の確認が必要になる作業です。大型施設の空調清掃と重なる会社では、応援を追加するだけでなく、冷却塔の作業一式を専門会社に任せる方法も検討できます。

その判断には、自社の得意分野、作業頻度、必要人数を使います。委託先については、対応地域や清掃範囲に加えて、養生まで含めて任せられるかを確認することが大切です。

すべてを自社で行うか、すべてを外に出すかの二択ではありません。主力の空調業務に人員を残せるよう、現場ごとに無理のない分担を組むことが、次の一手になります。

繁忙期に自社で担う仕事と、外部に任せる仕事の整理

「うちの場合は応援を増やすほうがよいのか」「冷却塔清掃を任せたいけれど、どこまで切り分ければよいのか」という段階でも、整理から始められます。

ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。繁忙期に重なる作業や、自社に残る段取りを確認しながら、主力業務を圧迫しない施工体制を一緒に考えます。

無理な営業は行いませんので、依頼内容が固まっていなくても、ご相談いただけます。

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