学校説明会への継続参加と卒業生の採用実績がある建設会社
新卒採用を毎年のものにするために、すでにある学校とのつながりを生かす余地があります。 首都圏で建築工事を手がける、ある建設会社の相談です。
この会社は、専門学校の企業説明会に長年参加してきました。参加をやめたわけでも、採用実績がないわけでもありません。数年に一人ほどの間隔で卒業生が入社し、以前に採用した社員もいます。
ただ、会社としての希望はもう一歩先です。
「毎年欲しいなと思っているんです」
説明会には出続けています。卒業生も働いています。それでも、毎年の入社にはつながっていない。ここから考えたいのは、新しい学校を次々と開拓することよりも、これまでの採用実績を学校との関係づくりにどう生かすかです。
説明会への参加を毎年の採用につなげる接点づくり
見直したいのは、説明会への参加回数だけでなく、説明会の前後も学校に自社を知ってもらう接点です。
参加している説明会は、数百社が集まる規模でした。呼び込みはできず、企業は決められたブースで学生を待ちます。学生が回れるのは数社です。事前に資料を読み、訪問先をある程度決めているといいます。
この条件では、当日の説明を工夫するだけで接点を増やすのには限りがあります。ブースで話す前から、会社を知ってもらうことにも意味があります。
そこで確認したいのが、説明会以外の学校との接点です。卒業生が入社した後、その社員の現在の姿を教員に伝えられているか。求人票や会社案内を渡すだけでなく、「この学校の卒業生が働く会社」として思い出してもらえる関係があるか。この二つを整理すると、次の動きが見えやすくなります。
採用実績があることと、その実績が学校に伝わり続けていることは別です。過去の入社を、次の学生に会社を知ってもらう材料へつなぎ直すことが、今回の課題です。
卒業生の存在と会社案内を採用の強みに変える余地
この会社には、学校との関係を深める材料がすでにありました。卒業生社員の存在です。
相談の中では、比較的最近入社した社員だけでなく、以前から学校の卒業生が在籍していることも確認できました。学校とのつながりは、説明会への出展歴だけではありません。実際に入社して働く人を通じたつながりもあります。
一方、学校に持参している資料については、チラシや会社を紹介するリーフレットの話が出ました。ただ、それが採用したい学生に向けて、何を伝える資料なのかまでは整理の余地がありました。
「こういう会社です」という紹介と、「こういう仕事をしたい人に来てほしい」という採用の説明では、伝える内容が変わります。会社には休日制度などの訴求材料もありますが、条件を並べるだけでは、学生が自分との接点を見つけにくいこともあります。
卒業生が今どのように働いているかと、これからどのような人を迎えたいかを結びつけること。 それが、学校への説明と学生向けの資料に共通する整理の軸になります。
卒業生との母校訪問を軸に対象校と採用資料を整える手順
まずは採用実績のある学校を軸に、訪問する相手、伝える人物像、持参する資料をそろえます。 説明会への継続参加に、卒業生の入社後を伝える接点を重ねる進め方です。
1.対象校と求める人物像を先に絞ります。
専門学校、高校、大学のすべてに同じ説明をするのではなく、どの学校の学生に、どの仕事の担い手として来てほしいのかを社内で合わせます。今回のように卒業生の採用実績がある場合は、その学校を関係づくりの起点にできます。
人物像も「どんな人でも歓迎」で止めず、自社が求める仕事への関心や志向を言葉にします。大工を目指す学生に伝える内容と、施工管理を目指す学生に伝える内容は、分けて考えたいところです。
絞り込む判断軸は、広く知られることよりも、自社の仕事と学生の希望が重なる相手に、伝わる説明ができるかです。求める人物像は、年度や募集時期に応じて見直して構いません。
2.卒業生社員と一緒に母校を訪問します。
相談の中で提案されたのが、卒業生社員を伴った学校訪問です。教員に、卒業後も働いている本人の姿と現在の仕事を伝えます。
求人票だけでは伝わりにくい入社後の姿も、その学校を出た社員と一緒なら具体的に説明できます。学校側にとっても、卒業生の近況を知る機会になります。
訪問時期は、説明会当日とは別に学校と相談します。対話では秋の訪問が候補に挙がりましたが、特定の月を一律の正解にするより、学校側の都合を確かめて進めることが自然です。卒業生の紹介を学校内で掲載・掲示できるかも、併せて確認する余地があります。
3.採用資料と話す内容を、人物像に合わせて整えます。
最初から立派なパンフレットを作る必要はありません。一枚の採用案内でも、誰に何を伝えるかが明確なら、訪問や説明会で使えます。整理したい内容は、次の四つです。
- 募集する仕事と、来てほしい人の人物像
- 自社で働く卒業生社員の現在の姿
- 休日や福利厚生など、実際に提示できる条件
- 最新の採用情報を確認できる案内先
資料と口頭の説明は、同じ内容にそろえます。説明会で配る資料に採用ページのQRコードを付ければ、その場で話しきれなかった情報にもつなげられます。ホームページに古い採用条件が残っている場合は、資料と食い違わないよう更新やリンク先の整理も必要です。
4.翌年も同じ学校へ伝え続ける形にします。
母校訪問を一度で終わらせず、翌年も卒業生の近況と募集内容を伝える機会につなげます。説明会への参加、学校訪問、資料の更新を別々の作業にせず、一続きの採用活動として考えます。
毎年訪問すれば必ず採用できる、という話ではありません。目指すのは、教員や学生が自社を知る機会を、説明会当日だけに限らない状態です。まずは実績のある学校で、継続できる関わり方をつくるところから始められます。
まとめ
数年に一人でも卒業生を採用できているなら、その実績は次の採用に向けた大切な土台です。 毎年の採用を目指すとき、説明会への参加を増やす前に、既存の学校との関係を深める選択肢があります。
対象校と求める人物像を絞る。卒業生社員と母校を訪ね、入社後の姿を伝える。その内容を採用資料や説明会での話に反映し、翌年も伝え続ける。この流れをそろえることで、学校とのつながりを継続的な採用活動へ近づけられます。
最初の一歩は、「卒業生がいる学校に、今の姿を伝えられているか」を確かめることです。新しい接点を探す前に、すでにあるつながりを見直してみてはいかがでしょうか。
学校とのつながりを毎年の採用に生かすための整理
「うちの場合は、どの学校に何を伝えるところから始めればよいか」という段階から整理できます。 卒業生はいるけれど学校への伝え方が決まっていない、会社案内はあるけれど採用向けになっていない、といった状況も出発点になります。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。学校との関係づくりでは、対象校や人物像の整理から、訪問時に伝える内容、採用資料の整備まで、一緒に進め方を考えます。
何から整理すべきか決まっていなくても構いません。無理にサービスをお勧めすることはありませんので、自社の採用活動を見直す際の整理先としてご相談ください。